第13話 リベンジと襲撃

 ゴブリンにリベンジするためにレンは再び外の部屋に来ていた。レンは今回かなり気合が入っていた。


「もしかしてMP1000の矢で倒したのがあいつらだったりしないよな」


 もし倒してたら気合を入れて来た意味があまりない。やる気を返せとまでは言わないが……


『ゴブリンマジシャンが含まれていなかったため違うゴブリンと予想します』


 ナビゲーターさんが返事をする。

 それなら大丈夫だと安心するレンだった。



 レンが向かったのは前回ゴブリンと遭遇した場所だ。途中にスライムなどがいたがゴブリンが目的のため無視する。そしてこの前遭遇した森の前で再びゴブリン5体と会う。


「よっ!元気してた?」


 と軽く挨拶をしてみるがゴブリンが返事を返すはずもなくファイアボールが飛んでくる。前回は、ただ逃げるだけだったファイアボールだが今回のレンは違う。


「アクアボール!」


 レンは余裕の表情でファイヤボールを打ち消す。回避も出来たのだが森に引火したらまずいかもしれないからだ。


 レンがあっさりと魔法を防いだため、最初ニヤニヤしていたゴブリン達にも動揺が走る。


「ガギャア、ガギャア」


 ゴブリンマジシャンが何やら他のゴブリン達に指示を出した。


 すると4体のゴブリンが間合いを詰めるためにレンに向かってくる。


「これじぁ大将が隙だらけだ、転移」


 時空魔法を使用し、レンはゴブリンの前から消える。


「グギャ?グギャャ!」


 レンが目の前から消えたゴブリンは驚きを隠せずすぐさま周りを見回すがレンの姿が見当たらない。


 転移を使用したレンが移動したのはゴブリンマジシャンの真後ろだ。


「よぉ、大将さん。手下に戦わせて随分余裕そうだな」


 アイテムボックスから剣を取り出しながらレンはゴブリンマジシャンに声をかける。

 そしてあっさりゴブリンマジシャンの首を切ったのだ。


「グギャ……?」


 と声を漏らしゴブリンマジシャンは絶命する。首を切られたことすら気づいてないかもしれない。見事な切り口だ。


 ゴブリンマジシャンを殺されてか、ゴブリン達は怒る者と逃げ出そうとする者がいた。


「慌ててると何事もむしろ上手くいかないぞ」


 アイテムボックスから弓を取り出し、最初に逃げ出した2体のゴブリンを狙う。


「慌てない、慌てない」


 と自分の心を落ち着けて確実にゴブリンの頭を射抜く。


『ゴブリン死亡。確実に仕留めました』


 とナビゲーターさんの確認を聞きながら武器を剣に切り替えこちらに向かってくる2体のゴブリンを迎え撃つ。


「さあ来い!」


 そしてその2体も剣で倒したのだった。



『レベルアップ』






「かなり余裕で勝てたな」


 落ち着いて戦え、特に危なげなく勝てたと思いホッとする。レベルアップの表示も出ているため確認しようかと思う。



 しかしこの瞬間レンは油断していた。スキルも使い始めたばかりということもあったのが不運だったのか、近くの敵に反応出来ていなかった。


『おめでとうございます!……?マスター!危険です!回避を……』



「えっ?」


 と言った時にはすでにレンの腹部に矢が刺さっていた。


 腹が熱いというのがレンの感想だった。今までの人生で一度も感じたことのない痛みだ。


 身体に刺さった矢を抜いた瞬間レンは目眩に襲われた。ぐらっと付近が歪んで見える。


『矢に毒を感知しました。マスター!』


「くっ!ステータス」


 矢がさらに飛んできたためナビゲーターさんに返事をする余裕がない。


 ステータスには、猛毒と表示されていた。


『〈スキル〉耐毒をインストールしました』


 スキルのおかげで少しはマシになったが長引くのはまずい。


 森の方から出てきたのは弓を持ったゴブリン、そして…


「冗談だろ……」


 筋肉質な体躯をしたゴブリンが巨大な棍棒を持って歩いてくる。



 そして時は冒頭に戻る。ここがそんなに甘い世界ではないということ、一瞬の油断が命取りになるということを実感する。


 ここは異世界、ドッキリのプラカードを持って仕掛け人が歩いてくることなどなく、向かってくるのは棍棒を持ったゴブリンだ。


「転移」


 すぐさまレンは転移を使って森の中に身を隠す。


「はぁ……はぁ。これは油断したなぁ……」


 息が苦しくなってきた。毒が回ってきたため思考が弱くなる。どうするべきか考えてるとナビゲーターさんの声がかかる。


『マスター、ユニークスキルアンインストールの解析が少し進みました。これより猛毒をアンインストールします。』


 身体がとても楽になった。


「うそ……!」


 ステータスからは猛毒の文字が消え去っていた。

 まさか状態異常を消すことが出来るとは驚きだ。さすがはユニークスキルといった所だろうか……




 レンは驚いたが、アンインストールについてはまた後で考えるとして今はゴブリンに集中すべきだと気持ちを切り替えるのだった。


「数は多いけど、やるしかないな。ナビゲーターさん!」


『はい、全力でサポートさせていただきます。マスター!』


 死闘が始まる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る