第348話 漆黒の悪魔
ことの始まりはそう、セドリック達にバレないように尾行して、私達もこのダンジョンに足を踏み入れた時にまで遡る……まぁ遡るって言っても、ほんの30分ほど前の事だけど。
とにかく! 全てはダンジョンに入った瞬間、刹那のできごと!!
あのとき私は、私達は油断なんてしていなかった。
いくら第一階層ではFランクの魔物しか出てこないとはいえ、ここはSランクに認定されている未踏破ダンジョン。
何があっても対応できるように、ちゃんと警戒していた。
にも関わらずっ!!
セドリック達に続いてダンジョンに入った瞬間……気が付いたらこの女性の!
「ふふふ、そんなに緊張しなくてもいいのよ?」
妖艶に微笑む、黒髪黒目の美女……ノワールと名乗ったこの人の膝の上にいたっ!!
そして目の前には同じく転移させられたフィルとルミエ様。
そして……
「ノワール様、いきなり転移させられて、膝の上に乗せられたら緊張……というよりも困惑してしまうのも、した方ないかと」
「そういうものかしら?」
「そうですよ〜! だからそろそろ仲良しの私にも、ソフィーちゃんをギュッてさせてください〜」
悪魔界を統べる大悪魔の一角、
「ダメよ、ソフィーちゃんは渡さないわ!」
「ほわっ!?」
急に抱きしめられて、顔にぷにぷにした弾力のある柔らかいものがっ!!
「それに2人はよくこの子と会っているんでしょう? 貴女達の自慢話を聞いて、羨ましかったんだから」
ま、まぁ確かに特級任務の最中でも関係なしに、船の上でも恒例のお茶会を週一くらいのペースでやってたし。
悪魔公っていう伝説の存在のはずなのに、日常の一コマになる勢いで会ってたけど……
「まぁ! 週一ペースで!!」
「っ!?」
ふ、普通に心を読まれた!!
「やっぱりダメよ。
今日は私がソフィーちゃんを堪能するんだから」
「えっと、その……」
ど、どうしよう。
この30分間、ノワールさんの膝の上で借りてきた猫みたいになってるわけですし……そろそろ解放されて、一息つきたいのですが……
というか! そもそもノワールさんって何者なんだろう?
普通に私の心を読まれた事もだけど、悪魔界を統べる大悪魔であるレヴィアさんやベルさんとも、対等かそれ以上に話してるし。
レヴィアさんとベルさんは様って敬称をつけてる事から、もしかするとノワールさんの方が立場が上なのかもしれない。
なんというか、上司と部下ってかんじかな? そして何より……
この傾国と呼んであまりある妖艶な美貌に、お母様やお姉様達と比べても遜色のない
っじゃなくて、まるで深淵でも覗き込んでるかのような、底知れない威圧感。
「あら、そう言えば名乗っただけで、ちゃんと自己紹介はしていなかったわね」
「っ!」
またしても、当然のように心を読まれた!?
「ウフフ、ソフィーちゃんの予想通り私はレヴィアやベルの上司。
偉大なる我らが神にて主!! いと貴く尊き御方にお仕えする七柱の大悪魔たる悪魔公、七魔公の纏め役にして、3番目に生まれし者よ」
「3番目……?」
いや、それよりも! という事は、ノワールさんは! ノワールさんもっ!!
「えぇ、ノワール様は公爵位の悪魔公です」
「とぉ〜っても、強いんだよ〜」
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