第14話 強敵と勝機
森の中に隠れながらレンは、自分を探しているゴブリンに鑑定を使用する。正直、覗き見すらバレそうで怖い。
ゴブリンキング
HP1500/1500
MP250/250
ATK550
DEF600
〈スキル〉
腕力上昇
王の威圧
打撃強化
狂化
「純粋に強いな……しかもキングって。これはチュートリアルとばかり思ってたけど、かなりハードモードだな……」
さらには弓を持ったゴブリンとマジシャンもいる。
ゴブリンアーチャー
HP600/600
MP100/100
ATK200
DEF350
〈スキル〉
命中上昇 狙撃強化
「俺と同じスキルか」
この世界でスキルは熟練度が大切になってくる。ようはどれだけ使い込んだかだ。同じスキルでも互角ということではないのだ。
たかだかインストールして1日のレンとは差があって当然だと考えておく。
「とりあえずアーチャーとマジシャンから倒そう。そうすれば俺は距離を取りつつ戦える」
未だにゴブリン達は俺を見つけられていない。それを不思議に思っていると
『隠密系のスキルをインストールしておきました』
ナビゲーターさんの声が聞こえる。
さすがです。ナビゲーターさん!
レンは時空魔法の転移を使用しアーチャーの後ろに移動し剣で首を切り落とし、また転移で隠れた。
「まずは1体……時間をかけてでも確実に倒さないとな」
このまま逃げることは出来ないかと思ったが森を出た瞬間に後ろから攻撃される未来しか見えなかった。
ゴブリンアーチャーがあっさり殺されたことでゴブリンキングは少しばかり怒っているようだ。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
とてつもない咆哮をゴブリンキングが発する。
驚いたレンは一歩後ずさってしまう。しまったと思うがもう遅い。お決まりのように枝を踏んでしまった。
ポキッ!
「な……」
なんてベタな失敗だ。レンは自分に呆れた。
ゴブリンキングが突っ込んでくる。さらには、魔法と矢も飛んでくる。
「転移」
転移してアーチャーとマジシャンの後ろに移動し不意打ちという形ですぐさま2体を切り倒す。
「転移との組み合わせは最高だな……」
再び転移を使用し隠れる。短い距離での転移ならそこまでMPも使わない。
「よし、後はゴブリンキングだけだ……レベルアップもしているし勝てるか……?」
剣を持つ手に力を込めてゴブリンキングを観察する。索敵は苦手なようで周りを見回しているばかりだ。
ずっと隠れておけば去ってくれないかとも思うが、
『仲間を殺したマスターを倒すまで去らないと思います。最悪、ここ周辺を無理にでも吹き飛ばしてマスターを見つけるかもしれません』
とナビゲーターさんが言うので諦めた。
「なら戦うしかないな…それにしても相手のステータス化け物だろう」
レンが隠れていた場所から出るとゴブリンキングは、こちらに狙いを定めた。
「ガァァァァァァァァァ!」
棍棒を持ちレンに向かってくるが、レンは動かない。
「ギリギリまで引きつけるぞ……でも結構怖いな。……今だ、転移!」
ゴブリンキングが棍棒を振り下ろすが直前で転移を行う。
そしてレンは転移を使用し完全に隙ができているキングの後ろに転移し、首を狙った。
「取った!」
と言いながら剣を振り下ろす。
だがレンの剣はキングの棍棒によって受け止められ弾かれた。さらに棍棒で攻撃してきたため剣で受け止めるも弾き飛ばされる。
「くっ!まさか攻撃を予想されるとは……パワーでも勝てないのに」
衝撃を受け流しつつ着地する。このレベルの魔物になると知性もあるようだ。
ここで音がなる。
ポキッ!
また枝を踏んだわけではない。なんと剣が折れているのだ。キングの攻撃を受けて剣が痛んでいたようだ。
「くそっ!」
レンは剣を放り投げ弓を取り出し連射する。当たっているがダメージにはあまりなっていない。あまりMPを使い過ぎたくないため矢に多く込められない。
「転移」
転移を使ってまた身を隠す。
「時空魔法がなかったらとっくに詰んでたぞ!ナビゲーターさん何かいい方法ない?」
ナビゲーターさんに尋ねてみる。
『ゴブリンキングが持っている棍棒は、マジックアイテムのようです。レベルが高いようで鑑定ができません。それを奪えれば勝機があると予想します。マスター』
確かにあの棍棒は厄介だ。簡単に剣を壊されたし、マジックアイテムと言われても不思議じゃない。
だが問題はどう棍棒を奪うかだ。パワーで勝てるわけがないので自力で奪うことは不可能だ。
「インストール!」
こうなったらやはりスキルを検索するしかない。
〈スキル〉強奪(MP100)
すぐにインストールすることができた。
上手くいくかわからないが、勝機があるならそこに賭けるしかない。レンは決着をつけるべく気持ちを整えるのだった。
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