第351話 マジですか
「ほわっ!?」
び、びっくりした!
フィルと一緒にセドリック達のいる第5階層に向かおうと思って、ノワールさんのお膝の上から立ち上がって……直後にノワールさんのお膝の上に戻されて、私とした事がちょっと変な声が出ちゃった。
というかノワールさん、その必要はないってどういう……?
確かにセドリック達はその実力だけでいえば、ギリギリとはいえCランク冒険者相当と言える。
本来なら第5階層くらいでは、何の問題もないだろう。
でも彼は温室育ちで、いいところのお坊ちゃんだし。
エマに至っては魔物が存在しない地球の、それも比較的安全な日本から転生して来たばかり。
つまりセドリック達5人は、実力はあっで実践経験が乏しい。
よってFランクの魔物といえども、敵が単体ではなく集団で出現するようになる第5階層以降は危険が大きい。
だから当初の予定通り、ここから先は私達が陰ながらセドリック達をサポートした方がいいと思うんだけど……
「ふふふっ、大丈夫よ。
何も問題はないわ」
「えっと……ノワールさん、それはいったいどういう?」
「そうね……本当は秘密なんだけど、ソフィーちゃんは特別だから教えてあげるわ。
実はこのダンジョンは私達、七魔公に管理が任されているのよ」
「へぇ〜」
まぁノワールさん達は伝説に謳われる大悪魔!
悪魔達の住む世界である悪魔界を統治する七柱の
「……ん? このダンジョンの管理を
「それに私が特別って……」
教団……光の使徒の連中が私の事を、特異点たる愛子って呼ぶ理由。
恐らくだけど名前がわからない何者かからの加護だろうけど、それと何か関係があるのかな?
「ウフフ、さっきも言った通り、私は3番目に生まれた悪魔」
「3番目……という事は」
「そう、私は
その下にもう1人の公爵、侯爵、そして伯爵であるレヴィアや子爵であるベルと続くわ。
つまり私達よりも高位の
おぉう、マジですか。
これでも一応は人類最強の一角とされるSランク冒険者、その中でも私の実力はこの2年間で他のみんなから色々と教わったり、技を盗んだりして上位に位置する……と思う。
恐らくSランク冒険者で私よりも強いのは、ルミエ様とガルスさんの2人だけだし。
そんな今の私ですら底が見えない……全く敵わない七柱の
「お1人は私達の上に立たれて、私達が統治する領域を含めた悪魔界全土を治める皇帝。
そして……最も古き原初の悪魔にして、全ての
「……」
なんというか……うん、さっきまでは妖艶でミステリアスな美女って感じだったけど、一気に残念な時のお兄様達感が噴出しちゃったわ。
「ノワール、話が逸れているわよ」
「っと、私とした事が……こほん、とにかくこのダンジョンは我らを統べられている悪魔族の神。
原初の悪魔であらせられる、いと尊く貴き御方より私達七魔公が管理を仰せつかっているのよ」
「な、なるほど」
「つまり私達七魔公、7人全員がそれぞれこのダンジョンにおけるダンジョンマスターとしての権限を持っているの。
よって……」
『おかしい』
『セド? どうしたの?』
『いや、さっきから全く魔物と遭遇しないと思ってね……』
「こんなふうにあの人間達が魔物と出くわさないようにしたり、彼らが危険になれば即座にソフィーちゃん達をその場に転移する事も、彼ら自体を安全な場所に転移させる事も。
なんなら今すぐに彼らを12階層にある、愚か者共の拠点の前に送る事だって簡単にできるのよ?」
「ま、マジですか……」
「えぇ、マジです。
だからソフィーちゃん達の手助けが必要となるまでは、気楽にここで私達とお茶をしていましょうね」
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