第133話 顔合わせと部屋選び
クランハウスの見学を行った翌日、レン達は、ギルドの一室を借りて顔合わせを行った。
「それじゃあ、お互いに自己紹介をしていきましょう」
とレンが言い、今回、試験を行なって合格にした6人が自己紹介をしていく。
あまり多く採用しても大変なので、少ない人数を選ぶことになった。
「セルバン・ワースと申します。これからよろしくお願いします」
白髪のダンディなおじさんが最初に挨拶を行った。紳士的で、冒険者としての実力もあるため採用した。なんでも、執事の経験もあるらしく所作に無駄がなく納得だ。
「お、俺は、セイン・シードです!合格出来てとても嬉しいです。こ、これから、よろしくお願いします!」
試験の時に緊張していた少年だが、ここでも緊張してしまっている。
「もう、緊張しすぎなのよ。私は、ルノ・サリナスです。支援系の魔法を主に使って冒険者をしてます。よろしくお願いします!」
2人は、同じ村の出身らしく一緒に合格出来て良かったとホッとしていた。実力は、まだそこまでないが、これから伸ばしていくつもりなので期待のルーキーといった感じだ。
「じゃあ次は私か!シャール・カラシャよ。魔物の生態とかに興味があって、研究したり、薬を作ったりしてる。色々なことが出来る環境が欲しかったの。よろしく」
薄紅色の長いストレートの女性が挨拶する。
彼女の瞳に映るのは探究心だった。それを見抜いたレンは彼女を採用することにした。やりたいことがあるというのはとても良いことなのだ。
「それじゃあ次は、私だね。メルディ・ロームだよ。ただの一般人だから受からないと思ったけどビックリしたよ。何が出来るかわからないけどよろしくねぇ!」
と豪快な感じのおばさんが挨拶する。彼女は、子供もそこまで手のかからない歳になったので仕事を何かしようと思っていた所、レン達の募集を見つけて応募したのだ。
なぜレン達が採用したのかは、彼女の家事スキルがとてつもなく優れたものだとナビゲーターさんが言ったからだ。
「最後は、私だな。ダークエルフのステラ・イーストだ。シンプルに強さを求めて応募した。戦いにも自信があるので、頑張っていきたいと思う。よろしく頼む」
白い髪、褐色の肌の美しい女性だ。彼女の実力がかなり高く、性格も悪くないと思い採用した。シンプルに強さを求める姿もかっこいいと思うとミラが言っていた。
セインがステラに見惚れていたが、ルノにビンタされて正気に戻っていた。男の子には刺激が強い様だ。
「それじゃあ、俺達も自己紹介させてもらいますね」
と言いレン達が挨拶をするのだった。
自己紹介も特に問題はなく終わったが、途中でルティアが王女だと名乗り、みんなが平伏したり、ミラがあまりにも痛い挨拶をして空気が凍るがスルーすることにした。
『恥ずかしいものですね。彼女達には教育が必要でしょう』
とナビゲーターさんが言う。まあミラには必要かなとレンも思うのだった。ミラの挨拶でみんな目が点になっていたのだから……
全員でクランハウスに向かうことになった。
大きな建物を見て、今回初めてきた6人はとても驚いている様子だ。
中に入っても驚いている様に見える。
「今は、みんなどこに住んでるんですか?」
とレンが質問してみた所、セルバンとメルディの2人は家があり、シャールは、借家があるらしい。後は、みんな宿に泊まっているとのことだ。家がある2人以外は、荷物を持ってクランハウスに移動すると言うことにまとまった。
クランハウスの案内も終わり、解散することになった。レン達は、ギルドに向かい家具を受け取ったりする。
「今ある分はこれだけですね。まだまだ、これから用意しますのでお待ち下さい」
「ありがとうございます。仕事が早いですね!」
とレンは、アイテムボックスにしまいながら答える。昨日の今日で少しでも用意しているのは凄いと思った。
レン達ほどの冒険者が相手なのでギルドや職人も一生懸命に働いているのだ。腕の良い職人も揃えているため、すぐに用意が出来るのだ。
「もしかして、家具をあっさり作るチートな職人とかいたりして?」
『まぁ、世の中広いですからね。我々が考えることは大抵有り得るものですね』
とナビゲーターさんが言う。
クランハウスにはすでにベッドなどはあるため、宿を引き払いそっちに移動することにした。とても急なクラン結成だったと思うのだが、色々と上手く運ぶのだった。
「好きな部屋を選ぶとしようか!」
かなりの数の部屋があるので、みんな好きな部屋を選ぶことになった。
「色々な部屋を見て回るわ」
「異世界で自分の1人部屋を持てるなんて、楽しみだなぁ!」
ルティアやミラはとてもテンションが高かった。
「俺は、どこにしようか……端の部屋とかで良いんだけどな」
「レンは、あそこが良いよ!」
と声をかけられる。
そしてレンは、みんなに言われて1番広い部屋になった。広すぎても落ち着かないと言ったのだが、聞き入れてもらえなかった。
レンは広い部屋に1人ポツンと座りながら、やはり狭い部屋が良かったなと思うのだった。
「じゃあ、私が右にするね」
「わかったわ、エリアス!私が左の部屋にする」
エリアスとルティアがレンの部屋を挟む様に部屋を選んでいることは、まだ知らないレンだった。
「チャンスが有れば2人で距離をさらに縮めていくよ」
とエリアスが言う。
「ええ、どこぞの貴族にレンを渡したりはしないわ」
とルティアが返す。
だが2人もレンが、左右の部屋だと知って、そうなのか。という反応しか出来ないことを予想できてないのだった。
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