第447話 異変

「……っ!」


 この人が……400年前の聖魔大戦にて、まさにこの場所で魔法神ティフィア様と戦い、敗れて、その手によって封印されたっていう……


「女神アナスタシア……!!」


 かつて、この世界の主神として君臨していた存在!


「ははっ……」


 なんて圧倒的な存在感!

 400年前の聖魔大戦で魔法神ティフィア様に敗れたとはいえ、正真正銘の超越者。

 神と呼ばれる存在だったのは、伊達じゃないってことね。


「……」


 無言で佇んでいた、女神アナスタシアの目が開き……


「っ!!」


 えっ、な、なに!?

 ゆっくりと周囲を見渡していた視線が、なぜか私でピタッと止まったんですけどっ!

 なんかめっちゃ、見つめられてるんですけどっ!!


「あの子ではないようですね……なるほど、貴女はあの子の加護を受けた愛子ですか」


「えっ」


 な、なんで私が、加護持ちの愛子だってことを見抜かれてっ!?


「隣の貴女からは、僅かにあの子の気配を感じますね。

 あの子の子供といったところでしょうか?」


「ふふっ、さすがはかつての主神ね。

 力は弱っているはずなのに、まさか一目で私の正体を見抜くだなんて……貴女の言う通り、私は彼女の娘よ」


 って事は、もしかしてとは思ってたけど……やっぱりアナスタシアが言ってるあの子って、ルミエ様のお母様。

 つまりは魔法神ティフィア様のこと!!


「やはりそうでしたか。

 そして……人類と世界を救し救世の六英雄が一人、冒険王ガスター。

 お久しぶりですね、まさかまたこうして貴方とお会いできるとは思っていませんでした」


 救世の六英雄っていうのは、聖魔大戦の数年ほど前。

 世界を脅かした魔王という名の操り人形を倒した、ガルスさんやマリア先生を含めた6人の事って悪魔王国で聞いてたけど……


「冒険王ガスター?」


 ガルスさんのフルネームは、ガルス・カーナルのはず。

 なのになんで、女神アナスタシアはガルスさんのことをガスターって……


「久しぶりだな女神様よ。

 今はガルスって名乗ってるから、その呼び方は勘弁してくれ」


 んん〜? じゃあガルスさんの本名はガスターってことなの?


「ふふふっ、それにしても……あの子に子供が。

 私が封じられている間に、それ程までの時間が経過したのですね」


「アナスタシア様が魔神の手によって封じられてから、400年の月日が流れております」


「400年……ふっ、うふふっ、うふふふふっ! ウフフフフフフフフフフっ!!」


 なになになにっ! なにこれっ!?


「っ〜!!」


 女神アナスタシアが急に狂ったように笑い出して……神聖な魔素エネルギーが黒く、暗く濁って。

 綺麗な金色の髪が……


「そう、そんなに時間が経ったのね」


 黒く染まったんですけどっ!!

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