第2話 異世界到着とユニークスキル

 レンが目を覚ました時、そこは自分の部屋ではなく美しい景色の広がる草原だった。太 陽の光が暖かく、気持ちの良い風が優しく撫でてきているような感触に再び眠気を誘われる。


 二度寝しようかとも思ったが、この様な知らない場所で寝てはいけないと思いながら起き上がる。


「ここはどこだろうか?海外……か?」


 確かにさっきまで自分の部屋にいたはずだが、その後どこかに行った記憶なんてないし、この美しい草原などテレビでも見たことがなかった。自分の知識不足は否めないが……


「ゲームしながら寝落ちした?いや、夢にしては自由が利きすぎる気が……良くわからないけどとりあえず、移動か」


 持ち前の楽天的な性格でどうにかなるだろうと考えながら行動を始める。景色は、とても美しいので普段はそこまで歩くことのないレンでも楽しく歩き続けることが出来た。




 ―――――――――――――――――――――――――――




「お、あれは小屋か。ちょっとボロいけど……」


 どれほど歩いただろうか、草原から森に入りみすぼらしい小屋を見つけた。小屋があるということは誰かが立てたことになる。だれかいないか、または何かないかと思い慎重に中に入る。





「何だこの広さ!外から見た小屋の大きさじゃないぞ」


 小屋の中に入りレンは衝撃を受けた。外から見た小屋からは考えられないほど中は広く、しっかりした造りになっている。もう一度外に出て確認するがどう見ても外からはボロい小屋だ。



「これは完全に夢か異世界だよな……」


 考えても無駄な気がしてきたので部屋を見て回ることにした。室内には、5つ扉があったので真ん中の部屋に入ってみることにした。部屋の中は書斎だった。

 大きな机の上には地図が置かれており、周りの本棚には大量の本が置いてある。レンは、地図を見てみるが、明らかに日本地図ではないし、地球にはないような形の大陸しか載っていない。地名などは言語が違うのかさっぱりわからない。


「こんな文字見たことないな……地球のどの国の文字でもない気がするな。まぁほとんどの地球の国の文字も知らないけど」


 英語なら少しはわかる気がするが、ここに載っているものはさっぱりだ。どこの言語なのかを推測することは諦めることにしているとあることに気付く。



「ん?」


 いつの間にか机の上に一通の手紙が置かれていた。さっきまでそこには何も無かったはずと思いながら手紙を手に取る。


『レン・オリガミ様へ』


 日本語で書かれているため読むことが出来た。手紙がどこから出てきたのか不思議に思いながらもレンは、封を切って中を確かめるのだった。




『レン・オリガミ様

 このたびは異世界にようこそおいでくださいました。利用規約でご確認されていると思いますが、この世界は魔法や魔物などの地球では非現実的だとされるものが存在します。「ステータス」と唱えることでご自身の能力を知ることが出来ますのでお試しください。魔物と戦うのも、のんびりスローライフを送るのも自由です。レン様の幸福をお祈りいたします。

 アプリ管理者より』


 手紙の裏にゲーム会社のロゴが載っており、自分がインストールしたゲームの運営からの手紙なのだと考えるしかない。


「まじかよ、まさか利用規約読まなかったのが原因でこんなことになるなんてな……本当に異世界に行くものだとは予想出来なかったな」


 レンは、利用規約をしっかり読まなかったことを後悔したが仕方ないので他のことを考えるようにする。現状がそこまで嫌というわけではない。未知の出来事に感覚が麻痺してワクワク感さえ感じ始めている。




 手紙にも書いてあったが、ステータスを見ることが出来るらしいので確認することにした。


「自分の能力を見てみるか。ステータス」


 これで何も出なかったら自分はとても恥ずかしい痛い存在だと思いながら唱える。

 すると目の前に自分のステータスが表示される。それは立体映像の様に見えていた。


 レン・オリガミ(人間)Lv1

  HP75/75

  MP50/50

  ATK10

  DEF25

 〈スキル〉

  なし

 〈ユニークスキル〉

  インストール

 〈称号〉

  転移者



「おお!出たぞ、ステータス」


 きちんとステータスが表示されたことに安心しつつ、自分のステータスを見ての最初の感想は……


「良いのか悪いのかさっぱりわからん」


 であった。この世界のステータスの基準とかさっぱりわからないのだから比べようがない。


 ステータスを眺めるとスキルが1つもないことに気づく。


「スキルなしってかなりハードモードじゃないか?まだ、ユニークスキルがあるだけマシか」


 スキルがないとなると異世界を生きていくことは難しいだろう。まず冒険者は無理だ。街で何かしらの仕事を一生することになるだろう。


「いやいや、せっかく異世界に来たのに冒険とかしたいよ。もうこのユニークスキルに頼るしかない」


 たった1つのユニークスキルで大きく人生が変わる。どうか当たりのスキルであってくれと願いながらスキルを使用してみる。


「インストール」


 てかインストールって、スマホかよと思ったが口には出さない。

 するとスマホのストアのような検索画面がレンの目の前に表示されるのだった。

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