第394話 国王陛下

 荘厳であり、豪華絢爛!

 そして満ち満ちた神聖な空気!!


「ふむ」


 苦笑いを浮かべたグラン様に謝罪されたあと、グラン様の案内で王城の廊下を歩いてるわけだけど……どうしよう?

 グラン様は本来なら女王であるお嬢様、魔法神ティフィア様が私達を出迎えるって言ってたけど……


 実際に私達がこれから会うのは、女王たる魔法神ティフィア様ではなく国王様。

 つまり、魔法神ティフィア様は不在、もしくは私達を出迎える事ができない状態にあるって事になる。


「う〜む」


 娘であるルミエ様なら詳しい内情を知ってると思うけど……グラン様は魔法神ティフィア様じゃなくて、国王様が私達を出迎える事になった理由を話さなかったし。

 果たしてこれは聞いてもいいものなのか?


「ふふっ、ソフィーさっきから難しい顔をして、どうかしたの?」


「ルミエ様……えっと、その……」


 ど、どうしよう!

 気になる、気になるけど! 部外者である私が、国の機密かもしれない事を気軽に聞くのは……


「あら、お母様の事が気になってのね」


「っ!」


 ルミエ様! また私の心を読んで!!


「ふふっ、ごめんなさい。

 ソフィーが気になっている事を教えてあげるから」


「いいんですか?」


「えぇ、構わないわ。

 お母様は今、この国にいないのよ」


 なるほど、魔法神ティフィア様はこの国にいな……


「えっ?」


「実はね、お母様とお父様は喧嘩中なの」


 喧嘩……


「お父様が浮気をしちゃってね」


「っ!!」


 う、浮気っ!?


「それでブチギレたお母様が家出……国を出ちゃったのよ。

 まぁ、実際にはお母様の勘違いで、喧嘩と言ってもお母様が一方的に怒ってるんだけど」


 おぉう、それはなんというか……うん。


「お父様も必死になって、お母様を連れ戻そうとはしてるんだけれど……結果は芳しくないわね」


「な、なるほど……」


 だから女王様である魔法神ティフィア様の代わりに、国王様が私達を出迎えてくださるってわけね。

 はぁ〜、気になってた事が解消されてスッキリしたのはいいんだけど……


「あのソフィーちゃんが落ち着いてる!?」


「あぁ、ソフィーちゃんなら、もっとはしゃぐとばかり……」


「俺、お嬢が公爵令嬢だって事を久しぶりに実感したわ……」


 オラシオさんも! イェーガーさんも! ロイさんも!

 そしてそんなロイさんの言葉に、うんうんって感じで納得して頷いてるみんなも!!

 さすがに失礼すぎないっ!?


「ルミエ」


「「「「「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」」」」」


 なに、この感覚?

 押し潰されるような感じとも、圧倒されるような感じとも違う。

 生物として核が……存在の次元が違う。


「あまりお父様の失敗談を広めないでくれますか?」


「あら、だって事実でしょ?」


 ついさっきまで、ほんの数瞬前までは廊下を歩いていたはずなのに……気がついたらいた、この場所。

 謁見の間だと思われるこの場所の、玉座に座っている人物……


 薄らと輝くようなプラチナブランドの髪に金色の瞳。

 今まで見てきたどの男性よりも! 乙女ゲームの攻略対象ヒーロー達なんて目じゃないほどに……まさに完成された美とも言うべき美貌。


「はぁ……おっと、待たせてしまってすみません。

 私はファルニクス、この国の国王でありルミエの父です。

 ようこそ、我らが王国へ」

 

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