第25話 小さき英雄と美しい夜空

 2階の探索を行い、マッピングして3階への階段を発見した。特に魔物に苦戦するということはない。


 3階に上がり転移結晶に登録を行い、帰ることにした。


 オーガを倒した時にレベルアップの表示が出ていたことを思い出し、ステータスを出す。




 レン・オリガミ(人間)Lv45

  HP2750/2750

  MP4800/4800

  ATK630

  DEF485

 〈スキル〉

  異世界言語

  マップ

  中級鑑定

  経験値増加

  中級全魔法

  身体強化

  腕力上昇

  脚力上昇

  攻防強化

  斬撃強化

  打撃強化

  狙撃強化

  命中上昇

  使用魔力削減

  魔法効果上昇

  思考強化

  索敵

  即死回避

  状態異常耐性

  隠密

  強奪

  威圧

  付与

  採集技能

  ポーカーフェイス

  交渉術

 〈ユニークスキル〉

  インストール

  アンインストール

ロック

  フィルタリング

 〈称号〉

  転移者

  スレイヤー(スライム、ゴブリン)

逃走者 小さき英雄


『一定のレベルに達したためユニークスキルを解放します』


 新しいユニークスキルはフィルタリングというらしい。



『病気や呪いなどからマスターの身を守ってくれるスキルだと思われます』


 ナビゲーターさんの説明を聞きながらレンは


「呪いってあるの?怖いんだけど……」


『存在します。何日も儀式を行い疫病を発生されるものなどが例として挙げられます』


 恨みは買わないように気をつけようと思った。


「状態異常耐性と被ってる気もするな……」


『そうですね。そんなこともあります。ちなみにフィルタリングの方が効果が強力と思われます』


 だが病気になりにくくなるのはとても良い。レンは元の世界では、季節の変わり目などに決まって体調を崩していたためだ。


 やっぱり健康が何より大事だと思うレンだった。




 転移結晶にたどり着いたため続きは外に出てからにしようと考える。そして、迷宮から帰還するのだった。



 外はすでに夕方になっていた。街の外に夕日が沈んで行くのが見える。


「今日は帰るか……」



 宿に帰ってからレンは部屋でくつろぎながら自分のステータスの確認をしていた。


 新しい称号として小さき英雄というものがあった。これは、4人の冒険者を助けた時に得たものだろう。


『誰かを守るために戦う時にマスターに恩恵があるようです』


 ナビゲーターさんが解説してくれる。


 確かに強さは人を守るために使うべきものだ。大切な仲間ができた時この称号はきっと役に立つだろう。きっと役立つ日が来るよね?と自問自答する。


 一旦夕食を食べるために1階の食堂に向かう。時刻は夜7時くらいだ。こちらの世界も元の世界と時間の概念は変わらない。


 夕食はとても美味しいのだが、米を食べられないのは寂しい。自分では稲作はよくわからないので、こちらに来た日本人が米を広めててくれないかなと思うのだった。


 夕食を食べた後レンは夜ではあるが外に出ていた。特に目的はなく散歩をするためだ。


 宿の女将に聞いたところ夜に出歩くのは正直お勧めしないと言っていたが、ナビゲーターさんは、マスターでしたら大丈夫と言っていたので安心して外出した。


 夜道は店からの灯りが出ているのみでやや暗い、元の世界では田舎はとても暗いし、街中は街灯が立っていたため明るかったなと思い出す。


 こちらの世界は科学というものがないのか街に灯りはない。ふと空を見上げると数えきれない星が輝いていた。


「見たことがないな。こんな綺麗な空を……」


 レンは夜空に目を奪われた。


 レンが住んでいた所は都心部だったため夜もそんなに星が見えなかったのだ。


 レンは知識で知っている星座を探したがひとつも見つからなかった。


「北極星とかもないか、地球とは全く違うのか……月はあるみたいだけど」


 でも、とても綺麗な空だと思うレンだった。


 もっと灯りがないところで星が見たいと思っていたところ


『重力魔法と中級魔法の中にある風魔法により空を飛ぶことが可能です』


 とナビゲーターさんが言った。


「それだっ!空を飛ぶ」


 興奮しながらナビゲーターさんの発言に反応する。人間なら誰しも一度は空を鳥のように飛びたいと思ったことがあるのではないだろうか。


 この世界に来て色々とあり過ぎて忘れていたが魔法ならそんな願いも叶う。早速やりたいと歩き出すのだった。



 レンは人気のない場所に移動して、空を飛ぼうとする。しかしそう簡単にはいかない。


「痛っ!」


 失敗し、お尻を地面にぶつけてしまった。そう簡単に成功はしない。


 確かにレンのスキルは強力なものだが、使いこなせるかは別物だ。いきなりとてつもない魔法が使えるわけでもない。大抵は失敗から始まる。


 例えば転移をしようとして最初は上手くいったが、後からまたやってみると靴だけを残して転移するという失敗もあった。


 だが努力しただけ伸びていくだろう。


 練習を続け少しずつ浮くようになってきたが長続きしない。ぼちぼちやっていこうと考えるレンであった。

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