第390話 魔法神の執事様
って、事はつまり……
「っ〜!!」
本当の本当に! 伝説の、神話の、御伽話の楽園にっ!!
探し求めていた、魔法神ティフィア様が治めていらっしゃるという、神の国に到着したんだっ!!
「ようこそって……」
あれ? ロイさん?
それにみんなも、なんか反応が微妙なんですけど……
「いきなり、そう言われてもなぁ……」
「まぁ、俺達は実際に目にしていないからな。
ここ数年探し続けてきた楽園が見つかったと言われて、はいそうですかと簡単には信じられない」
イェーガーさん、シャドウさん。
「そうだな。
実物を目にしたのはイヴくんと、ロイくんの2人のみ。
まずは実際に目にしない事には、判断できまい」
ア、アルマさんまで……!
それにみんなもそれに頷いてるし、フィルとエレンお兄様とガルスさんは苦笑いしてるけど。
「ふむ……」
おかしい。
この2年以上にわたる特級任務を通して、ルミエ様が魔法神ティフィア様の実の娘であり!
私達の目的地を知ってるどころか、神の国のお姫様である事はみんな知ってるはずなのに。
そのルミエ様が、目的地に着いたって!!
ようこそって言ってるのに、まだ信じられないなんて……いやまぁ、2年以上にわたって大海を航海してきたわけだし、そう簡単に信じられない気持ちもわからなくもないけども!
「ふふっ、まぁそうよね。
私の力は全員、知るところだとは思うけれど……私が魔法神の娘だなんて話、そう簡単に信じられないのも当然よね」
「えっ?」
ちょ、ちょっと待って!
それじゃあ、みんなの反応が微妙なのは……ルミエ様が魔法陣様の娘だと信じきれてないからってことっ!?
「ごめんね!
ルミエ様の力は理解してるけど……それは流石にね」
「申し訳ないですが……」
フラン先輩、ミルバレッドさん……
「別に気にする必要はないわよ? 私も貴方達の反応がふつうだと思うしね。
だから私の事はひとまず置いておくとして、とりあえず実際に自身の目で見るといいわ。
という事で全員、甲板に出るわよ」
「甲板に?
ここじゃ、ダメなの?」
確かに! この船には船外を見る事ができるカメラがあるし、ラピストさんの言う通りわざわざ甲板に出なくてもここから外の様子を見る事ができる。
「えぇ、実は国全域に……大陸全域に結界が張り巡らされていて、この船の外部カメラでは見通せないのよ」
「っ!!」
な、なんですとっ!!
この船に搭載されている、数キロ先まで容易に見通す事ができるスキルと魔法と前世の知識の結晶!
超高性能カメラを用いた監視システムが通用しない!?
いや、それ以前に……ルミエ様、今なんて! 大陸全域に結界が張り巡らされているっ!?
さ、さすがは伝説たる神の国、話の規模からして桁違いだわ。
パチンッ!
ルミエ様が軽く指を打ち鳴らすと同時に、一瞬にして視界が切り替わり……
「お待ちしておりました」
少し遠くに見える大地を背に、当然のように厳重な警備網が張り巡らされているこの船の甲板に佇み。
「ますば、無事にこの場所まで到達できたこと、おめでとうございます」
完璧な所作で一礼する、執事服に身を包んだ人物。
何者かは知らないけど……不思議とわかる、あの人は強い! それも圧倒的にっ!!
みんなもそれが本能で理解できてるから、押し黙って固唾を飲んでるし。
まぁそれでも咄嗟に身構えれてるのはさすがだけど……人類最強の一角たる私達Sランク冒険者を、その場にいるだけでこうも圧倒するなんて。
「貴方は何者ですか……?」
「おっと、これは失礼しました。
私の名はグラン、この国を治められる女王に仕えし忠実な
この国を治められる女王……って事は! ルミエ様のお母様である、魔法神ティフィア様の執事さんって事じゃんっ!!
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