第24話 救出と珍しい魔法
ポカーンとしている4人を見ながらレンは、大丈夫?と声をかけたのだが返事がこなかった。
これはやり過ぎたかな……と考えつつ4人が正気に戻るのを待つ。
「お前は一体……」
とようやく剣士の男が言葉を発した。
「俺は、レン・オリガミです。皆さんと同じ冒険者ですよ。皆さんの名前をお聞きしても?」
明るい声で挨拶し、聞き返す。第一印象は大切だ。魔物をぶった斬った後だがな……
「これは失礼した。俺は、ランドだ」
と剣を持った男が答えた。
その後槍使いのヴィン、弓使いのフラウ、魔法使いのミーアの順で自己紹介する。
ランクは全員Dランクだった。上である。
レンよりランクが上だったのだ。先輩冒険者に対して失礼かなと思い一応謝るが、命を救われたのだし気にしないでほしいと言われた。
現在レンと4人組は安全地帯にいた。迷宮には魔物が出ない場所がいくつか存在する。そんな場所を安全地帯と言っているらしい。
レンは、生命魔法を使用して4人の回復をした。オーガが2階層に出てくることがかなり珍しいらしく想定外だったようだ。
「この回復は上級生命魔法ですか?」
ミーアに質問をされる。
「いや俺の魔法は中級のはずだが……」
と返す。中級全魔法から発動しているはずだ。
「中級じゃ、こんなに回復しないわよ」
とフラウが言ってきた。それは知らなかった。比較するということもなかったし、なんならそこまで使ったことがない。
他のスキルの補助効果で性能が上がっているのだろうとレンは予想をつけるのだった。
「レンさん、他に質問しても良いでしょうか?」
とミーアが言ってくる。
「良いよ!」
ボロが出そうだと思いながらも答えてしまう。ミーアが可愛いからかもしれない。
「レンさんが助けてくれた時に使ったのは時空魔法ですか?時空魔法は、もう使える人がほとんどいない魔法なのですが……」
レンは4人に気づかれないように、〈スキル〉ポーカーフェイスと交渉術をインストールした。
真顔を保たなければ!
「恩人に詮索は駄目だろう、ミーア」
ランドが助け舟を出してくれる。
「魔法使いとして興味があるんですー。回復だけでも素晴らしいのに戦いも凄かったですし」
とミーアが反論していた。単純な興味の様だ。
「あれはみんなが見えない速度で動いただけですよ。俺なんかが時空魔法を使えるわけないですよ」
と言っておく。時空魔法が使えることが広まるのは良くない。
「そうですか……」
ミーアは、残念そうにしていた。
意外と交渉術でゴリ押しできたようだ。
それもそうだ。Dランク冒険者ではレンのレベルには届かないのだ。スキルがきちんと仕事をする。
ランド達はそろそろ迷宮から出るとのことなのでお別れだ。気にするなとは言ったが、お礼をしたいと聞かない。
結局レンが折れて宿を教え、今度来てくれと言うのだった。
4人と別れてからレンは上の階層に行こうと探索を再開する。
「まさか時空魔法は、誰も使えないものだったとは……小屋にあった本には載ってなかったぞ」
『人前での使用は控えた方が良いですね、マスター』
確かに誰も使えない魔法を使って目立つと大変なことになりそうだ。悪用を考える人も出て来るだろう。
誰かに利用されるなんてごめんだと考える。
これからは、異世界の常識も無視できないものだと思うレンだった。
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