第395話 その前に
なんだろう……これほどまでに、生物としての次元が違うって強制的に理解させられるような気配を感じるし。
勝手にもっと高圧的というか、いかにも上位者って感じかと思ってたんだけど……
まさかここまで丁寧な言葉遣いで話しかけられるなんて!!
はっ! し、しまった! 私とした事が、気がついたら突然この場所にいて、その直後のルミエ様とのやり取りに気を取られてちゃんと礼も取れてない!!
相手は国王陛下。
それもルミエ様のお父様であり、魔法神ティフィア様の旦那様であり……この国! 御伽話の楽園、伝説に語られる神の国の国王陛下なのにっ!!
お、おおお落ち着け私!!
既に国王陛下から直接お声掛けいただいてしまったけど。今からでも跪いた方がいい……よね?
だって神の国の国王陛下だし!
「あぁ、別に跪いたり、必要以上に畏る必要はありませんよ。
気軽にしてください」
「っ!!」
こ、心を読まれて!?
いやまぁ、考えてみればルミエ様のお父様なわけだし、国王陛下が心を読む事ができてもまったく不思議じゃない。
という事は……
「ん? どうかしましたか?」
優しく微笑んでいらっしゃる国王陛下に……私が内心で焦りまくっていた事がバレちゃってるって事じゃんっ!!
い、いや! まだだ!!
確かにルミエ様や国王陛下といった、私の心を読む事ができる一部の人には焦りまくっていた事実がバレちゃったかもしれないけど……他のみんなにはバレていないはず!!
ここは他のみんなよりも経験豊富な公爵令嬢として!
そして何より……特級任務の船長で、尚且つ序列3位としての威厳を見せつけなければ!!
「お初にお目にかかります。
Sランク冒険者が1人、〝白銀〟ソフィーことソフィア・ルスキューレと申します」
ふふん! どうよ??
この誰もが見惚れちゃうような、完璧なカーテシーは!!
「陛下に拝謁が叶い光栄に存じます。
そして我々を歓迎してくださった事、感謝いたします」
ふっふっふ〜! これでも私は周辺諸国どころか、大陸全土の各国にその名を轟かせる天才なのだ!!
私がちょっとその気になれば、このくらいは普通にできちゃうのだよ!!
「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」
なぜかみんなポカンとしちゃってるけど、今の私の堂々とした立派な姿をみれば……私のことを超絶可愛くて強いだけのお茶目な美少女だと思っているみんなも、私のことを見直しただろう。
「なるほど、この子が……」
「?」
なんか……国王陛下が、うんうんって感じで頷いていらっしゃるけど、どうされたんだろう?
「ふふっ! ソフィーったら、あんなに立派になって……今すぐ抱きしめたいわ!」
「まったくですね」
ルミエ様はともかくして、エレンお兄様までっ!!
「お前らな……ここは仮にも国王の御前なんだぞ?」
「あはは……まぁ、いつもの事ですからね」
いや確かにそうだけども! ガルスさんのいう通り、ここは国王陛下の!
それも神の国の国王陛下の御前なのに!!
「あっ、そうだわ。
お父様、ソフィーがこの国を観光したいって言ってるよ、別にいいわよね?」
ル、ルルルルミエ様っ!?
「もちろん、好きに観光してもらって構わない……と、言いたいところですが」
や、やっぱり! さすがに無礼な態度を取りすぎちゃって、国王陛下の怒りを買ったんじゃ……
「その前に、彼らの歓迎会を行いましょうか」
「ほぇっ?」
か、歓迎会?
「既に準備はできていますし。
この国を見て回るというのなら、丁度いいのでその場でこの国の事や注意事項。
この国における、現在のソフィアさん達の立場も説明するとしましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます