第378話 あの時とは違うのです!!

「さて……お待たせしましたね。

 教団が最高幹部、十使徒の第八使徒・沈黙のシュティル、第七使徒・慈愛のピア、そして……」


 あれ? そういえば、ルイーナの教団での席次と称号を知らなかったわ。


「あら、十使徒の一人としての自己紹介がまだだったわね。

 私は光の使徒に属する多くの使徒達を導く、十使徒が第六使徒・真実のルイーナよ」


「そうですか。

 では……真実のルイーナ! あなた達3人は私達が、ここで倒します!!」


 ルイーナがピアよりも格上の第六使徒ね。

 ピアの相手は私が、ルミエ様がシュティル、フィルがルイーナの相手をするって決まっちゃったけど……フィル、大丈夫かな……?


「心配しなくても大丈夫だよ。

 僕を信じて」


「う、うん」


 もちろんフィルの実力は知ってるし、信頼もしてる。

 なにせ! フィルがこの私の相棒なわけだし、弱いはずがない!!

 でも……心配なものは心配なんだから仕方がない。


「そうだな……じゃあ、なるべく早く勝って、援護に来てくれるかな?」


「うん! 任せて!!」


 ルイーナとも因縁があるし、ピアを倒してレオン陛下の仇を打ったらすぐにフィルの援護に駆けつけよう!


「うふっ! うふふふっ、あはっはっはっは!!

 ソフィーちゃんが、このピアちゃんを! このワタシを! この……真なる光の神のモノであり、主人様にお仕えする十使徒たる慈愛のピア様を倒す?」


「えぇ、その通りです」


 怖っ! 前にピアの腕を斬り飛ばした時もそうだったけど、この豹変具合!!

 めっちゃ怖いんですけど!


「んふっ、ふふふふっ! そんな事、本当にできるとでも思ってるの?

 前にワタシに殺されかけた事を忘れたのかなぁ〜?」


「いいえ、しっかりと覚えていますよ」


 当然5年前の事は覚えてる、忘れるわけがない!

 私の可愛い、可愛い義妹であるミネルバを操り、イストワール王国が混乱に陥れられ……そして私が一方的に敗北した苦い記憶。


「けど……」


「ふふっ」


 ルミエ様が不敵な笑みを浮かべ……



 パチンッ!



 軽く指を打ち鳴らした瞬間──


「はっ?」


 一瞬にして周囲の光景が切り替わり。


「カハッ!?」


 ポカンとした顔で、間抜けな声をこぼしたピアの腹部に私の回し蹴りが突き刺さる!

 ピアの身体が浮いて……後方へと弾け飛ぶ!!



 ドゴォォォオ!!



 地面にバウンドして、ピアが叩きつけられた壁が崩れ落ちる。


「うぇっ……げほっ! ゴホッ……!!」


 四つん這いになって、吐血しながら咽せるピアを見下ろし……


「私を誰だと思っているのですか?」


 ビシッ!!


「私は悪役……」


 じゃなくて。


「人類最強の一角であるSランク冒険者が1人、〝白銀〟のソフィーですよ?」


前回、ピアと戦った時から色々。

それはもう色々とあった。


「5年前とは……貴女にでも足も出ずに惨敗した、あの時とは違うのです!!」

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