第489話 全ての準備は整った!!

 何事もなく、無事に控え室……というよりも、セドリックの婚約者として与えられている自室に辿り着き。

 ファナと、ファナに技を仕込まれたルーによって着せ替え人にされる事しばらく。


「これで完成です。

 いかがですか?」


 若干ドヤ顔をしてるファナに言われて鏡を見ると……首までしっかりと詰まったすっきりとしたシルエットをした、Aラインの純白のドレス。

 一見ただの白に見えるけど、私の魔力を帯びた銀糸で刺繍を施されてるから私が動くたびに眩い光を放つ。


 鮮やかな青が混じった銀色で統一された、首や耳を飾る装飾品はドレスとも非常にマッチしてるし、小ぶりなのに存在感のある繊細な輝きを放っている。

 うんうん! 我ながらめちゃくちゃ綺麗だわっ!!


「2人とも流石の腕ね」


「ありがとうございます」


「むふん!」


 けどまぁ、ファナが教育係みたいなものだったとはいえ……まさかルーがここまでファナ似るなんて。

 一見は無表情だからわかりづらいけど、こう見えて可愛い装飾品とか服とかが好きだし。

 何よりファナと一緒で、私を着飾る事が大好き。


 もとは私のスキルによって生み出した別人格の並列存在だったはずなんだけど、今ではすっかりファナに染まってしまった。

 見た目は全然違うけど、性格とか趣味嗜好は本当にそっくりだし。


「しかし……装飾品に用いられているこの宝石。

 見た事もありませんが、本当に美しいです」


「ふっふっふっ! それはそうでしょう!!

 なにせこの装飾品は全て、フィルから贈られたもの」


 つまりっ!!


「四大国の中でもネフェリル帝国と並んで、超大国と称されるレフィア神聖王国の王族。

 それも王太子であるフィルから贈られた特別なものなの」


 そりゃあ早々お目にかかれない逸品だもん、美しいに決まってるしファナが見た事がないのも当然というもの!!


「それにこの装飾品についている宝石はただの宝石ではないのよ」


 その付加価値を考えたら……これらの装飾品1つ1つが持つ価値は計り知れない。

 というか最早、お金でどうにかできるものじゃない。


「この宝石は元はファナも見た事があるブルーダイアモンド。

 でもこの宝石には、長い時間をかけてゆっくりと慎重に馴染ませたフィルの魔力が込められているの」


 人類最強の一角であるSランク冒険者の1人に名を連ねる、フィルの魔力によって変質したブルーダイアモンドには、まさにこの世界で唯一無二なのだっ!!


「さて……」


 もっとこの宝石の凄さを自慢したいところだけど、これ以上みんなを待たせるのは申し訳ないし。

 着付けも終わって、全ての準備は整った!!


「それじゃあ、みんなが待っているリビングに戻りましょう」


 公爵令嬢。

 それも国内最大貴族である、ルスキューレ公爵家令嬢である私がパーティー会場に入場するまでには、もう少し時間があるだろうし。


「最後の対策会議……今回の作戦の最終確認をするわよ!!」

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