♡理科室と璃子♡

x頭金x

第1話

 璃子は担任に頼まれた薬品を取りに理科室に向かった。教室から廊下へ出ると誰かが開けた窓からの寒風がスカートと白い靴下の間の肌目掛けて吹き込んで来た。


 理科室に入って頼まれた薬品を探す。薬品を見つけたと同時に誰かの視線を背中に感じた。振り返って見てもそこには誰もいない。気のせいかと思い薬品を手に取る。また誰かの視線を感じる。振り返る。だがそこには誰もいない。


 そうです。理科室によくある人体模型です。右半身が裸体、左半身が内臓剥き出しの。


 璃子は近づいてよく見てみた。本当の人体の様な模型だな、と璃子は思った。しばらく眺めた後、璃子は理科室を後にした。


 職員室で担任に薬品を渡した。


「ありがとう、今ポットでお湯沸かしてるから、お茶飲んで行きな」


 担任で理科の教師である河合奈津子はそう璃子に告げ、薬品を一息に飲んだ。


 ほどなくして奈津子の身体から蒸気が上がり、奈津子の左半身の皮膚が爛れて床に落ちた。耐え難い臭気と共に。


 璃子はその様子を微動だにせず眺めていた。ポットがお湯が沸いたことを知らせた。


「ああ沸いた沸いた」


 奈津子は爛れた左手でコップを持ち、健全な右手でお湯を注いだ。


「はい、どうぞ」


 璃子はそのお茶を飲んだ。ぬるかった。ポットを買い替えるよう、奈津子に言った。

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