第231話 ディザスターとデバフの煙

「キエロ……ヒトよ」


 ディザスターが向かって来るレン達に向けて触手を飛ばして来る。


「触手の割に固い!」


 剣で斬ろうとしたが、思ったよりも刃が通らなかったことにレンは驚く。別の触手がレンを狙って攻撃してきたため跳躍して回避する。


「オラァ!」


 アルファードの方を見てみると、触手を斬り裂いていた。フェインドラも同様だ。


「俺とは攻撃力が違うなぁ……マジックバレット!」


 魔法を放ち、触手を払う。特に光の攻撃が効いているようだ。


「何か来る。離れるんだ!」


 フェインドラのこえにアルファードとレンが退避する。


 ボォァァァァァ!


 不思議な音を立てて、黒い煙のようなものが放たれる。それは徐々に周囲に広がっていく。


『デバフ効果を含んでいます!触れると、ステータスが低下します!』


「触れるとステータスに影響があるみたいです!」


 レンが警告を発する。だが、すぐさま黒い煙はレン達の周りや街中に駆け巡っていった。


『ユニークスキル・フィルタリング起動。ステータスの低下を阻止しました』


 確かに黒い煙がある場所にいても特に調子は変わらない。だが、それもユニークスキルがあるレンだけであって他には影響が出ているようだ。


「力が入らねぇ……」


「ここまでステータスに影響を及ぼしますか!」


 アルファードとフェインドラが膝をついていた。レンよりも実力のある2人がこの様な状態だ。他の聖騎士達の支援にも期待できない。



「付与!」


 すぐさまレンが付与スキルを2人に与えるが、効果はそこまで高くはない。2人にはあまり頼ることは出来ないだろうと思う。


 レンが動かなければならないのだ。


「チェンジボックス・形状変化、槍」


 触手に槍をぶつけてディザスターの本体に向かう。黒い煙を吐いて来るがレンには効かないためそのまま突破する。


「棍棒、付与……フラッシュ」


 光魔法を付与した棍棒でディザスターを叩く。あまり効いてないようだが少しでもHPを削るように攻撃を続ける。


「どうだ?鑑定!」


『解析不可ですね。別の世界のものともなると出来ないようです』


 ディザスターへの鑑定は不発に終わる。HPが分かれば、少しは支えになったかもしれない。



『囲まれました!』


 ナビゲーターさんが言った時、レンに四方八方から触手が迫っていた。


「チェンジボックス・形状変化、盾!」


 それでも防ぎきれずレンに刺そうと言わんばかりに触手が向かって来る。


「ステータス外スキル!」


 フェインドラの声が響き、触手が弾かれる。


「助かった……」


 ディザスターから距離を取りレンはホッとする。


「オマエ、ヤッカイ……カミのツカイ?ガァァィァァ」


 ディザスターが声を上げて上を見上げると魔門から再び黒い泥が落ちて来る。



 ディザスターに黒い泥が巻きつき、さらに触手が増え先程より確実に厄介さが増していくのだった。

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