第304話 防衛システム
とりあえず、もしなにか重大な問題が発生したら、その責任はガルスさんに取ってもらうとして。
まずはこの船のセンサーが探知した、存在どうにかしないと!!
「外部カメラ、起動」
『外部カメラを起動します』
ヴォン!
────ッ!?
突如として円卓の中央の空洞に浮かび上がった光景。
この船の外に広がる穏やかな大海原の立体映像に、ガルスさんとルミエ様とフィル以外の面々が驚愕に目を見開くっ!!
そして……私もびっくりした。
他のみんなはこの立体映像にびっくりしてるんだろうけど、当然ながら私は違う!
だってこの映像を映し出すように、手元のテーブルと一体化してからタッチパネルを操作したのは私だし。
私がびっくりしたのは、立体映像なんかじゃなくて……私の言葉に反応したアナウンス!!
いや、まさかとは思ってたけども……
「マス?」
『はい、ソフィー様』
「ふぉっ!!」
ついつい変な声が出ちゃったけど!
みんなの視線を感じるけど、細かいことは気にしないっ!!
「まさか本当に実装されてたのっ!?」
ヴォン!
『ご覧の通りです』
外部の立体映像の隣に執事姿の青年が映し出されて一礼する。
「うそ、聞いてないんだけど……」
「私とアルバ様からの細やかなサプライズです」
サプライズって……
「あの……ソフィーさん?」
「っと、そうですね」
マスの存在は結構衝撃……というかびっくりしたけど、イヴさんがいおうとした通り今はそれどころじゃなかった。
「マス、感知した魔力源を映して」
『敵性監視システム・
魔力源を補足、映像を切り替えます』
そして映し出される……海中を泳ぐ巨大な影。
「ふむ……メガロドンか」
『御明察です。
危険度・Bランク、災害級に値する魔物、体調は推定28メートル程と思われます』
メガロドン、めちゃくちゃ獰猛な超巨大サメ。
特に特殊な攻撃はしてこないけど、その巨体は容易く船を転覆させ、強靭な牙と顎は容易に船を噛み砕く。
その巨体ゆえに主に深い海域を住処としてるから、商船とかが襲われることは稀だけど。
それでも年間に数件は被害報告がある魔物。
まぁ、海に生息する魔物の殆どがCランク、災害級以上の危険度に位置付けられているわけだし。
その中ではそこまで上位の存在ではない。
「丁度いいか。
自動迎撃システムを起動」
『自動迎撃システム、起動します』
「マス、貴方の実力を見せて」
『承知いたしました』
立体映像の執事が優雅に一礼して見せる。
まぁこの船の装備をマスが支配下に置いて運用した場合……Aランクの厄災級までなら容易に撃破できるはず。
その点、メガロドンはBランクの災害級に位置する魔物。
本当にただの力試し、試運転での機能テストみたいなものにしかならないだろうけど。
『魔力収束砲、装填開始……完了。
出力35パーセント、発射します』
瞬間……
────ッ!!!
ズシンと鳩尾に響くような低い音が鳴り響き……
『外部カメラ、映します』
さっきまでメガロドンを映し出していた、今は荒れている映像の隣に再び外部カメラなら映像が。
大爆発でも起こったように……というかまさしくその通りなんだけど、天高く上がる水柱が映し出される。
『敵性魔力源の消滅を確認しました』
「うんうん! さすがだね」
『お褒めに預かり、光栄です』
いやぁ〜、まさかマスが実装されているとは思ってなかったけど……これでこの航海もちょっとは楽になるかな?
「いや、あの……」
「ん? みんな、どうかしましたか?」
みんなして私の顔を凝視して……
「ソフィーさん、その……今なって、マスって何なの?」
「ん?」
あぁ、そうだよね。
私も実装されてるなんて思ってなかったし、みんなが知ってるはずもない!
イヴさんの疑問も当然だわ!!
「こほん! 詳しく説明すると……」
私のユニークスキルである並列存在だったり、並列思考、ルーの存在とかも説明しなきゃダメだよね……よし!
「長くなりますが。
簡単にいえばマスは〝My adventure support system〟の頭文字をとった略で、今の防衛システムを含めてこの船のシステムを管理している人工知能です」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます