7話 潜入と対立
西門の高さは五メートル程ある。革命派のメンバーの数人が西門の上の方に幾つかのロープを投げた。ロープがしっかりと門に引っかかるのを確認すると一斉に上に登り始めた。全員が城の中に入ったのを確認するとロープをそのままにして、第一グループと第二グループに分かれて行動した。一見すると適当にばらけているように見えるが拡散することでそれぞれが独自にポール家の守兵を倒しながら共通の目的地を目指す算段だった。
ポール家が住む城は常時二百人余りの兵が城を守っていた。ホタルは闇の中を進み出来るだけ見つからないように行動した。口はマスクで覆っており、声が漏れないようにしていた。
ホタルがいる第一グループは殺しを最小限に抑え、城の中央にあるポール家の家族の元まで行くことだった。一方の第二グループは城の城壁の近くに火を放ち、ザルパーク国の旗を掲げる。城が襲われたのだと街の人々にも知らせることだった。
城の中は静まり返っていた。ホタルは通り道に守兵が一人後ろを向いているのを確認した。一番手のホタルは後ろを音を立てないように通って行く。だが、影で気づかれたのか後ろを振り返って来た。その瞬間に矢が放たれ、守兵は倒れた。そんな感じで進んで行った。
途中で何度か守兵に築かれても数で押し切り、一人も欠ける事なく城の中枢までたどり着いた。
既に城のあちこちで既に火が上がっていた。叫び声が聞こえて来る。第二グループは戦闘に入っていた。眠っていた守兵が次々に起き出して来る。その前に第一グループは扉を開けて城の中に入った。門の前に五人の兵がいたが、すぐに倒した。
城の中の人々が騒ぎを聞いて起きて来る前に一気にポールの家族がいる最上階まで一気に駆け抜けた。
やがて最上階にたどり着いた。大きな居間なっており、周囲はカーテンで囲まれている。既に兵は戦闘態勢を取っており、十人余りの兵に囲まれながらハーマン中のが中央に居た。
そのハーマンは剣を抜いた。
「何しに来たのだ不届きものどもめ。私が誰だか知っているのか。」
ボーデンが皆を代表して言った。
「ハーマン、お前は自分のわがままで俺達ザルパーク国の市民を怒らせた。革命派はその代表としてここに来ている。大人しくいう事を聞いてもらおうか。」
「ふん、本来教えを請うべき国の代表である私に歯向かうとは愚かな。戦闘訓練もしていないような奴に俺が止めれるとでも思っているのか。」
ハーマンは剣を天に掲げた。そして振り下ろす。周りの兵と共に切り込んできた。数は十一対二十五で此方の方が人数的に有利だった。だが戦闘経験の差でハーマン側が五分五分の闘いに持ち込んでいた。特にハーマンは強かった。次々に革命派の兵士を倒して行く。だが、やがてハーマンの剣に刃こぼれが出てきた。ホタルが売っている防具は通常より切れにくい。余程力を入れないと切れないのだ。
ハーマンは息切れを起こしていた。そこに、ボーデンが突っ込んで来る。
ハーマンはボーデンの剣を受け止める。二人は十合程、剣を打ち合った。徐々にハーマンが推して来る。それを見たホタルはハーマンがいる場所に矢を放った。
ハーマンの脇腹に矢が刺さる。
「ぐっ…くそ、貧乏市民どもが…。」
不意打ちを食らったハーマンは地面に倒れた。
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