第39話 飛行戦闘と千里眼

 レンが放った矢が大爆発を起こし、大量のワイバーンを葬ったことに、フィレンが隣で驚いていた時、レンは冷静に矢をつがえてるように見え1番驚いていた。


(ヤベェェェェェェェーこんな威力出るのかよー)


 と心の中で叫んでいた。


『さすがはマスターの、MPですね。威力も素晴らしいです』


 俺の攻撃の威力が高いらしいというのは置いておいて、下の方を見るとみんな衝撃を受けてんじゃないか……


 やってしまった感じがあったが、もう引き返せないためポーカーフェイススキルで冷静を装う。


「ガァァァァァァァ!」


 と魔物の咆哮があがり冒険者は冷静さを取り戻し戦いに戻った。




 レンは少し前のことを思い出していた。





「エリアス!さすがにギルド長が危なくなってないか?」


 さっきから1人でワイバーンを相手にしているギルド長を心配していた。


「さすがにギルド長と言ってもMPには限界があるし、ずっとは無理そうだね」


 とエリアスが魔物を斬り伏せながら言った。



 その瞬間フィレンがステータスに載ってないスキルを使っていた。


「なんだあれは?あんなのステータスになかったはず…」


 彼女のユニークスキルでもあんなことができるとは考え難い。


 この世界にはまだ分からないことがあるのかもしれない。むしろ分からないことの方が多いのだろう。


「エリアス、俺は、ギルド長のステータスを見たがあんなスキルはなかった。どういうことだろうか…?」


 と素直にエリアスに聞いた。


「スキルを工夫して使ってるわけじゃないよね?あれは、なんだろう……」


 エリアスも分からないようだ。





 考えてると、だんだんギルド長が押され始めてきた。


「あれはまずいぞ……」


 やられるのは時間の問題かもしれない。


「行ってあげて、レン!あなたなら助けられる!」


 とエリアスが言ってきた。


「ああ!だけどその前に、付与!」


 レンは、エリアスに出来るだけの付与をかけた。


「凄い!力が溢れてくる」


 エリアスは、心底驚いていた。


「無事でいてくれよ……エリアス!」


 懇願するかのようにエリアスに言う。


「ええ!あなたの分までここで戦う」


 エリアスの言葉を聞きレンはギルド長を助けにいく。


「転移!」


 レンの姿が消えた後、エリアスは呟いた。


「あなたも無事に帰ってきてね、レン!」


 エリアスのフルプレートの下の顔に赤みがさしているのに本人は気づいているだろうか…





 そして時間は最初に戻る。


 守るためには、スキルを使うと決めたのだから、もう全力で行くしかないと気持ちを決める。


 レンは、魔法を使い浮かぶ。最近習得したばかりだが、上手くコントロールできる。


「初めての飛行戦闘か……」


 レンは、剣を持ちワイバーンに向かって飛ぶ。


「炎の剣!うおおおおおおおお!」


 雄叫びをあげながら魔法を付与した剣で切っていく。


「ライトニング!」


 雷魔法を使って、ワイバーンごと下の魔物にも落とす。少しでも楽になればと行動する。


 下の方ではAランクパーティが魔物を大量に狩っていて、大丈夫そうだ。


 キリがないのでレンは、別の戦法に切り替える。


「威圧!」


 全力の威圧を使った瞬間、魔物に揺らぎが現れた。だが、すぐに元に戻った。


 魔物の様子に少し違和感を覚えた。


「ナビゲーターさん、俺の威圧なら魔物が逃げると思ったんだけど?」


 とワイバーンと戦いながら尋ねてみる。


『はい。マスターの威圧を浴びた場合魔物は逃げ出すはずです。私の方で調べてみます』


 と返ってきた。


 やはり何かおかしいらしい。


 レンは、一度ギルド長の所に戻り、追ってくるワイバーンに矢を放ち爆発を起こす。


「ギルド長!魔物の様子に違和感を感じます」


 と報告した。


「ええ!あなたの威圧で逃げないのはおかしいわね。私も少し威圧で驚いてしまったわ」


 とギルド長は、腰を下ろす。彼女にも効いていた様だ。


「すみません」


 と謝ったところでナビゲーターさんから声がかかる。


『マスター、この魔物達は洗脳状態にあるようです。そしてその大本は魔物達が来た方向にあります』


「インストール!」


 とすぐさまスキルをストアで探す。


「あった!千里眼をインストール!」


 敵を探すためを目が必要だった。


「千里眼!」


 早速スキルを使う。


 レンの目は魔物の群れを通り越し、あるものを写した。


「まさか……あれは」


 レンは、驚いた。


「レン、どうしたの?」


 とギルド長が心配したように声をかける。


 レンは、ゆっくり説明した。


「俺は、今、千里眼というスキルを使っています。俺の目には、封龍の森にいる黒いフードの集団が見えるんです」


「まさか……」


 ギルド長フィレン・アーミラもそれだけでわかったようだ。


「これは、スティグマの仕業だ」


 レンは、静かに呟くのだった。

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