第8話


「義勇兵募集……自由軍団?」


 ムネミツはポスターを見て首を傾げた。


「過激派組織を倒して、ワイワイ共和国の治安を守ろう」


 これだ、とムネミツは思った。

 敵をガンガン倒して勝てる戦い。

 正義の味方の義勇軍として戦って、常に勝利を収める治安部隊。

 これこそがムネミツの求めていたものだ。


「志願しよう」


 ムネミツは書類を揃えて窓口に提出した。すぐに制服と武器が支給され、訓練が始まった。自由軍団を主導していたのはケーキだった。


「そこ、隊列が乱れている。もっとシャキッと!」

「はっ!」


 こうして自由軍団の準備は進められていった。



 一方で、アムリン団の革命の準備もまた進められようとしていた。


「革命はあくまで非暴力で行われるべきだ」


 アムリンは主張した。一方で、ジュリたち元兵士の一派は、首都を占拠してクーデタを起こすことを主張していた。


「アムリンさんは甘いです。ストライキなんかで国が変わるもんですかっ。私は武装してことに当たるべきだと思いますよ!」

「だが、それでは平和な国は作れない」

「本当に平和を実現したいなら、多少の犠牲は覚悟すべきですっ!」

「そうだそうだ!」

「わー!」

「……少し、頭を冷やそう」


 アムリンはみなを押しとどめた。


「みな、決して焦らないように。機会を窺って、確実に評議会による政府を樹立させよう」


 しかし、アムリン団の暴走は、確実に始まっていた。



 そして、更なる革命の機運は、ルンルン地方でも持ち上がっていた。


「……つまり、ルンルン地方は、ドンドコ帝国とは全く違った歴史を持っているんだ。もはや別の国と言ってもいい」

 教授はタローに説明した。

「だから、ドンドコ帝国の後継であるワイワイ共和国が、ルンルン人の望みに反するような方針をとる場合、ルンルンはワイワイ共和国から独立して、自分たちで政治をやるという選択肢も取れるのだよ」

「へー!」

 タローは感心した。

「それっていいかもな! ……いや、最高だぜ! 俺たちだけの国を作れるってのは!」

「それも、評議会による政治だ」

「フゥー! すげえや! みんなにも教えてやろーっと!」


 ルンルン地方の人たちはその歴史的経緯からも独立意識が強く、教授の考えに共鳴する人は大勢現れた。

 こうしてルンルン地方の革命派たちは、独自の路線を取り始めていた。


 ワイワイ共和国は今や、更なる革命を推し進める派閥によって、倒されようとしている。それに対して政府は戦う準備を整えている。


 一触即発。


 今となっては、いつ革命派と政府とが衝突してもおかしくはなかった。


 惨劇が、始まろうとしていた──。

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