第384話 デタラメ
「っ〜!!」
むちゃくちゃじゃんかっ!!
咄嗟に断魔結界を展開したけど……
ピシピシッ──!
一瞬で無数の亀裂が走って、ゴリゴリと魔力が削られる!
これがルイーナの……教団のスパイとして約100年に渡って魔王の一角に数えられ、教団の最高幹部の1人でもあるルイーナの力!!
膨大な魔力を……圧倒的な魔素を解き放つだけで、周囲に大破壊を引き起こす。
まぁ魔素ってのは純粋なエネルギーの事だし、理屈はわかるけど……なんてデタラメで
「うぅ〜!」
ヤバいヤバいヤバいっ!
結界が……もう、もたないっ!!
「ふふっ、流石ね」
圧倒的な魔素の奔流。
上下左右、360度から押し潰されそうな重圧が……
「ぷはぁ〜!!」
フッと一瞬で消失した。
「よく頑張ったわね、ソフィー」
「ル、ルミエ様ぁっ!!」
もうギュッとしちゃう!!
あのデタラメな魔素の奔流の中で、転移魔法を発動させてルイーナの魔素の範囲外まで転移するなんて!
さすがはルミエ様!
さすがは魔法神ティフィア様の娘っ!
すごい! すごすぎ!! もう、ルミエ様大好きっ!!
「ふふっ、ソフィーは甘えん坊さんね」
「へっ!?」
あ、甘えん坊さんって……で、でもこうして、優しく頭を撫でられてたらルミエ様から離れなれないぃっ!
「しかし……これは凄いね」
「うん」
目の前で、まるで巨大な壁のように……天を穿つ漆黒。
ルイーナが解き放った、デタラメな
「そうね」
ルミエ様も認めちゃうほどだし、本当にさすがとしか言えない。
「それで、ルミエ様に抱きついてるのはいいけど、あまり気を抜きすぎないようにね」
「はっ!」
そ、そうだった。
ルイーナのデタラメな力を目の当たりにして、ちょっと……ほんのちょっぴりとだけ、取り乱しちゃってたけどここは戦場!
気を引き締めないと!!
「それに……僕達はルミエ様のおかげで範囲外まで退避できたけど、あの直撃を受けたレオン様は……」
「え……っ!!」
そうじゃん! 範囲外に転移した今ですら、余波を結界で凌いでるほどなのに。
レオン陛下はルイーナのこのデタラメな魔素を、至近距離でまともに……
「……そろそろ、収まってくるわよ」
「はい」
果たして、あの漆黒の魔素の奔流の中はどうなっているのか。
徐々に漆黒の魔素が収縮するように引いて行き……
「「「……」」」
うそ、でしょ?
さっきまで私達がいた、ルイーナのお城も。
大地も、何もかも……綺麗さっぱり、消滅して……
「うふふっ! どうかしら? 私の力は。
気に入ってもらえればいいのだけれど」
ルイーナ……
「あら、どうしたの? 私の本当の力を目の当たりにして、声も出ない?」
「っ!」
「うふっ! 別に恥じる事はないわ。
私の本気を……圧倒的な力を前にして、弱者が恐怖を抱くのは当然だもの」
「弱者……」
この、私が?
私達が……弱者?
ふ、ふ〜ん、確かにこの大破壊の光景にちょっとだけ唖然としたのは認めるけど……言ってくれるじゃない!!
「しかし、あの美しい私の城が、私の支配領域が見るも無惨ね。
こうなるから全力を出したくなかったのだけれど……まぁ、魔王レオンが相手だったのだし仕方ないわね」
こんなのその気になれば私にもできるし……たぶん。
と、とにかく! 目にもの見せてやろうじゃないのっ!!
「城ならまた配下に造らせればいいし、邪魔な魔王を1人消せたからよしとしましょう。
さて……それじゃあ、特異点たる愛子には一緒に来てもらって、他の2人は死んでもらうとしようかしら?」
「もう勝ったつもりですか?」
「えぇ、当然でしょう。
素直に投降すれば、貴女は痛い目にあわずに済むわよ? それとも、私に勝てると思っているのかしら?」
「もちろんで……」
「ふふっ、現実を思い知ったようね」
笑みを浮かべるルイーナから立ち昇る、さっきと同等の膨大な魔素。
「残念だけれど、正直者の権能によって私の
嘘をつかない限り、私には無限の魔素があるって事よ」
「ははっ……まさか、これほどだなんて」
本当に、デタラメだわ。
「そう、貴女達では私には勝てな……」
「まっ、所詮はこの程度だよな」
ルイーナの言葉を遮って、覇気に満ちた声が鳴り響く。
「はっ?」
その声を受けて、唖然と振り返ったルイーナが間抜けな声をこぼし……
「ったく、この程度でイキってんじゃねぇよ」
無造作に放たれた獣王の……レオン陛下の一撃が、ルイーナを弾き飛ばして地面に叩きつけた。
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