第494話 来てもらうとしようっ!!
「にゃふっ」
さぁ! 衝撃の事実に驚きなさいっ!!
自分で言うのものなんだけど、ここ数年世界中で最もホットな人物と言っても過言ではない有名人。
人類最強の一角にして、魔王の一角を陥した英雄!
白銀の2つ名で知られる、クールでカッコいい謎多きSランク冒険者ソフィー。
そんな誰もが知るだろう超有名人の正体が、目の前にいる私だと言う事実にっ!
そして王太子らしからぬ間抜けな顔を晒すがいいわ!!
「ソフィー……せっかくの決め場なのに、変な笑い声が漏れ出ちゃってるよ」
フィルが小声で何か言ってるけど、細かい事は気にしない!!
どうせそんなに大した事じゃないだろうし。
「さて」
謎多きSランク冒険者〝白銀〟ソフィーのトレードマークである、仮面をゆっくりと外してセドリック達を見据え……
「殿下……いや、セドリック・エル・イストワール。
これで私の言葉に偽りがない事は、わかっていただけましたか?」
私自身がSランク冒険者なんだから、他のSランク冒険者と面識がないはずがないし。
ここ数年Sランク冒険者が遂行していた、神の国を探すと言う依頼は子供でも知ってる程に有名。
つまり超多忙なSランク冒険者たる私には、イストワール王立学園でエマをイジメるなんて事をするのは物理的に不可能なのだよ。
だってエマがイジメられたって主張している時、私は船の上にいるわけだし。
まぁ実際には転移魔法で簡単に帰って来れるし、不可能でもなんでもないし。
色々と調整が必要でまだ発表はされてないけど、1年ほど前には依頼を達成済みなんだけど……
そんな事を説明してやる必要も義理もないっ!
そして何より! 私が無実だというのは本当!!
だからよくよく考えれば、依頼で船の上にいるはずの期間もこの大陸で活動していたとか、細かい事は気にしない!!
「っ!!」
唖然としている中、私に名前を呼ばれてセドリックがビクッと震え息を飲む。
「Sランク冒険者の影響力は一国にも匹敵する。
まさにその通りです、Sランク冒険者というのがどのような存在なのか、貴方はよく理解されているみたいですね」
驚愕に目を見開くセドリックを、オズワルドを、ラルフィーを。
そして彼らに守られるようにして立つ、聖女エマをゆっくりと見渡し……
「ふふっ、これは忠告です。
貴方達が陥れようとしている、目の前に立つ私もそんな英雄の1人だと言う事を重々承知しなさい」
「っ〜! い、いくらなんでも失礼じゃないですかっ!!」
「エ、エマっ……!」
おぉ〜、さすがはヒロイン。
私の正体を知ってなお、堂々と言い返してくるとは。
「いくら元婚約者で、公爵令嬢だからってセドの事を呼び捨てにするなんて無礼にも程があります!!」
そう言う貴女は敬称もなく、しかも愛称で呼んじゃうんですね。
しかも元婚約者って……まぁ別にいいんだけど、まだ何の手続きもしてないから、一応まだセドリックの婚約者は私なんですけどね。
「私は今、ルスキューレ公爵令嬢としてではなく、Sランク冒険者として話しているのです。
Sランク冒険者は誰に対しても遜る事はありません、それが例え超大国の王であったとしてもです」
それがSランク冒険者という存在であり、それが許される存在!
人類最強の名前は伊達じゃないのだよ。
「だ、大体! ソフィアさんが本当にSランク冒険者かなんてわからないじゃないですかっ!
〝光天〟フィル様の件と同様に、ソフィアさんが勝手に自称しているだけの可能性もあります!!」
まぁ、確かにそういう捉え方もできるか。
「そもそも! 公爵令嬢であるソフィアさんが、Sランク冒険者だなんて不自然です!!」
う〜ん、見る者が見れば、私が嘘を言っていない事なんてすぐにわかると思うんだけどなぁ。
せっかくビシッとカッコよく正体を明かしたのに、エマの言葉に感化される者達も少ないない始末。
まぁこの場にいる大半は、荒事とは程遠い貴族だし。
私が本当にSランク冒険者だと判断できなくても仕方ないのかな?
「……」
「言い返せないって事は、やっぱり嘘だったんですね?
たまたま名前が似ていたからって、これ以上罪を重ねるのはやめてくださいっ! 私は謝ってもらえればそれでいいですからっ!!」
「っ!!」
で、でたぁ!!
まさか! まさか!! 実際にそのセリフを!!
もはやテンプレとも言える〝謝ってもらえればいい〟を生で聞けるなんてっ!!
もう完全に乙女ゲームとは展開が変わってるし、どう動いてくるかなぁ〜っとは思ってたけど。
まさか王道ヒロインでくるとは……ちょっと感動だわ。
「ソフィー……」
「わかってる」
いくら感動したとしても、いつまでもテンプレのセリフを聞けて喜んでるわけにはいかないし。
「そうですか。
エマさんの発言は、セドリック……いえ、この場にいる皆さん全員の意見とお取りしても?」
「そ、そうだ!
これは私達全員の意見だっ!!」
あーあ、セドリックも冤罪を認めて引き下がればいいのに。
「それは残念です。
私がSランク冒険者ソフィーだと言う事実は、国王陛下をはじめ一応この国の重鎮の方々は既にご存知なのですが」
「は?」
「皆さんに信じてもらえないのならば仕方ありません。
これ以上あまり大事にしたくはなかったのですが……」
「な、何をする気だ?」
「私自身の無実と嘘をついていないという事を証明する。
私の誇りを守るためです」
勿論! 準備はしてたけど、できるなら本当にこれ以上大事にはしたくなかった。
だってみんなに迷惑をかけちゃう事になるし。
でもこうなったからには仕方がない。
「ふふっ、私の持てる全ての力を用いて……」
パチンっ!!
軽く指を打ち鳴らして、複数の魔法陣を展開する。
「我が誇りを守って見せましょう」
さぁ! 援軍に来てもらうとしようっ!!
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