第134話 新たな始まりと後衛突撃

 新しいクランメンバーとの顔合わせを行ってから数日…




 スマホのアラームでレンは目を覚まし起き上がる。アラームには、スマホに入っているお気に入りの曲を設定しているためなかなか目覚めが良い。


『おはようございます、マスター。本日も良い1日になると良いですね』


「おはよう、ナビゲーターさん。今日も1日頑張ろうか」


 と言いベッドから脱出するのだった。




 欠伸を噛みしめながら、階段を降りて1階の食堂に向かう。屋敷は3階建てになっており、レン達の部屋は3階にあるのだ。


 食堂では、エリアスとルティアが先に朝食を食べていた。


「おはよう、レン!」


「相変わらず起きるの遅いわね」


「2人ともおはよう。まぁ、色々やりたいことがあるんだ」


 2人に挨拶していると、メルディが朝食を持ってやってくる。


「おはようございます、レンさん。はい、ご飯ですよ」


 と言いレンの前に置く。


「おはようございます。早速いただきます!」


 と言い朝食を食べる。彼女の作るご飯は、とても美味い。他にも家事などかなり優れているため助かっている。


「美味しいです、メルディさん!」


 レンは、おかわりしつつ答える。


「お口に合って良かったわ。みんな沢山食べるから作りがいがあるわね」


 と厨房からメルディが返事をする。


「そうよね!どうしても沢山食べてしまうわ」


 とルティアが言う。あなたは、いつも沢山食べるだろうに……と思うが口には出さない。


「確かに!太りそうで怖いなぁ」


 とエリアスがお腹を押さえながら言う。


「冒険者をやってるから大丈夫だと思うぞ?ルティアは、太るかもしれないけど……」


 と最後だけ、レンは残念そうに言う。


「なんでよぉぉぉ!私だって、ナイスバディをキープしてるんだから」


 と言う。こちらにもナイスバディと言う言葉はあるようだ。


「わからないぞ?油断すれば、ルティアでも一瞬でオークの仲間入りだ」


「むくく、なんてことをぉぉ!わかったわよ、我慢していくわよ!」


 と言いつつもしっかりとおかわりするルティアであった。







「さあ、沢山動くわよ!」


 オークになると言うのが堪えたのか、ルティアは、いつになくやる気に溢れていた。


 ミラも合流して久しぶりの4人での迷宮だ。


 このメンバーはすでに50階層を突破しているので、51階層に入ることができる。


「レンとエリアスは、もう来たんだよね?どんな魔物が出たの?」


「説明するより、見るのが早いな。あっちにいるぞ」


 とレンが指を指す。



「あっちね!早速倒しに行くわよ、ミラ」


 と言いルティアが走り出す。


「ええ!強くなった私の力を見せてやる!」


 と言いミラも走って行った。迷宮都市での戦いでかなり経験値を得ることができミラも確実に強くなっている。


「あの2人大丈夫かな?」


「多分、大丈夫じゃないよな」


 突撃して行った、後衛担当の2人を見ながらエリアスとレンが呟く。




「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


「怖ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 すぐに2人の絶叫が聞こえて、こちらに向かって全力で走って来るのが見えた。これまでで1番の素早さを発揮しているかもしれない。


 ルティア達を追うように後ろからはランドスネーク達が迫ってきている。


「予想通りだな」


「予想通りすぎて……」


 とレンとエリアスは呟く。




「ミラ、賢者なんでしょう?どうにかしなさいよ!」


「出来たらやってますー!ルティアも素晴らしい聖女様ならこのピンチをお助けくださいよ!」


「出来たらやってるわよー!」


 ルティアとミラが言い合いながらもレンの方を目指す。




「さて、倒すとするか!フラッシュ」


 かなり近くまでランドスネークが迫ってきていたためレンが魔法を使う。


「助かったぁぁ」


 レーザー光線が魔物達の命をあっさりと奪っていく光景にルティア達は、安心するのだった。




「全部は倒してないからな。少しは戦ってくれよ?」


 とレンが言ったので、それぞれ武器を構え始める。


「よくもやってくれたわね!覚悟しなさい、ファイヤジャイアント!」


「この数ならいける、ファイヤウォール!」




 数分後、周辺にはランドスネークの死体が散らばっていた。


「前、大量に倒したけど、復活したのかな?」


「迷宮の力ってやつかもね」


 魔物をアイテムボックスにしまいながら、レンとエリアスが会話する。魔物は時間経過で補充されるようだ。



「ちょっと、51階層からいきなり厳しくないかしら?」


「レンとエリアスがいないと私達じゃ駄目そう」


 とルティアとミラが言う。まだ彼女達の実力では厳しい所があるだろう。


「まぁ、ここで鍛えればその内適応出来る様になるはずだよ」


 とレンは言う。



 良い修行相手になる魔物を探すためにレン達は、迷宮を進むのだった。

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