第17話 チュートリアル完了と旅立ち
ゴブリンキングを倒して以来の外の部屋にレンはやってきた。
「さすがにまたゴブリンキングが出てきたりしないよな?」
レンは不安をこぼす。
『ゴブリンキングはなかなかレアな魔物であるためそうそう出現しないと思われます。ですが今のレベルアップしたマスターなら余裕で倒せるでしょう』
ナビゲーターさんから返事がくる。
なんと余裕で倒せるそうだ。そんなに強くなったのか……なかなか実感がわかない。
レンは森の近くをスライムやゴブリンを倒しながら進んでいた。サクサク進んでいく。
「前より倒しやすい気がするな。まさかゴブリンを拳で倒せるだけの威力があるとは思わなかった……」
『ステータスの上昇もありますが〈称号〉のスレイヤーの効果も大きいです』
と言う。
やはり称号の恩恵もあるのかとレンは思った。
できるなら称号も手に入れていきたいと考えるのだった。
レベルが上がったことでいくつかスキルがインストールできるようなので入れてみる。
まずは威圧をインストールした。
「威圧!」
発動するとスライムやゴブリンが死にものぐるいで逃げていった。スライムの逃げる姿はなかなか可愛いと思う。
なかなか便利なスキルだ。圧倒的な戦力差があった結果だろう。
威圧以外には、付与と魔力操作をインストールした。
「炎付与!」
すると炎が剣にまとわりついた。ブンブンと剣を振り回してみる。成功のようだ。
魔力操作を同時に使うことで剣が耐え切れず壊れるということもない。まぁこの剣は壊れないのだが……
魔法を付与するのは別にスキルを持っていないと出来ないわけではない。剣のスキルを持ってなくても剣を使えるのと同じである。だがスキルがあることで確実にスキルがない場合より上達していけるということだ。
威圧を使いながら進むことであっさりと森を抜けることができた。
「とうとう、森を抜けることができたな。でも道はまだまだ続いているみたいだ」
100メートルほど進んでいた時何かにぶつかった。
「痛っ!」
透明な壁のようなものに阻まれているようだ。鼻を思いっきりぶつけてしまった。手を伸ばすと確かにそこに壁がある。
「ナビゲーターさん、これは何かわかる?」
『結界のようなものであると予想します。マスターの全力をもってしても破壊は不可能だと考えます』
どうしてここに結界があるんだ?と思ったが破壊出来ないと言われると自分はここから出られないということになる。
「本当に破壊出来ないか試してみていいかな?」
不可能なんて言われると挑戦してみたくなる。意外にも負けず嫌いの様だ。
『そうですね。全力でやってみると良いですよ』
と許可が出たため武器を構える。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
高出力の炎を剣に付与し構える。
『とてつもない威力です。ゴブリンキングを一撃で撃破も可能と思われます』
「よし!いくぞ、炎の剣」
結界に剣をぶつけた瞬間にさらに出力を上げる。そのままいっときの間続けてみたいが結界が壊れることはなかった。
「はぁ、やっぱり無理か」
これからさらに強くなったとしても壊せないような気がした。
「ということはこれで最終回?」
え?異世界終了?俺の冒険は終わったのか……
ここまでありがとう!
『マスター、この空間はチュートリアルのために作られたもので別に出口は存在すると思われます』
終わったな……なんて考えていたらナビゲーターさんが声をかける。
「なるほど、なら小屋の外が異世界に繋がってるのかな」
仮説だったものが現実味を帯びてきたと考える。
この空間はこれ以上は進めないと思い引き返すレンであった。
「まじか!扉が消えてしまった……」
なんと外の部屋から出た途端に扉が消滅してしまったのだ。そこには元から扉がなかったかのように壁しかない。レンはこの現象をチュートリアルの終了のようなものと捉えた。
「もうここにはそんなに長くいられないかもな……荷物をまとめるとしようか」
と準備を始める。すると、ナビゲーターさんが声をかけてくる。
『マスター、アイテムボックスに突然アイテムが出現しました。危険はありませんので確認をした方が良いと思われます』
「アイテムが出現?俺のアイテムボックスに誰かが干渉したってことか……俺は全く気づかなかった」
アイテムボックスから取り出してみるとラッピングされたプレゼントのような物と手紙だった。手紙には、見たことのあるロゴがある。
「これは、運営とやらか……一体なんだろうか」
まずは手紙を開ける。
『レン・オリガミ様
まずはチュートリアルである空間におけるボス、ゴブリンキングの討伐および空間の探索完了おめでとうございます。この瞬間をもちましてチュートリアルの終了となり小屋の外に向かうことで本当の異世界の冒険が始まります。この空間には死という概念がありませんでしたが、これからの冒険では一度死ねば終わりとなりますのでご注意下さい。
ノーコンテニューを達成されましたレン様にはプレゼントもおつけしております。
それではレン様の幸福をお祈りしております。
アプリ管理者より』
「死んでも大丈夫とか最初に言ってくれよ……」
結構命がけで戦ったのにと思う。まさかコンテ可能だったとは……
『ですがプレゼントも頂けましたし、良かったではないですか』
そうだよな……と思いつつプレゼントを開けてみる。
「これは、服か?ローブなんかも入ってるな」
一瞬、私服をプレゼントされたのかと思ったがナビゲーターさんの反応は違う。
『これは、見た目は私服ですがかなり良い素材で作られております。この服だけで十分な装備品です』
と言われる。
「だとしたらゴブリンキングほどの魔物が用意されているのも頷けるな。死んでやり直せばそのうち倒せるけどノーコンクリアは難しいから報酬も良いってことだ」
黒を基調とした服に着替える。かなり動きやすい。
小屋にあるものの大抵は中級になった時空魔法でしまっている。剣は一応護身用に背中に背負うことにした。
元の世界の服はアイテムボックスに入れる。さすがに元の世界の服は異世界では目立つと考えた。
「良し、準備終わったぞ。忘れ物もないしそろそろ行くとするか。今までありがとう!」
小屋に挨拶して外に出た。
日付の感覚がないためいったいどれだけの期間ここにいたのかはわからない。だが感慨深いものがあった。
「さて、これからどこに向かうのかわからないけど進もうか」
『そうですね。ですがマスターなら大丈夫です。私も微力ながらお手伝いします』
本当に頼りになるなとレンは感謝する。
少し歩いて小屋の方を振り返ってみるとそこにはすでに小屋はなかった。
「あっさりと消えてしまったな。異世界だし、驚いてても仕方ないか」
小屋があった方を見ながら呟いているとナビゲーターさんから朗報が入る。
『マップが使用可能になりました。マスター』
「おっ!ようやくか」
レンはこれからの冒険に期待を膨らませ歩くのだった。
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