第48話 領主の館と豪華な料理

 日にちが流れ、とうとう領主の屋敷に行く日になった。


「偉い人に会いに行くのは、緊張するな……」


 昨日から大丈夫かなと不安になっていた。若干、挙動不審だったと思う。


「大丈夫だよ、きっと。スキルもインストールしたし……」


 今回のために、レンとエリアスは礼儀作法スキルをインストールしていた。


 スキルの練習をした結果、上手くいっていると思う。だが緊張はするものだ。



 今レン達は、フィレンの家にいる。領主の屋敷に行くための服を仕立ててもらっていたためだ。


 フィレンの家のお風呂を借りたが、とても広くて驚いた。


「やっぱり、風呂は最高だな……」


 と呟きながら風呂を上がる。


 そして用意された服に着替える。最初は、フィレンが雇っているメイドが着替えを手伝いましょうか?と言ってきたが断った。さすがに恥ずかしい。


 そして、着替えたあとエリアスとフィレンに合流する。


「あ!レン。すごく似合ってるよ!」


 エリアスが声をかけてくれる。


「ありがとう、エリアス!エリアスもとても似合ってるよ!」


 レンは、黒いスーツのような格好で、エリアスは黒いドレスだ。


「白い髪にとてもあってるわよね」


 と微笑みながらフィレンが言う。


 ちなみにフィレンは、なかなかにセクシーなドレスだ。エルフのスレンダーな体型が上手くあっている。


「なんか……凄い服ですね。ギルド長」


 レンは目のやり場に困って言う。大人の魅力というやつだろうか……


「ふふ!もっとじっくり見てくれても良いのよ?」


 とフィレンがからかってくる。


「むー!」


 それを見てエリアスは、ふくれていた。可愛いなぁとレンは和んだ。


「外に馬車が来てるから、そろそろ出発しましょうか?」


「はい!」


 馬車に揺られてそれほどかからず領主の屋敷に着いた。


 馬車から降りて屋敷を見る。


「さすが領主の屋敷、大きいな!」


 レンは、素直な感想を述べる。


「ようこそいらっしゃいました。私、執事のマクベスと申します。フィレン様、レン様、エリアス様をご案内させていただきます」


 執事の名前は、全然セバスチャン的な感じではなかった……

 まぁいいかやと思いつつレンは付いていく。



 屋敷の中には、かなりの数の部屋があった。これは、初めて来たら絶対に迷子になりそうだ。


「こちらの客間でお待ちください。主人を呼んで参ります」


 と言ってマクベスは部屋を出て行った。



 数分経ったころ、部屋に赤い髪の女性が入ってきた。


「久しぶりねフィレン。それと初めてまして、レンとエリアス。私がフェレンスの領主、ロザリオ・フェリックスよ」


「初めまして、レン・オリガミです」

「初めまして、エリアス・ミリーです」


 と2人は挨拶をする。


 礼儀作法スキルはしっかり発動した。


「そんなに硬くならないで!気楽に話して欲しいわ!」


 とロザリオが言った。


「そうね、2人とも少し硬いわよ。緊張してるのね」


 とフィレンも言う。


 レンとエリアスは、見破られたことに恥ずかしく、赤くなるのだった。まだまだスキルを磨く必要があるようだ。ポーカーフェイス仕事しろよとレンは心で思った。



 それにしても領主が女性とは思っていなかったため、驚いた。


 そして4人で、食事の準備ができている部屋に向かう。


 部屋に入ると、レンにとって見知った顔があった。


「おお!レンじゃないか。久しぶりだな」


 とガレスが声をかける。


 Aランク冒険者の3人が座っており、ガレスが代表して声をかけてくる。


「久しぶりです」


 レンは、挨拶をする。


 メイドさんがそれぞれの座る席を教えてくれて、席に着く。長いテーブルにガレス達に向かい合うように座る。


 レンの正面には、カーラが座っていた。


「レンさん、お身体を方は大丈夫なのですか?」


 とカーラが声をかけてくる。


「ああ!動かしても大丈夫だ。そういえば、俺が怪我をした時にカーラさんが怪我を治してくれたんだってエリアスから聞いた…。ありがとうございます」


 黒龍を倒すのでいっぱいいっぱいだったため、お礼を言いそびれていた。


「助け合わないと勝てなかったからね。あと、カーラさんなんてやめてよ。カーラで良いわ」


 と返してくる。


 確かに年齢近いし、カーラさんは違和感を感じるのかな?とレンは思った。


 と考えていたら、メイドさん達が食事を運んできた。凄く豪華なものだった。


「これは、家族で贅沢した時もここまでのものは食べたことはないな……」


 親が交通事故で亡くなる前は、クリスマスやイベント事がある時は、食事がかなり豪華だったが今目の前にあるものは、さらに豪華で量も凄い。まさしく上流階級な感じ。


「さて食べましょうか!今回のモンスターパレードと黒龍の討伐を祝して乾杯!」


 とロザリオさんが挨拶をするのに合わせてみんな、グラスを前に出す。


 テーブルマナーに関してのスキルをインストールしたことでしっかりとできている。


 驚いたことにガレスは、綺麗な食事の仕方をしていた。ワイルドな男という印象で、食べ方も大胆だと思っていたが、さすがはAランクということだろうか……


 とりあえず、レンは、食事を楽しむことにするのだった。

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