第306話 当番を決めましょう!!
『以上が、当艦の主な設備と性能の説明になります』
「うんうん!」
当初の設計通り、素晴らしい設備と性能の数々だわ!!
ふふ〜ん! 確かにもう建造も終わってたこの船にマスがいたことには驚いたけど……さすがは私が全面的に協力して完成させた船っ!!
いくら世界にその名を馳せるSランク冒険者でも、この船以上にすごい船を見たことはないはず!
さぁ! 存分にこの船を作り上げた立役者の1人である、私を褒め称えるがいいわっ!!
『何かご質問はございますでしょうか?』
「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」
あ、あれ? なにこの微妙な空気。
まぁルミエ様とガルスさん、そして事前にちょっと自慢してたフィルとエレンお兄様は、マスの説明を受けても平然としているのはわかる。
けど……他のみんなはどうしたのさっ!?
なんでみんなして黙り込んじゃってるの? ここはもっと、すごいっ! ってなる場面じゃん!!
もうちょっとなにか反応してくれてもいいと思うだけど!
「こ、こほん! とにかくです!!
マスが今説明してくれたように、この船では半径500メートル圏内に一定以上の魔力反応を感知した場合、自動的に防御結界が展開されます」
さらに!
「そこからマスが管理している防衛システムが機能しているので、さっきのデモンストレーションのようにAランクの魔物までなら自動で迎撃が可能です」
さらにさらに!
「部屋は全部で1000室!
特に私達が使用する15部屋は内装もしっかりと整えて、広さ設備共に最高級ホテルのスイートにも引けを取らないものとなっています」
この室数は実際には各部屋はめっちゃ狭いけど、空間魔法で拡張することによって実現させた!
まぁこの船に乗ってるのは私達15人と、私も知らなかったマスだけなんだけども。
「他にも大食堂、中庭、畑に水槽に訓練室!
ぶっちゃけこの船の中でも十分に生活できるようになっているのです!!」
なんたってこの船の建造は、アルバ様と一緒にゲームをしている時にふとこんなのあったらすごくね? っていうおふざけから始まったわけだし。
私達が思いつた限りのことはできるようになっている!
「あぁ……まぁ、うん」
「これは流石に……」
ロイさん? ミルバレッドさん?
「流石の私も何も言えないよ」
「うん、私も……」
フラン先輩とオラシオさんも……
「こんなのって……」
「ヤバすぎるだろ……」
「なんと言ったらいいか」
「本当に……」
「非常識極まりないな」
「……異常」
イヴさん! イェーガーさん! アルマさんにオネットさん、シャドウさんにラピストさんまでっ!?
Sランク冒険者の中でも比較的常識人である6人まで……!!
た、確かにこの世界の文面の域をはるかに超えてる代物を作り出しちゃったって自覚はあるけども!
そのおかげかかなり楽な旅になるんだから、ちょっとくらい褒めてくれてもいいと思うっ!!
「うぅ……と、とりあえず部屋割りと今日の当番を決めてしまいましょう」
そして早く、この呆れたような視線を向けられる針の筵から脱出せねば。
「部屋割りはいいとして……今日の当番?」
「そうです」
「当番ってのはアレか? 料理当番みたいな?」
「えっ?」
料理当番って……ああ! なるほど!!
「ガルスさん、場を和ませてくれようとするのはありがたいんですけど……スベってますよ?」
「違うわっ!!」
「ふふっ、わかってますから」
まったく〜、照れちゃって!!
「はぁ……」
「さて! それじゃあ当番ですが……」
「ソフィーさん、その前に当番とはなんのことですか?」
「えっ?」
もうオネットさん、仕方ないですね!
「当然、この船の常駐当番に決まってるじゃないですか!」
「常駐……」
「確かにこの船はAランクまでの敵なら自動で撃退できますけど、それでも非常事態に備えて誰かはこの船に残ってる必要があるでしょう?」
「ちょっと待ってくれ、その言い方だと当番以外がこの船にいないみたいに聞こえるんだが?」
「そうですけど……」
イェーガーさんったらなにを当然のことを。
「この依頼は1日2日で終わるものではなく、数ヶ月単位、数年単位の時間がかかる可能性が高いんですよ?」
ルミエ様やガルスさんマリア先生にも、真っ直ぐに最短距離を進んでも船なら数週間はかかるって聞いたし。
それを大海原からなんのヒントもなしに見つけるとなると、いくら私達でも長い時間がかるのはまず間違いない。
まぁ私達の目的地の場所を知ってるルミエ様とガルスさんが、その場所まで案内してくれるのなら話は別だけど。
今回の依頼では自力で頑張ってみてって、課題をルミエ様から出されちゃってるし!
「そんなに長期間、世界最高戦略の一角にして魔王達に対する抑止力でもある私達Sランク冒険者が全員、大陸を離れているわけにはいきません!」
「それはわかりますが、既に我々は船の中にいるのにどうやって……」
「さっきマスの説明でもあったように、この船の設計と建造には私も魔法的な面で全面協力してるんですよ?
この船とアクムス王国の王城の一角とを繋ぐ、転移魔法陣を用意してるに決まってるじゃないですか!!」
それにそもそも私は転移魔法を使えるし、いつでも公爵邸や学園の自室に戻ってリラックスすることができる!!
「それじゃあ! 早速、当番を決めましょう!!」
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