第40話 対スティグマと漆黒の龍の再来
「まさかスティグマがここまで大規模なことを仕掛けてくるとはね……」
フィレンは、驚いた様子で呟いた。
「スティグマを叩かなければこの戦いは終わらないかもしれません」
魔物の洗脳を解ければどうにかできるかもしれない。
「確かにその通りね……ただ問題は、あそこまでたどり着けるかよ」
と苦そうな顔をしてギルド長が言う。
「確かに魔物を突破するのは骨が折れそうですね」
レンにとっては出来ないことでもないがワイバーンを抑える役目が抜けるのは避けたいところだろう。
「レン、スティグマの撃破をあなたに頼めないかしら?」
と言ってきた。
「ギルド長!それじゃあどうやってワイバーンを止めるのですか?」
レンは慌てた様子で聞き返す。
「私が止めるわよ!あなたのおかげで休むことはできたし、スティグマを倒すまでは耐えてみせるわ」
そしてさらにこう言った。
「英雄の名に泥は濡れない。絶対に食い止めてみせる」
そこにいたのは紛れも無い1人の英雄だった。その堂々とした姿にレンは、輝きを見た。
「わかりました」
レンは、ギルド長を信じることにした。
『マスター、千里眼と転移の併用でスティグマの近くに飛ぶことが可能です』
とナビゲーターさんが言う。
わかった。と返事をして、ギルド長にある物を渡す。
「俺が使ってた矢です。危なくなったら使ってください」
かなり高威力の危険物だがギルド長ならば大丈夫だろうと思い託す。
「ええ!ワイバーンは任せてもらうわ」
下の方では、魔物の数が減ってきているように感じる。俺がスティグマを倒せばどうにかなるかもしれない。
「よし!千里眼、転移」
目にスティグマを写し、そこに転移する。
レンが現れた瞬間、スティグマには衝撃が走っていた。こんなにもすぐに追っ手が来るとは思わなかったからだ。
「お前達がモンスターパレードを引き起こしたんだな……」
静かにレンは言った。その言葉には怒りが含まれる。
「ククク…いかにも我らが引き起こしたことよ。世界に混沌を起こすのが我らが使命」
不気味な声で答えてくる。
その瞬間集団が武器を構える。みな、ナイフを装備している。エリアスに聞いた話と同じだ。
「お前達がマジックアイテムを使って魔物を洗脳しているやつか。街を守るために破壊させてもらう!」
レンも剣を構える。
「ククク……1人で我らに逆らうか」
と言ったときナビゲーターさんの声がかかる。
『マスター!後方から魔物が接近しています』
敵は徹底的にレンを倒そうとしているようだ。
レンは、スティグマから叩くために突っ込む。
「ファイヤボール」
何人かが燃えた。ナイフをかわしながら剣で切っていく。精神強化の、お陰か恐怖心というものが湧いてこない。
元の世界にいた頃は、考えられなかったことだ……と心の中で思いながら剣を振るう。
「強さに関しては大したことないな……おっと魔物が来たか」
ゴブリンやコボルト、オークが迫ってくる。少し数が多い。
レンの所にたどり着く前にレンは空に飛ぶ。
「合わせ技なんてのもやってみるか。ファイア、ウインド!」
その瞬間、とてつもない炎の竜巻が魔物とスティグマを襲う。
封龍の森の方向で上がった炎の竜巻に冒険者達は、驚いていた。
「あれは何なんだ!」
1人の冒険者が叫んだことで皆がその方向を見る。
「あれは……レン……凄い威力」
魔物を倒しながらエリアスは呟く。彼女は直感で魔法がレンの物だと感じた。
「一体どうなってるのかしら……」
Aランクパーティのナティアがガレスに言う。
「さーて、わからんなぁ」
とガレスは答える。ワイバーンが大量に吹き飛んだと思えば今度は巨大な炎の竜巻だ。何が起きているのかわからないが目の前の敵に集中する。
レンは、地面に着地した。
「さて魔物は殲滅したな……スティグマはまだ残ってるけど……」
レンは剣を持ちスティグマに向かった。
その時、レンの索敵に大きな反応が現れた。レン達がいる上空をドラゴンが通り過ぎていった。
「なっ!今のは……」
『マスター!あの日に見たドラゴンで間違いありません!街の方に向かってます』
ナビゲーターさんの声が聞こえる。
「まずいんじゃないか?これって……」
レンは呟く。
「クハハハ……我々が洗脳できなかったが、大量の魔物に引き寄せられでもしたか?これでフェレンスは、終わったも同然だな」
「なんだと……」
そして彼らは……
「私を勝利の糧に……」
自害したのだった。
「くっ、千里眼」
レンはドラゴンをスキルで見た。
真っ直ぐにフェレンスに向かってるようだ。
「あそこには、みんながいる」
レンは、アイテムボックスからポーションを取り出し飲む。
もうドラゴンは街に着いているだろう。
スティグマは、フェレンスはもう終わりだと言った。だけど……
「絶対に終わらせない…」
レンは、すぐさま転移を使いフェレンスに跳ぶのだった。
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