第349話 見てなかったっ!!

「公爵位……」


 以前にレヴィアさんから聞いた話によると、同じ悪魔公デーモンロードでも序列が存在するらしく。

 一部の例外を除いて、基本的には男爵位から公爵位までの5つの階級にわけられる、との事。


 特に公爵位に位置する二柱の実力は圧倒的!

 今の私からしたら全く敵わない程の実力者である伯爵位のレヴィアさん、子爵位のベルさんからしてもその力は絶大!!

 二柱の公爵位はまさに隔絶した強者だという。



 妖艶に微笑んで、さっきからずっと私の頭を撫で撫でしてるノワールさんが!

 傾国と呼んで差し支えないこの黒髪黒目の超絶美人さんが、そんな公爵位の悪魔公っ!?


「ふふふ、実はそうなの」


「ひゃうっ!」


 み、耳元で! 私の耳元で色気たっぷりな声がぁっ!!


「ひゃう! ですって!!

 あぁ〜、もう本当に可愛いわ〜!!」


 ちょっと待って! 甲斐甲斐しく手作りケーキを食べさせてくれているレヴィアさん、撫でてた頭を押し付けてくるベルさん、そして私に抱きついて撫で回してるノワールさん。


 じゃあ私はいま、当然のように特Sランクの神災級に数えられ。

 悪魔族デーモンの頂点に君臨し、悪魔界を統治している伝説の大悪魔。


 七柱存在する悪魔公デーモンロード……七魔公と呼ばれているらしい、伝説の大悪魔のうちの三柱に構い倒されているって事っ!?

 というか! そもそも……


「どうして……」


 なんで一箇所に、そんな大悪魔が勢揃いしちゃってるの!!

 いやまぁレヴィアさんとベルさんとは、しょっちゅう会ってるけど。


 とにかくっ! 一箇所に伝説の大悪魔たる悪魔公が、三柱も揃うなんておかしくないっ!?

 それも公爵位の存在まで……


「ウフフ、ソフィーちゃんが困惑するのも無理はないわね。

 でもこれは当然と言えば、当然の事なのよ?」


「当然、ですか?」


 ナチュラルに思考を読まれてる事は、もうこの際おいておくとして。

 ノワールさんの言ってる当然ってどういう……


「ふふふ、ここがどういう場所なのかは、ソフィーも知っているでしょう?」


「ここがどういう場所なのか、ですか?」


 ルミエ様ったら今更何を言ってるんですか! ここはレフィア神聖王国にある未踏破ダンジョン・魔天楼。

 危険度Sランクに認定されている、悪魔達の楽園……


「あっ」


「そう、ここは多くの悪魔族デーモンが巣食う悪魔の楽園」


「なるほど……」


 それなら確かに伝説の大悪魔である七柱の悪魔公、七魔公のうちの三柱がいてもおかしくはない……のかな?


「いやいや、いくらこのダンジョンでも七魔公であるこの方々が3人も、この場所に集う事なんて滅多にない事だからね?」


「えっ、そうなの?」


「そうだよ。

 ソフィーはよくレヴィア様達とお会いしてて感覚が麻痺してるんだろうけど、そもそも悪魔公といえば伝説に謳われる悪魔界を統治する大悪魔だよ?」


 それは、まぁそうだけど。


「普通の人なら目にする事すら有り得ない大悪魔が、七柱しか存在しない七魔公が3人もこの場に集う事なんて早々あるはずがないし。

 それ以前にこの方々がよくこのダンジョンにいたのなら、変な奴らがこのダンジョンで悪さをする事もなかったでしょ?」


「た、確かに!!」


 レヴィアさん達が管理してるダンジョンで、悪巧みなんて自殺に等しい愚行!!


「あら、確かにここには久しぶりに来たけれど、一応この場所は私達七魔公の集会場の一つでもあるのよ?

 私達悪魔は嫉妬深いから」


 嫉妬深い? それってどういう……


「っと、彼らが第5階層に入ったみたいだね」


「っ!!」


 ノワールさん達と話してて、セドリック達のことを見てなかったっ!!

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