第132話 見学と結婚話し

 面接を終えて、結果は、個別にギルドの職員が伝えてくれることになっている。明日にでも顔合わせすることになるだろう。


「さて、俺達はクランハウスでも見に行こうか!」


 是非とも見ていただきたいと受付嬢に言われたので全員で向かうことにしたのだ。



 そして着いた場所を見て驚く。まさにお屋敷と言うような場所だ。


「デカっ!」


 本当にここであってるんだよね?と思ってしまうが、受付嬢が連れてきたので正しいのだろう。


「中に入ってみてください」


 と言われたのでゾロゾロと入っていく。



「凄いなぁ」


 エリアスが部屋を見渡しながら、嬉しそうにしている。このような部屋に憧れているのだろうか?


「王宮ほどじゃ無いけど、いい部屋ね」


「凄いなぁ、こんな所に住めるのかぁ」


 ルティアとミラも部屋の凄さに驚いている。元の世界でもこんな部屋はそうそうお目にかかれないものだっただろう。


「お姉ちゃん、凄いね!」


「ああ、真紅の宝剣の拠点よりも遥かに良い場所だ」


 2人も気に入ったようだった。



「うん、ここで良いだろうな!よろしくお願いします」


「はい、わかりました。手続きをさせて貰いますね。家具などもお店を紹介することが出来るのですがどうでしょうか?」


 受付嬢が提案してきたためそれに乗ることにした。


「それじゃあお願いしますね」




 レン達は、庭に出て見回してみる。


「庭も結構広いよな!花壇があったような跡があるな」


 前に住んでいた人が花でも植えていたのかもしれない。


「ガーデニングとかも楽しそうだね」


 横を歩くエリアスが言ってくる。


「そうだね。綺麗な花をたくさん植えよう。どんな花を植えたい?」


 エリアスはどんな花が好みなのか気になったので聞いてみる。


 するとエリアスは、アイテムボックスから一輪の花を取り出して言う。


「私は、この花が好きだよ。私を救ってくれた大切な人からのプレゼントだから」


 それはかつて、呪いによって生ける物全て直接触れることが出来なかったエリアスに呪いを解いた時にあげた花だ。ずっと大切に持っていてくれたのだ。


「そうか、なら沢山その花を植えよう」


 今でも大切にしてくれていることにレンは嬉しくなった。





「それにしても凄い場所だよね。この広さ、貴族にでもなった気分」


 ミラは改めて実感しつつ呟く。


「確かに、元の世界の家と比べたらな。貴族になった気分を味わってみるのも面白いかもな」


 とレンが同意する。


「なんなら貴族になるかしら?レンならなれると思うわ。いっそ、私と結婚すれば王族の仲間入りよ」


 とルティアが突然言う。


「結婚?突然過ぎるだろ!」


「別に、もう結婚しててもおかしくない歳だわ。お父様も認めてくれるわよ。むしろレンならお母様も喜んで歓迎するわね」


 とルティアが言う。さらに付け加える。


「多分、今回の迷宮攻略なんかでも王都の貴族達がレンに目を付けているかもしれないわ。だから考えた方が良いかもしれないわ」


「それでいきなり結婚ってのもな……ルティアってなんか残念な王女って感じだし」


 貴族に目を付けられたらめんどくさそうではある。強い力を手元に置いておきたいのだろう。


「なっ!誰が残念よ!訂正しなさぁぁぁい!」


 ルティアが大変ご立腹だ。


『毒舌ですね、マスター。才能がありますよ』


 とナビゲーターさんに言われるが、あなたほどの毒舌ではないですよと伝えておく。


 元の世界での感覚があるため、20歳になる前に結婚することが良くあるこの世界の常識に適応できない。



「ルティア、ちょっと良いかな?」


「え?ええ、い、良いわよ。エリアス」


 レンが考えていると、エリアスがルティアを連れて離れていった。何の話をするのか気になったが盗み聞きもいけないと思いやめておく。





 少し経ってから2人が戻ってきて、ルティアが言う。


「えーと、突然すぎたのも悪いし、考えといてくれると助かるわ!」


 と汗を拭いながらルティアが言ってくる。一体何があったのだろうか……



 厄介事が次々にやってくる気がするなと思いつつ、何か起きたら力尽くでどうにかするしか無いかなと思う。


 クランの拠点を見に来たが、難しい話になってしまった物だと思う。




「家具さえ入ればさらに良くなるよな!こんなにすぐに家を持てるとは……」


 レンは、自分の異世界での生活が順調に進んでおり、実感が持てないでいる。


「私じゃ厳しかったなぁ……レンに拾ってもらえて良かったよ。でも私には幸運があるようだ!」


 ミラが本当に良かったと言わんばかりに言っている。彼女的にはもしレン達に会わなければ、死んでいた可能性すらもある。




「顔合わせもあるし、今日の所は帰るとしようか!」


 とレンが提案し、全員が帰るのだった。

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