第497話 私の陣営っ!!
「この方のお名前はルフィール・セア・レフィア様」
ルフィールおじ様は、フィルがそのまま歳をとったって感じで。
金色の髪に、淡い青色が混じったような綺麗な銀色の瞳をしたナイスミルド!
この状況下にあっても、柔らかく微笑むルフィールおじ様を見て頬を赤らめる女性が続出している程に整ったご容姿をされているわけだけど……
息子のフィルと父親のルフィールおじ様。
う〜ん、いつ見ても非常に血筋を感じるわ〜。
フィルも歳をとったら、こんな感じになるんだろうなぁ。
「ルフィール…セア……レフィア?」
愕然とセドリックが目を見開いて固まっちゃってるけど、そうなるのも仕方がない。
だって天下の四大国の中でも、超大国と称されてるレフィア神聖王国の国王──
聖皇と名高い人物が、パッとしない中堅国家に過ぎないイストワール王国の王宮にいるわけだし。
むしろああいう反応をしない方がおかしい。
「やぁ初めまして。
君が噂のセドリック王太子殿だね」
「っ!! わ、私の事をご存知なのですかっ!?」
「あぁ、もちろん。
君の事はよく知っているよ」
ルフィールおじ様の言葉に目を見開いたセドリックの顔が喜びに染まる。
う〜ん、セドリックが思ってるような意味じゃないと思うけど……
「それはもう随分と常識がなってない愚か者だとね」
「ぇっ……?」
おぉ〜、人間ってあんなに綺麗に固まる事があるんだ。
ピシッて感じで表情も固まって、動かなくなっちゃったわ。
てか、呼吸もしてなさそうだし。
顔色も見る見る悪くなって行ってるけど……あれ大丈夫なのかな?
「セド……? セドっ! しっかりしてっ!!」
「ハッ!!」
ちょっ、やめ!
そんなコントみたいなやり取りしないでっ!!
シリアスな場面なのに笑っちゃいそうになるじゃんか!!
おのれ……まさかこんな想定外の方法で、精神攻撃してくるとは。
万が一ここで笑っちゃうと、クールでかっこいい加工の最強Sランク冒険者悪役令嬢としての私のイメージが崩壊してしまうっ!!
「こほん、続きまして」
滑稽で面白いセドリック達の姿を見ていたいって思わなくもないけど、こうなったら仕方がない。
私のイメージが崩壊してしまう前に、さっさと話を進めるのみっ!!
「こちらの方が、ショウ・アラキ・ネフェリル様。
そのお隣にいらっしゃるのが、大賢者マリア様。
この方がアルバ・ジョン・アクムス様」
つまり! この場に四大国の王達が勢揃いしてるわけだけど……ここで驚いてもらっては困る!
「四大国の王達と……」
ヴァリエ騎士王国が国王、騎士王アリアナ・キューレ・ヴァリエ。
ティフィア教国が教皇カロン・レ・ヴィル。
冒険者ギルド協会を統べる総統、我らが冒険者ギルド協会
グラウス皇国を治める老王、ガイン・アルダ・グラウス皇王。
「つい先日まで国際会議に参加されていた、大国と呼ばれる主要国を統べる王の方々です」
ふはははっ! どうよ!!
これが私の力っ! 我が人脈の一端なのだよっ!!
「「「「「「……」」」」」」
セドリックもエマも、オズワルドもラルフィー少年も!
私がセドリックの暴挙に備えていた事を知っていた、ガイルとサイラスすらも!!
みんなしてポカ〜ンと、間抜けな顔をしちゃってるわっ!!
まぁそんな反応になっちゃうのも無理はない。
なにせ今この場所に、この大陸の情勢を左右できる人物達が勢揃いしちゃってるわけだし。
ただその場にいるだけにも関わらず、ヒシヒシと伝わってくる存在感!
この方々を前にしたら、流石のセドリックも偽者だなんていえないはず!!
四大国をはじめ大国と呼ばれるような、主要国の国主というのは伊達じゃないのだ。
「そして……」
もう既にオーバーキルかもしれないけど、容赦はしないっ!
むふふふっ、この私を敵に回したらどうなるのか、思い知るがいいわっ!!
「こちらが私の仲間のひゃっ──!?」
「ソフィーっ!!」
ちょっ!
「あぁ、よかった!
あのバカ王子に何もされなかったか?」
「エ、エレンお兄様……」
急に後ろから抱き締めないでっ!
びっくりして変な声が出ちゃったじゃないですかっ!!
「っ! そんなに震えて、どうしたんだ?
まさか……おいバカ王子、テメェ俺達のソフィーに何をしやがった?」
「ひぃっ!!」
それはもう地を這うような低くてドスの効いた声が鳴り響き、セドリックが怯えたように短いを悲鳴をあげながら後ずさる。
ピシ、ピシッ!!
大理石でできた柱に、床に無数の亀裂が……エレンお兄様の覇気によって発生した斬撃による亀裂が走り……
「ったく、このバカが!」
「っ!!」
ガルスさんに小突かれた事で、エレンお兄様の覇気が霧散する。
「何するんですか、師匠」
「お前なぁ、無闇に覇気を撒き散らすな。
この場にいる奴らを皆殺しにするつもりか」
私は悪魔王国での鍛錬を経て強くなったけど、悪魔王国で強くなったのは私だけではない。
当然エレンお兄様も強くなってるわけで。
ガルスさんとルミエ様は例外として、他のSランク冒険者全員が到達者へと至っている。
つまり! そんな状態のエレンお兄様が、無差別に覇気を撒き散らそうもなら大惨事は確実っ!!
「そんなつまりはありませんよ。
ちゃんとコントロールしてたでしょう?」
まぁ、確かに本来のエレンお兄様の覇気とは比べ物にならない程に弱かったし。
斬撃が飛んだのも床とか柱で、人には向かってないけど……
ガルスさんのおかげで、エレンお兄様も離れてくれた事だし。
この隙を逃すわけにはいかないっ!!
ちょっと締まらないけど……
「こほんっ! と、とにかく!!
こちらが私の仲間達である、Sランク冒険者のみんなですっ!!」
これがお前達が敵にわました、ソフィア・ルスキューレの……この私の陣営なのだよっ!!
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