第71話 ワイバーン戦と残る謎
ワイバーンが出たという声を聞いた3人は、すぐにその場に向かった。
そこにいたのは、4人組の冒険者パーティで装備を見るにまだ駆け出しを抜けた位だろうと判断できた。
「ワイバーンが出たんですか?」
レンは、冒険者に質問をする。
「ああ、あれを見てくれ。こっちに飛んでくるぞ。逃げないとまずい」
リーダーのような男が指す方向には、確かに一体の巨大なワイバーンが飛んでいる。
「あんたらも逃げないとワイバーンなんかにかないっこないぜ」
4人組の中で1番ゴツい男も言う。そして4人組は逃げようとしている。
「今逃げても間に合わないだろうに……ワイバーンくらいなら余裕だから倒すぞ」
と言いレンは剣を抜く。
だが、ワイバーンはレン達に攻撃せずそのまま通過して行った。
「どうして……まさか、王都を目指してる?」
エリアスが通過したワイバーンを見て呟く。
「ちょっと、それはマズイわよ。王都に被害が出るわ」
ルティアが慌てて言う。
「これは、すぐに仕留めないとまずいな。でも何で俺達を無視したんだ?まぁ後で考えるとして、エリアス達はここで待っててくれ」
と言いレンは空に飛び上がる。ここで転移を使えば、近くの冒険者や王都の門を守る兵士に時空魔法がバレそうなので飛んで行くことにした。
「レンって空も飛べるの?何でもありね……」
とルティアの声が聞こえた気がした。
空を飛ぶのもなかなか目立っているのだった。
魔力を強めることで速度を上げ、ワイバーンが王都の門に到着する前に追いつくことが出来た。門の方では、王国の兵士が慌てた様子で集合しているのが見えた。
兵士にも、中級冒険者ほどの実力はあるため、数で押せばワイバーンに勝てるだろうが、被害は避けられないとレンは考えた。
レンは、ワイバーンの背中に降り剣を突き刺す。
「ギュワァァァァァァ!」
ワイバーンは悲鳴を上げ、空中を暴れまわる。
「ちょっと試してみたいことがあったんだよな……ハッキング、……良し、接続出来たな……アンインストール!」
と言った瞬間ワイバーンは、急に地面に向かって落下したためレンはワイバーンから離れて着陸する。
「成功だな……スキル飛行をアンインストールしたら飛べなくなったか」
アンインストールで、スキルを消したことがなかったためどうなるか興味があったので試した。なかなか良い結果が得られたとレンは感じた。
ワイバーンも自分が飛べなくなったことに驚いたが、目の前の敵を倒さなければならないと感じた。
「ガァァァァァァァァァァ!」
雄叫びを上げレンに突っ込む。
だが、ワイバーンの攻撃は当たることなどなく、レンによりあっさりと首を切られるのだった。
「飛行を消したくらいじゃ戦意を失ったりはしないよな」
とレンが呟いた瞬間、後ろから歓声が上がる。
「うぉぉぉぉぉ!ワイバーンを簡単に倒しやがった」
「すげーぞ!あの冒険者!」
「高ランクの冒険者か?見たことがない奴だな……」
と声が聞こえる。兵士や門の近くにいた冒険者が口々にレンのことを話しているようだ。破黒の英雄と言われたら恥ずかしかった……
歓声のなかレンに向かって歩いてくる人がいた。兵士の鎧を着ているため隊長かなと思った。
「ワイバーンの討伐感謝するよ。我々では、被害が出たことは間違いなかった。私は、ここを任されているノックスだ。君の名前を教えてもらっても良いかな?」
「俺の名前はレンと言います。Cランク冒険者です。ワイバーンは、俺が貰っても構わないですか?」
普通に自己紹介しておく。
「ああ、それで構わない。我々は何も出来なかったからね。それにしてもCランクってこんなに強かったか……?」
「仲間を待たせてるので失礼します」
レンは、アイテムボックスにワイバーンをしまい、エリアス達のもとに飛んで帰るのだった。
「Cランクって収納袋みたいなのも持ってるのか……かなりの実力だな……」
と兵士は呟くのだった。
「お待たせ」
と言いレンはエリアス達の近くに着地する。
「余裕だったみたいね?」
とルティアが言った。
「ああ、これだ」
と言いアイテムボックスからワイバーンを出し見せる。
付近にいた冒険者達の驚く声も聞こえる。
「あれを1人でやったのか……」
「首を1発で切ったんだろうな、傷もあまりないしかなりの芸当だぞ」
と言っている。
「気になることがあるからギルドに戻ろう」
とレンはエリアスとルティアに提案する。
「気になることがあった?」
とエリアスに尋ねられたので答える。
「ああ、冒険者がいるのにワイバーンはそれを無視して王都に向かっていた。魔物の習性からしておかしいと思うんだ」
「確かにそれはおかしいわね!本でもそんな感じに書いてあるし……」
とルティアが賛同する。
「ナビゲーターさん、ワイバーンに何か反応はない?」
『解析を行いましたが、以前のモンスターパレードのような魔法的反応は発見されません、マスター』
一体どういうことだろうかとレンは、思いながらギルドに向かうのだった。
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