第340話 許すまじ!!

「って、事が昨日あったわけだよ」


 しかし、これだけで終わらない!!


「しかも! そのあと結局セドリックはエマに駆け寄って、お姫様抱っこで保健室に連れて行ったんだよ!?」


「なるほど」


「むっ」


 フィルめ、なるほどってなによ!

 せっかく昨日イストワール王立学園であった、私の完璧な悪役令嬢度合いを語ってあげたのに……なるほどって!


 反応が薄すぎないっ!?

 なんかもっとこう……とにかく! 愚痴ってるんだから、もっと反応してくれてもいいのに!!


「むぅ……」


 まったく、フィルったら女の子の扱い方がわかってないわ。

 せっかく私みたいな超絶美少女と一緒に、オシャレなカフェでデートしてるんだから、もっと親身になって聞いてくれてもいいと思う!!


 まぁ、デートといってもミラさんが来る前にちょっと早くフィルを引きずっ……誘って、昨日の事を話してただけなんだけど。

 もっと共感して話を聞かないとモテないぞ!!


 ん? いや、そんな事はないのかな?

 こう見えてフィルは四大国の中でも超大国と称されるレフィア神聖王国の王子様。

 それも第一王子なわけだし、モテモテなんじゃ……


「ふ〜ん」


「なに?」


「いぃ〜え〜、別にぃ〜」


 なんでだろう? フィルがモテモテとか、それはそれでちょっとモヤっと? イラッとする。

 う〜ん、はっ! これはあれだ!!


 フィルが私よりも人気がある……かも! あくまでも仮定の話だけど、フィルが私よりも人気かもしれないからイラッとしてるんだわ!!


 むむっ、2年前のSランク冒険者全員による特級任務開始時の出航式典では、私の人気が圧倒的だったのに。

 流石は我が相棒にしてライバル、やるわね。


 フィルがなんかジッと見つめてくるけど……どうしたんだろ?

 まっ! 私の美貌に見惚れちゃうのは仕方ないから、別にいいんだけど!!


「あっ、これ美味しい!」


 流石はオルガマギア魔法学園を有する、魔導学園都市王国の首都である第一都市で最も人気の有名店!


「はぁ……それで、1つ聞きたいんだけど」


「なに? 今は謎のイライラの原因もわかって、美味しいスイーツを堪能できて気分がいいからなんでも答えてあげよう!」


「謎のイライラ?」


「むふふっ、私のスリーサイズでも聞いちゃう? それとも今着てる下着の色にする?」


 さぁ! 赤面して焦るがいい!!


「う〜ん、そうだね。

 じゃあスリーサイズを教えて貰おうかな?」


「ほわっ!?」


 ス、ススススリーサイズでもって!!


「な、何言ってるのっ!?」


 そんなの教えるわけな……


「あれ? ソフィーが教えてくれるって言ったのに、教えてくれないの?」


「うっ、そ、それは……だって」


 そんなの普通に聞いてくるなんて思わないじゃん!

 ちょっと揶揄ってやろうと思っただけなのに……


「うぅ……う、上から……」


「とまぁ、冗談はこれくらいにして」


「っ!?」


 こ、コイツ……っ!!


「この前の対策会議で、可能な限り関わらないって方針に決まったはずだけど……よかったの?」


「ふん! 別に婚約を破棄してくれるなら、私としても好都合だもん」


 そんな事より! フィルめ、許すまじ!!

 私の事を揶揄ってくれた事は、この後しっかりとミラさんに報告してやる!!

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