第122話 人工魔人と目覚め
「行きなさい、人工魔人ども」
マグノリアの合図に合わせて人工魔人と呼ばれた、真紅の宝剣の人達が動き始める。
こちらに向かってくるものもいれば迷宮都市に散っていく者もいた。本気で都市を壊そうと考えているのかもしれない。
「やってくれるわねスティグマ……私は、都市に散った魔人を倒して回るわ。レン、ここをお願い」
と言いながらレミが空中に浮かぶ。すぐさま人工魔人を追いかけて飛んで行った。マグノリアを倒したかったが、都市の人の命を優先したのだ。
「ナビゲーターさん、力を貸してくれ!」
『了解しました、マスター!』
レンの髪が長めの金髪に変わる。顔つきや体格などはレンのままだ。
50階層では、レンの存在自体を縛られていたためナビゲーターに身体を動かしてもらったが、ナビゲーターの力をレンの意思で使うことも可能なのだ。
例えばレンの身体をスマホだとしよう。そして、レンやナビゲーターの精神をスマホを使う人とする。そうすると、レンというスマホをレンもナビゲーターも使うことが可能だ。
「フリーズ!」
近くまで来ていた、人工魔人の動きを停止してレンはそれを切り裂く。エリアスとルティアも攻撃している。
「硬いけど……刃は通る!」
エリアスも切り裂きながら言う。
「魔人だなんて……本当にとんでもないものだわ」
ルティアは、知識として魔人を知っているのだろう。後で聞いてみようと思う。
「フラッシュ!」
マグノリアに向かってレーザー光線を撃つがそれは回避され、後ろの方にいた魔人を貫く。
「王都で、シャンと戦った時より圧倒的じゃない?王都でその力があればもっと人を守れたのにねぇ!」
『マスターの精神に揺さぶりをかけていますね』
ナビゲーターさんの言葉が頭で響く。
「確かに俺が王都にいた時にもっと強ければ守れた命もあっただろうな。エリアスとルティアが傷つくこともなかった……でも無いものはないんだ。もし、なんて考えない。その時に出来る全力をやるだけだ!」
レンは、もう一本の剣を取り出して二刀流になる。さらに周囲に沢山の魔法を浮遊させる。
「厄介ね……彼」
マグノリアは、小さく呟いた。
「魔法の制御をお願いね、ナビゲーターさん」
『任せてください、マスター!』
ユニークスキルに覚醒したナビゲーターさんの力もこれまでとは比べものにならない位上がっている。
「あの男を、破黒の英雄を殺しなさい!奴は絶対にスティグマの障壁になる」
マグノリアがすぐさま人工魔人達に指示を出しす。レンをここで倒さねばならない相手だと確信した。
「レン、また強くなってる……」
「本当に底がないわね」
エリアスとルティアが驚く。
「あそこまで強くちゃ私の存在が薄くなっていく……」
「レンさんなら、お姉ちゃんも助けられる」
落ち込むミラに向かう人工魔人を盾で殴り飛ばしながらアイリは、勝利を確信する。
一歩一歩、レンは着実に前に進んでいく。レンに向かってくる人工魔人をしっかりと切り伏せ、魔法で打ち抜きながら。
「数が足りないわね。ここまで厄介だとは思わなかった……都市に散った魔人達よ、ここに戻りなさい。それに、王都で作った魔物も持ってくるわ」
周囲に転移門が出現し、周りからは王都で見た魔物が出てくる。
「これは、キメラ!」
「そうね、私達が負けた相手だわ」
かつて、王都で敗れた記憶が2人に蘇る。
「「だけど、もう負けたりなんかしない!」」
エリアスとルティアの武器を持つ手より一層力が入る。
「さすがに数が多いな……」
レンは周囲の魔物を見回しながら呟く。
「あなたを殺すために、大量の魔物を使うことにしたわ。この数なら他の仲間にも注意を配る必要があるでしょう?」
ニヤニヤとした笑みでマグノリアが言っている。どこか、シャンにも似てるようでレンは少しイラついてしまう。
『マスター、彼女に目覚めてもらう時が来ましたね』
「ああ、目覚めて早々で悪いけど戦ってもらおうかな。彼女がアイリのいう通りの人なら一緒に戦ってくれるさ」
レンは、プログラミングを発動する。
「そうね、まずは1番弱そうな魔法使いちゃんと洗脳が効かなかったアイリちゃんにしようかな。さあ行きなさい魔人!」
マグノリアがアイリとミラに狙いを絞る。エリアスとルティアは、キメラとの戦闘で手が離せないのでレンが動かざるを得ない状況を作ろうとしているのだ。
「俺がわざわざ動かなくても問題ない。プログラミングに設定したアンインストールを発動!」
「私じゃ完全に守りきれない!」
盾を構えながらアイリが呟く。
「私の魔法でも完全には、無理かな!でもレンが対策してるから大丈夫。速く私も戦える様にならたいもんだよ」
ピンチではあるが、ミラは元気そうに話している。レンを信頼しているのだ。
「ええ、アイリ。ここまで良く頑張った!後は私が守るからね」
と言いアイリの前に1人の女性が飛び込み、魔人を斬り伏せる。
真紅の装備に剣を持った女性、その剣には炎が纏っている。
「戻ったの……?」
「今までごめんね、アイリ。もう大丈夫!ただいま」
優しく、だが力強い声。アイリが最も会いたかった人だ。
「お帰りなさい、お姉ちゃん!」
ほんのりと涙を流しながらも、アイリは、笑顔で答えるのだった。
長き洗脳から解放されたアンナ・フェロル。燃えたぎる炎を纏った剣を構えるのだった。
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