第21話 興味を持つものと清々しい朝

 レンがギルドを出て行った後、ギルド長ことフィレンは受付嬢のアリーに声をかけた。


「アリー、あなたは直感のスキルがあったわよね。彼のことどう思うかしら?」


「何かを隠していることは感じます」


 とアリーは答えた。スキルを1つも書かなかったことやゴブリンキングの魔石を出したことも踏まえ引っかかる所はある。何やら特別な力を隠している様な感覚。


「確かにそれはあるわね。それに私が鑑定をしたのが気づかれたわ。逆に鑑定を使用してきたのだから……しかも驚くことに彼のステータスは全く見えなかった」


「まさか!ギルド長でも視ることができなかったと言うのですか?彼の実力はそれほどと」


「そうね。ゴブリンキングを倒したということはある程度の実力があるということよ。どこまで強いかはわからないけど、もしかすると……」


 レンが知らない所でこのような会話がされていた。





 レンはマップのおかげもありすぐに宿を見つけることができた。便利なものだ。感謝感謝。


 宿に入り受付に声をかける。


「すみません、1人なのですが部屋は空いていますか?」


 と尋ねる。


「ちょうど一部屋空きがありますよ!宿泊は何日にいたしますか?」


「そうですね……10日だといくらになります?」


 一部屋空いていた。ラッキーだ。まずは、いくらか確認しておく。


「はい、10日だと銀貨15枚です!」


とすぐさま返事が返ってくる。よく聞かれる質問なのだろうと思い、レンは、ここに泊まることを決める。


「お願いします!」


「はい、銀貨15枚確かに!食事は朝と夜は一階の食堂で食べることができますのでご利用ください」


 食事もついてるというのはとてもありがたいとレンは思うのだった。


「さっそくですけど食事をお願いします」


 あの小屋から出て空腹をレンは感じるようになっていた。


 食事という行為自体がレンにとっては久しぶりのものだ。街で串焼きを買ったがまだ食べてはいなかったのだ。


 出てきたのはパンとシチューと果実水のようだ。シチューに入っているお肉は何の肉かはわからないがとても美味しかった。


 なんと食後にデザートまで出たのだ。甘党というわけではないが好きだ。




 食後、レンはすっかり満足して部屋でくつろぐ。

 部屋はベッドが置いてある位の簡素なものではあるが、清潔で過ごしやすい。


 この宿の人気さがうかがえる。


「もう寝るからMPを使い切るか!」


 MPはあるだけ便利だから増やして損はないだろう。


 レンはアイテムボックスから弓を取り出しMPを全て使って矢を作った。MPを大量に込めた矢を作ることでMPを減らせるし、矢もストックできるのだ。


 MP切れも慣れたので気絶するまではなくなったが疲れがすごい。


 弓矢をアイテムボックスに入れそのままレンは眠るのだった。





 外の鐘の音でレンは目を覚ました。

 昨日の疲れはすっかり消えていて、とても気持ちいい目覚めだ。


「今は何時なんだろうか?」

 この世界ではまだ時計を見ていないためわからないのだ。


『現在の時刻は6時です』


 俺は、朝はそんなに強くないためあまり自分で起きることができなかった。大抵スマホのアラーム頼りだ。


『この街では6時間ごとに鐘を鳴らしているようです』


 なるほど。ナビゲーターさんは情報を集めてくれているようだ。


「異世界に来てからは健康的な生活を送れてる気がするなぁ〜。さて、お腹すいたしご飯を食べに行くか!」


 レンは朝食を食べるため食堂に向かい、美味しい朝食を楽しむのだった。

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