第20話 ギルドカード完成とギルド長の視線
「カードができましたのでお渡しします」
5分ほど待っているとレンは受付嬢に呼ばれてギルドカードを受け取ることができた。学生証のような感覚だ。
「ありがとうございます」
「それでは、冒険者になられた方には一応ギルドについてなどの説明を行うのですが、お聞きになりますか?」
と言われる。別に飛ばしても問題ないようだが、聞いていた方が良いかもと思う。
「ぜひ、お願いします」
笑顔で答える。
「わかりました。冒険者の方は話を聞かない人が多いんですよね……レンさんは、礼儀正しい方ですね」
と言いながら説明を始める。好印象を与えられたようだ。
ランクについては例外を除き、最高がSで新人はEから始まるそうだ。実力問わずEから始まり功績によって上に上がっていく。功績主義だ。基本、冒険者同士の諍いにはギルドはノータッチらしい。自分の力でどうにかすることが求められている。
「なるほど、ありがとうございます!あと、すみませんがここら辺に良い宿はありませんか?」
宿を確保することを忘れていたレンは受付嬢に聞く。ギルドが進める宿ならば信頼が置ける。
「そうですね……お金に余裕があるようでしたら、そよ風の宿という場所をお勧めします」
お金か……そんなに余裕はないけど、泊まる場所はいい所にしたい。
レンはそんなにお金に余裕があるというわけではない。小屋から持ち出したと言っても贅沢できるほどではないのだ。
そういえば、ギルドといえば買取もやってくれるんじゃないかと思い質問する。
「すみませんが魔石を売ることはできますか?」
レンは外の部屋で倒したゴブリンやスライムの魔石を売ろうと考えた。
「はい。ギルドでは買取を行っております」
そう言われたのでレンは魔石を取り出していく。
「お願いします!」
「これは……かなりの数ですね。少々お待ちください。………これは!ゴブリンキングの魔石ではありませんか?どのようにして入手されたのですか?」
受付嬢が慌てたように言ってくる。
「倒しましたけど?」
素直に答えてしまう。
「ゴブリンキングを倒すにはBランク、最低でもCランクの力が必要です。失礼ながら、あなたはまだ若いようですし技量があるとは思えず」
しまったな。と内心レンは思った。ゴブリンキングがそんなに強い存在だとは思わなかったのだ。雰囲気的にも初心者と感じられてもおかしくはないだろう。貰い物とでもいえば良かったか……
「少し腕に自信があるんですよ、戦って死にかけましたけどね」
まぁ嘘は言ってない。ギリギリで倒したということに話をもっていく。
受付嬢と話していると別の声が入ってくる。
「彼は嘘は、ついていないわ」
そこにいたのは美しいエルフの女性だった。あまりの美しさにレンは見惚れてしまいそうになるが堪える。
「ギルド長!」
受付嬢が驚いた様子で言った。
この人がギルド長なのか。失礼をしないようにしなければと思った。地位のある人に力はバレたくないため注意もしたい。
「彼は嘘は言っていないわ。買取をしてあげなさい。アリー」
今知ったが受付嬢はアリーと言うのか。
「わかりました」
無事買取をしてもらったレンはギルドを出ようと思った時に、なにやらギルド長に凝視されているような感覚がした。
外に出る瞬間にレンは鑑定を使用して出ていくのだった。
「ナビゲーターさん、彼女のステータスを表示してくれ」
ギルドの外を歩きながらレンはナビゲーターさんに指示を出す。
『承知しました」
フィレン・アーミラ(エルフ)Lv72
HP3000/3000
MP4500/4500
攻撃力500
防御力250
〈スキル〉
狙撃強化
命中上昇
属性付与
上級鑑定
〈ユニークスキル〉
精霊魔法
〈称号〉
救国の英雄
フェレンスギルド長
「強いな!称号的に国の英雄なのか…鑑定があるってことは向こうも使ってきたな」
ユニークスキルまで所持していてスキルの構成も優れている。この街でトップの実力者かもしれないと予想する。
『あちらも鑑定をマスターに使用してきましたがロックによって阻止しています』
ロックはこの様な場合にとても役に立つ。いきなりステータスがバレる所だった。
『しかし、向こうにもこちらが鑑定したことは気づかれていると考えた方が良いでしょう』
「はぁ、それは厄介だなぁ」
互いに鑑定したのだからお互い様だと思いながらも、レンはギルド長に目をつけられませんようにと祈りながら勧められた宿に向かうのだった。
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