第8話 初戦闘とレベルアップ

 休憩を終えた後、レンは他の魔法の実験を行った。どの魔法も無事に発動に成功している。


「熱かったなぁ……」


 火の魔法は、自分にはダメージが入らないのかな?と思ったが触ったら火傷した……もしかすると自分で調整することが出来るのかもしれない。


 火傷した手を水魔法で冷やしながら考える。炎を纏って戦ってみたいと思ってたが、いきなり暗礁に乗り上げたかもしれない。意外にも理想と現実があるものだ。


 良し、後回しだと思い次に進むことにする。



「下級鑑定は、鑑定する対象がいないとわからないよな」


 ここら辺には魔物はいないようなので試すことができない。魔物に出会った時に試すことにしようか…とこれも置いておくことにする。



 小屋に戻ったレンは、


「魔法の実験はこれぐらいにして、小屋の中をしっかり見て回ろうかな」


 と呟く。


 今まで魔法をインストールしたり実験したりでそれ以外のことは何もやってなかったのだ。この小屋には、いや小屋とは外からの見た目で中はかなり広いが書斎を含め5つの部屋がある。書斎だけでも多くのものを得られたのだ、他の部屋にも期待がある。


「他の4つの部屋にも凄いものがあるんじゃないか気になるな……まずは1番右から」


 レンは向かって1番右の扉を開けた。その部屋にはベッドやソファーなどが置いてあった。テレビなんかはないが、十分に人が良い生活を送ることが出来る広さだ。


「俺の部屋を用意してくれていたのか?」


 今までスキルをインストールして気絶を繰り返してきたからベッドを使ったりすることなどなかった。自慢ではないがレンは、どこでも寝ることができるのだ。先にこの部屋を見つけるべきだったと後悔はあるが。


「勉強で眠くなって、そのまま床で寝てたら母さんに見つかって倒れたのかと勘違いされたっけな……」


 と床で寝た時のエピソードを思い出す。あの時の母の慌てようは凄まじかった。


「よし、今日からはこのベッドを使わせてもらおう」


 レンは、そう呟いて部屋を出るのだった。





 次に右から2番目の部屋に入った。その中には武器や杖、防具などが置かれていた。


「これも俺のために用意されたのか?色々な種類の武具があるなぁ……」


 片手剣に両手剣、弓もある。中には自分が見たことがない武器もあった。防具なんかは軽装なものから甲冑まであった。


「凄い数だ……アイテムボックスを使いこなして全部持っていきたいな」


 ここにずっと置いておくのも勿体ない気がするし、後から役に立つと思い時空魔法を使って持って行こうと思うのだった。






 次に入った部屋は温泉であった。


「おお!大浴場だ!」


 1人で使うにはもったいないような広さの温泉である。この小屋には、排泄関係が起きない効果があるようだが、やはり日本人のレンにとって風呂というのは嬉しいものである。部屋にどうやって温泉を引いてるのかはこの際考えない。


「これは入らなければ後悔するぞ」


 残り1つの部屋を確認したら温泉に入ろうと考えるのだった。





 最後の部屋に入ったレンは、衝撃を受けた。なぜならそこは外であったからだ。扉を開けた瞬間に風が入ってきた。


「え、どういうこと?ここは、裏口とかか……いや、明らかに風景が違う。別の場所」


 小屋の外は、木なんかがまばらに生えていたがレンの視界の前方には木は生えていない。


「てか、扉だけが浮いてるよ…」


 後ろを振り返ると、あの有名なアニメの扉のようなものがレンの前にあった。そのためここはまた外とは別の空間なんだろうと納得する。


「まさか、ここが俺の冒険する異世界とか?ならあれが使えるよな……マップ!」


『マップを表示できない場所にいます』


 マップを使用してみるも表示されなかった。駄目なのかよ……と思う。


「ここは異世界とはまた別の空間なのか。訓練用か?」




 プルプル


 疑問に思っているレンの近くに魔物が現れた。あまり存在感がなく気づかなかった。それはあのお馴染みの魔物である。


「スライム?」


 そうレンの前に現れたのはスライムである。レンは、さっそく鑑定を使用してみる。


「プルプルしてて可愛いな!さて魔物が出たということはようやく鑑定を使える……鑑定!」


 スライム

  HP10/10

  MP10/10

  ATK5

  DEF15

 〈スキル〉

  なし


 と表示された。鑑定は成功した。次は攻撃してみようと考える。


「可愛くて申し訳ないけど、ファイヤボール」


 火をボールにするイメージを持ったら簡単に出来たので、ラノベのイメージで投擲する。


 魔法が着弾し火球がスライムを燃やした。スライムがいた場所には、小さな石が残っている。


「これが魔石か?」


 ギルドなんかに持っていけば買い取ってもらえる物で魔物倒し、剥ぎ取ると手に入る。書斎にあった本に書いてあった通りだなと思う。


「スライムが最強種ということは無かったか……さて他にいないか探したいな」


 時々ある最弱種が最強のパターンはなかったようで、他に魔物がいるならたくさん魔石を収集しておきたいと考えていると…


 ピコーン!『レベルアップ』と表示されたのだった。

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