第18章 聖女召喚編

第316話 負けてなるものかっ!!

 周囲から集中する羨望や尊敬、憧れの念!

 なぜか若干名、微笑ましそうな顔をしてる人達がいるけど……とにかく! 彼らの視線を受けながら優雅に、そして堂々と歩みを進める!!


「ふんふんふ〜ん」


 ここは、世界に名高い超名門校。

 世界三大学園に数えられるオルガマギア魔法学園の一角なわけだけど……みんなの視線を集めちゃうのは仕方がない!


「ふふっ」


 私の人望がすごくて、先輩としても、魔塔の大魔道士としても、そして先生としても!

 白銀の髪にアメジストよのうな紫の瞳をした超絶美少女たる私が、みんなに人気なのは至極当然のことなのだから!!


 なにせ、私はみんなの憧れ!

 世界で15人しかいないSランク冒険者の1人にして、この学園にて数々の記録を生み出し。

 魔塔に所属する大魔道士で、史上初の特別名誉教授!!


 断言しよう!

 自惚れでもなんでもなく、今や魔法に携わっている者で私の名を知らないものなんて存在しない!!

 多くの人々から憧られてる、超有名人といえる。


「朝からご機嫌だね」


「あっフィル、おはよう」


 まっ、今日はあの子達が来てくれる予定だし、いろんな意味で記念すべき日だもん。

 いつもと比べて……というか、ここ最近と比べて機嫌がいいことは認めよう。


「遅れてごめん」


「いや、俺がちょっと早く着いただけで時間通りだよ」


「ふふっ……」


 俺、ね。


「……なに?」


「いやっ、フィルもすっかり思春期だなぁ〜っと思って」


 ちょっと前までは自分のことを僕って呼んでたのに。


「まぁでも、フィルももう15歳だもんね」


 昔はあんなに可愛くて天使って感じだったのに。

 まぁ今も変わらず憎たらしいほどに整った容姿だけど、なんていうか……抱きしめたくなるような可愛さから、近づき難い神々しい美しさになった。


 身体つきもゴリゴリの筋肉質ってわけではないけど、それでも普段から鍛えてるだけあって男性らしい感じになってるし。

 私なんて一緒に鍛えるはずなのに、全然筋肉がつかないのに!!


「そういうソフィーもでしょ?」


「ふふ〜ん! そうよ!

 今日で私も15歳。

 これでまた同い年だから、年下扱いはやめてよね」


 フィルは同級生なのに、ほんの数ヶ月誕生日が早いだけで年下扱いしてくるんだから。


「はいはい、とりあえず誕生日おめでとう」


「ふふっ、ありがとう」


「けど……ソフィーは昔から変わらないね」


「むっ!」


 失敬なっ!!


「それはどういう意味かしら?」


 これでもイストワール王国では、前世の記憶にある乙女ゲームのように月の女神って呼ばれてる淑女の中の淑女!

 王子妃教育、王妃教育は既に終えた自他共に認める天才!!


 年末にあった王家主催のパーティーで、他の同年代の令息令嬢達と一緒に社交界デビューしてからは、早くも社交界を牽引する中心人物の1人になってるんだから!!


「あはは……ごめんごめん、別に他意はないよ?

 ただこの学園にいる時とか、冒険者として活動してる時の素のソフィーは昔から変わらず、可愛いって褒めただけ」


 いい笑顔を浮かべながら、私の頭をポンポンと撫でるフィル……ほら! またこうして私のことを子供扱いしてっ!!


「ちょっと身長が高くなったからって調子に乗って!」


「いや、別に調子に乗っては……」


「ふん!」


 昔は同じくらいだったはずなのにっ!

 今や私よりも頭1つぶんほど身長が高いとか、フィルのくせに生意気っ!!


「そんな事より、今日はソフィーの誕生日パーティーでしょ?

 ルスキューレ公爵達も……それはもう首を長くして待ってるだろうし、拗ねてないで早く行こうか」


 別に拗ねてないし!!

 こうなったら……


「エスコートは当然してくれるんでしょうね、第一王子殿下?」


 ふふふ、さぁ! 赤面して恥ずかしが……


「勿論ですよ、お嬢様。

 さぁ、お手を」


「ほぇっ!?」


 な、な! ここはもっと私の淑女然とした所作と態度を前に赤面して、ドギマギする場面じゃないのっ!?


「どうしましたか? お嬢様」


 この余裕の態度!

 くっ、負けてなるものかっ!!


「別になんでもありません。

 参りましょうか」

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