第385話 終わらせてもらうぜ?

「お、おおぅ……」


 パラパラと舞う土埃。

 バラバラと降る瓦礫。

 そして……砕け散って陥没した地面こと、巨大なクレーターさん。


「……」


 なんていうか、うん。

 あそこまで威厳を醸し出していたと言うか、完全に勝ち誇っていたルイーナをそんなあっさりと吹っ飛ばしちゃうのはちょっと……


 いやまぁ、全然いいんだけども。

 ルイーナは敵だし、まったくもって問題ないんだけども!

 あそこまで勝利を確信した態度で、余裕の笑みを浮かべてたのに……


「レオン陛下、ご無事だったんですね」


「まぁな。

 しっかし……まさかあの程度で俺をれると思われてるとはな。

 流石に心外だぜ」


 す、すみません。

 私も思っちゃってました。

 死んではいなくても、致命傷やそれに違い大ダメージを負ってると思ってました!


 なのにっ! それなのにっ!

 まさかの……あの圧倒的な魔素エネルギーの奔流を、この大破壊を引き起こした暴威をまともにくらって無傷で平然とっ!!


「ったくルイーナのヤツ、魔王をあまく見過ぎだろ」


 これが魔王……真なる魔王の一柱ヒトリである、獣魔王レオンの力!!


「すごい……」


 一撃……と言っても、まるで羽虫でも払うかのようにペイッと、簡単にルイーナを吹き飛ばしたのはどうかと思わなくもないけど。

 とにかくすごいっ!!


「やっぱり、魔王はすごいっ!」


 霊峰ニュクスに住う、全ての吸血鬼の頂点に君臨せし者。

 吸血鬼ヴァンパイアの女王にして、鮮血姫と畏れられる魔王ルーナ様もすごかったけど……レオン陛下もすごいっ!!


「ふふん! そう、その通りよ!!

 やっぱりソフィーは見る目があるわ! 私のお父様はああ見えて、結構すごいのよ!」


「カリンさん! そうですよね、本当にすごいですよね!!」


 これが世界最高峰!

 この世界の強者の中でもトップクラスの実力者たる魔王!!

 私も人類最強の一角にはなったけど、これで満足せずにより高みを目指して頑張らないとっ!


「でも、同じ魔王なら私はルーナ様の方がお父様よりも好きなの」


「えっ! カリンさんもですかっ!?

 実は私もなんです!!」


「本当っ!? 本当にソフィーは見る目があるわね!!」


 まさかカリンさんレオン陛下よりも、ルーナ様派だったとは!

 これは今日の夜はルーナ様の凄さや、かっこよさについて語り合わなば!!


「お前らな……本人を前にして、そんな事言うか普通」


「はっ! す、すみません」


 私とした事が、同志を見つけた歓喜でつい。


「も、もちろんレオン陛下もすごいと思いますし、尊敬してますよ?

 でもルーナ様は同じ女性だし、孤高って感じがいいと言いますか……」


「そう! そうなのよ!!

 ルーナ様には憧れちゃうっていうか、でもお父様は……なんかちょっと違うのよね」


「うんうん!」


 わかるぅ〜!!


「以前にルーナ様が教団の最高幹部を瞬殺した時なんてもう、カッコよくてカッコよくて!」


「えっ! 何その話っ!!

 詳しく聞かせて!!」


「もちろんです!

 心ゆくまで語り合いましょう!!」


 むふふっ! 楽しみだなぁ〜!!


「ソフィーは……まぁ、いつも通りとして。

 あの人もなかなかですね……」


「ふふっ、2人とも可愛いじゃない」


 むむっ! フィルとルミエ様が何やら話してるけど……ははぁ〜ん、なるほど。

 フィル達も仲間に入れて欲しいんだな! にゅふふ、心配しなくてももちろん仲間に入れてあげますとも!


「そう言うわけだから、お父様! 早く終わらせて帰りましょう!」


「ったく、お前らなぁ……はぁ、わかったよ」


「っ!!」


 がっくし肩を落としていたレオン陛下の雰囲気が急変したっ!!


「さて……可愛い娘達もこう言ってる事だし。

 ルイーナ、お前には悪いがさっさと終わらせてもらうぜ?」


「なん……ですって?」


 おぉ〜、瓦礫の中からルイーナが!


「じゃあな、消し飛びやがれ!」


 瞬間、レオン陛下の魔素エネルギーが膨れ上がり……


獣王の咆哮レオン・ロア


 ルイーナを飲み込んだ白い光の閃光が、視界を真っ白に染め上げた。

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