第147話 50階層ボス再びとランドスネーク
月日が流れ、王都に向かう日があっという間に迫ってきていた。
「いよいよ、明後日出発だな。まぁ俺達に荷物があるかと言うとそうでもないからな……」
とレンが言う。
「うん、全部アイテムボックスに入れられるからね」
とエリアスが頷く。レンの時空魔法は、旅行にとても便利なスキルだ。
「私の荷物はこれだわ。お願いね!」
と言いながらルティアが大量の荷物を出してくる。
「いや、多いな!こんなに荷物持ってなかっただろ!」
「こっちで買ったのよ。これはきっと役に立つ時がくるわ!」
と言う。
「それ、役に立たないやつじゃ……」
とミラが呟く。その考えにレンも同意だ。
「ガラクタにしか見えないな……」
と言いながらアイテムボックスを開けて閉まっていく。数が多いためエリアスも手伝ってくれるが、これは必要なのか?という顔をしていた。
荷造りと言ってもそこまで忙しいということはないため、やりたいことをやれる。
「最近は、下層で戦ってばかりだったからな……」
とアンナが呟いている。
「セインとルノも頑張っているからな」
セインとルノを鍛えるために、下の方の階層に行くことが多かったので50階層辺りには行っていなかった。他にも、生産系クランの依頼やシャールの手伝いが多かったのだ。
「50階層のボスは強いのかな。とても楽しみだ!」
とステラが嬉しそうにしている。もしや、彼女も戦闘狂か?と思ってしまう。ステラは、セインとルノをエリアス達が見ている間にレンと迷宮を登り続けた。彼女の強くなりたいという気持ちが強く、すぐに50階層にまでたどり着いた。
「頑張ろう、お姉ちゃん!」
アイリもやる気十分だ。
レン、アンナ、アイリとステラの4人が50階層の扉をくぐる。
「特に……縛られることはないな」
とレンが呟く。前は、イージスが出てきたが今回は出てくることはない。彼が出てくるのは、ユニークスキルを授ける最初だけのようだ。
「他のクランの情報通りだな。レンもいるから安心だ!」
と言いながらアンナが剣を構える。
「どれだけの手応えがあるかな?」
ステラが弓を構えながら言う。
「私は、あの時から少しでも成長できたか確かめます」
アイリも盾を構える。
正面からは、鎧で武装した巨人がこちらに踏み出してくる。
「良し、来るぞ!回避」
とレンが言った直後、巨人が跳躍し剣を振り下ろしてくる。
だが、すでにみんなレンの指示通りに回避した。その後の動きも速い。
「シャドウアロー!」
ステラが回避しながら弓を引き着地と同時に放つ。
「ガラァァァァァァァァァァァァ!」
視界を塞がれた魔物は、当てずっぽうに武器を振るっている。
そんな攻撃が当たるはずもなく、レンとアンナが攻撃を加えてる。
「ガァァァァァァ」
たまたま剣がステラを狙うが、アイリがしっかりと盾で受け止めて守る。
「実験でもするか……迷宮の魔物にどれだけ効くか……」
レンが巨人の魔物の足を蹴り転ばせる。ちゃっかりとんでもないことをしているのに周囲は驚いているが気にせず魔物に乗る。
「付与!」
魔物の身体に手を当ててあるものを付与する。すぐさま魔物が暴れたためレンの魔物から離れる。
「何をしたんだ?」
と隣に立つアンナが言う。
「見てのお楽しみって所かな」
とレンが魔物の攻撃を回避しながら言う。
「早速、発動しようか。プログラミング起動!」
レンが言った直後に、魔物の大きさが縮む。
「小さくなりました!」
アイリが驚きながらそれを見る。15メートルほどあったものがすでに人と同じサイズだ。
「ガァァァァ?」
魔物も驚いている。サイズが縮んだため魔物が装備していた鎧が外れている。剣も大きすぎて持てないのだ。
「あらら、恥ずかしい格好ね」
とステラが言う。たしかに魔物も恥ずかしそうに見える。
「まあ、ここまでやれば余裕だな」
アンナが剣を持って前に進む。
装備の無くなった魔物はあっさりと狩られるのだった。
この前は、マジックバレットで穴だらけにしてしまったが、今回は魔物を小さくしたので剣なんかも回収することが出来た。
「大きすぎて使えないだろう」
「アイテムボックスから投げるだけでも案外凄いことになるかもしれないぞ?」
アンナの意見に答えておく。酷いことを考えるものだと言っているが敵にやるのだから許してほしい。
「次は51階層ですね。ランドスネークというのがどんなものなんでしょうか!」
アイリは、とてもやる気に溢れている。彼女もかなり強くなったものだ。
「消化不良ね。51階層のボス部屋を楽しみにするわ」
ステラは、レンが魔物を小さくして倒しやすくしたため満足しなかったようだ。
「あ!来たわよ」
「お疲れ様!」
「余裕だったみたいだね〜」
ルティア、エリアスとミラは、先に51階層で待っていた。
ここで合流して7人となり進むことになった。歩きながらルティアがみんなの回復を行っていた。器用なものだと思う。
そしてついにある場所に到着する。
「ここが?」
アンナは既に剣を手に持っている。
「そう、ランドスネークが出没する場所だ。そろそろ来るかな?」
と言っていると、地鳴りが響く。
ゴゴゴォォォォォォ!
もう定番と言ってもいい感じで魔物が地面から出てくる。
「凄い数ですね」
アイリが息を飲むのが聞こえた。
「この前は酷い目にあったなぁ」
「それは同感だわ」
ミラとルティアは、この前のことを思い出したのだろう。
「さあ、戦おうか!」
レンの声にみんなが前に踏み出すのだった。
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