第341話 次なるイベント
「ふふふっ」
『あら、急にどうしたの?』
「いえ、ちょっと昨日の事を思い出して」
一昨日はイストワール王国の王都ノリアナにある、イストワール王立学園。
今日は四大国が一角である魔導学園都市王国の首都たる第一都市にある、オルガマギア魔法学園。
そして……波の音が鳴り響き、潮の香りが漂う。
今日は史上初となる、Sランク冒険者全員による特級任務を遂行中のマスが管理している船っ!!
我ながら忙しい毎日を送ってると思うけど……
とにかく! 今は穏やかな海域だって事もあって、船の看板に出て、猫ちゃんサイズのルミエ様を膝に抱き!!
ビーチチェアで寛ぎながら、海を眺めて優雅にお茶を楽しんでるわけだけど。
「実はですね……」
あの後、合流したミラさんに予定通り、フィルが私にスリーサイズを聞いてきたという事実を説明してやったのだ!
まぁ確かに最初に揶揄ってやろうと思って、スリーサイズでも下着の色でも教えてあげるとか冗談を言ったのは私だ。
けど! まさか何食わぬ顔で女の子に! 私のスリーサイズを聞いてくるなんて思わないじゃん!!
いくら最初に仕掛けたのが私とはいえ、あれは流石にタチが悪い。
そんなわけで! フィルはミラさんによって、デリカシーがない、最低だとしっかりと成敗されたのである!!
むふふっ、私の事を揶揄おうとするからこうなるのだよ! まぁ恥ずかしいからスリーサイズを聞かれた云々は内緒だけど。
「昨日とある理由でフィルがミラさんに怒られちゃったんですよ」
『あぁ、ソフィーがスリーサイズを聞かれて可愛らしく赤面してたアレね』
「ほえっ!?」
『恥ずかしがりながらも律儀に答えようとするソフィーも、揶揄われていたと知って怒ってちょっと理不尽なソフィーも可愛かったわ〜』
えっ! えっ!?
「な、なんで知って……っ!?」
あのカフェは第一都市内とはいえ、学園の外だからちゃんと周囲に見られないように強力な結界も展開してたのに!!
『ソフィーにあの結界を教えたのは誰だと思っているの?』
「っ!!」
そ、そうだ! この特級任務が始まって2年。
他のSランク冒険者のみんなから習ったりしつつ、私のユニークスキルである探究者の権能を持ってして、色々な魔法とかスキルを習得してきたけど。
あの結界はそんな魔法の1つであり、強度も高くて色んな性能を付与できて便利だからここ最近は何かと多用してたけど。
教えてくれたのは他でもないルミエ様じゃん!!
『私が教えたの結界を、私が突破できないはずがないでしょう?』
「うっ……」
『ふふふっ、それにこの私がソフィーとフィルとデートなんて、面白そうなイベントを見逃すはずがないじゃない』
ルミエ様……ま、まぁでもルミエ様には色々恥ずかしい所も見られてるし、ルミエ様にだけだったら昨日の一幕を知られてもダメージはそこまでな……
『昨日はちゃんとソフィーを愛でる会のメンバー達と一緒に、可愛いソフィーを見ていたわよ』
「……私を、愛でる会?」
『えぇ、ソフィーの家族や、ルスキューレ家の人が主なメンバーの会よ』
「その会のメンバーと一緒に見ていたと?」
『ふふっ、その通り』
そんな会があるって事も今初めて知ったけど……それはとりあえずおいておくとして。
「っ〜!!」
それってつまり! 昨日のやりとりは! 私がフィルにスリーサイズを教えようとしてた場面を、みんなに見られてたって事っ!?
「うぅ……穴があったら入りたいぃ……」
恥ずかしくて死ぬぅ!!
『ふふふ、それで……本当に明日もやる気なの?』
「ぅぅ〜、昨日フィル達にも言いましたけど、そのつもりですよ」
第一回対策会議では可能な限りセドリック達、特に不気味なサイラスとガイルには関わらないって方針に決まったけど。
この前の模擬戦もだけど。明日に起こるだろう乙女ゲームの次なるイベント。
当事者として、しっかりと見届けなければ!!
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