第302話 出航
「ふふっ」
四大国が一角にして、商業と流通の中心地! 商人の聖地と称されるアクムス王国の王都フェニルは今っ!!
史上初めてとなるSランク冒険者全員で当たることとなる特級任務……
伝説に語られる神の地、魔法神ティフィア様が治める神の国を探しにこの大陸をSランク冒険者が出航する式典が行われていて、まさしくお祭り騒ぎっ!!
そしてぇ〜……!
「「「「「「「ソフィー様ぁっ〜!!」」」」」」」
歓声が鳴り響く中、地面に敷かれたレッドカーペットを堂々と、優雅かつ悠然と歩く!
「「「「「「「きゃぁぁ〜!!」」」」」」」
軽く手を振ってあげれば、そこかしこから黄色い悲鳴が湧き上がる!
「むふふっ!」
いやぁ〜、我ながら自分自身の人気の凄さにビックリだわ!!
特に女性人気がすごいっ!!
今は出航式典も大詰めとなって、アルバ様に名前を呼ばれたSランク冒険者が一人一人レッドカーペットを歩いて、船に乗り込んでるところだけど……
「「「「「「「────!!」」」」」」」
この歓声っ!
私の前にレッドカーペットを歩いた、他14人を凌駕する人気ぶりじゃないっ!!
「むふふふふっ!!」
私の正体がイストワール王国の第一王子セドリックの婚約者であるルスキュー公爵のソフィア・ルスキューレだってことがバレないように仮面を着けてるわけだけど……本当に仮面をつけててよかったわ!
もうさっきから私自身の人気の凄さに、頬の緩みが止まらないっ!
もし仮面をつけて活動してなかったら、この場に集まっている大勢の人に、にやけ顔を見られちゃうところだった!
「まぁ……でも」
そりゃあ私は最年少Sランク冒険者だし?
特別推薦試験で約400年ぶりにAランクにまでに上り詰め!
魔王の一角を崩したり、史上初となる七大迷宮のスタンピードを人的被害ゼロで抑え込んだり!!
それはもう実績がいっぱいあって、今の私は世界で最もホットな人物といっても過言じゃないわけですし。
若き次世代の英雄と呼ばれてるだけあって、私の知名度と人気が他の14人を凌駕しててもなんら不思議はない!!
「ふふっ!」
まっ! 私の人気の凄さについては、既に船に乗り込んでるみんなと合流してから自慢するとして……
「ふむ、話には聞いてたけど……」
というか、私も思いっきり関わってるし。
むしろ色々とアイデアを出したのは私なんだけども! それにしたって……
「すごい」
私の歩いてるレッドカーペットの先。
世界最大の港であるアクムス王国王都フェニルの港に浮かぶ……白亜の巨艦っ!!
なにあのファンタジーな景観ぶち壊しの戦艦!
明らかにこの世界の技術を遥かに凌駕した、船が堂々と鎮座してるんですけど……
いやまぁ、魔導車開発のついでに、適当にアイデアを出したのは私なんだけども。
まさかこんな巨大戦艦が造られていたとは!
「しかも……」
もし、そうもし仮にあの戦艦が私が出したアイデアを忠実に再現していた場合。
アクムス王国は世界最強の戦艦を手にしたことになってしまう……
「……うん」
まぁ……どのみち、アクムス王国の海軍は世界最強っていわれてるんだし、別に世界最強の戦艦を手にしても構わないよね?
完全にオーパーツな気がしないでもないけど、細かいことは気しないでおこう!
いくらあの戦艦が凄くても、私クラスの実力者の前では木製の船と変わらないし。
その気になれば普通に破壊できちゃうわけだし!
これで各国のパワーバランスが崩壊するなんてことは、きっとない!
「っと」
戦艦にかけられてる階段を登って……到着っ!
あとは既に乗り込んでるみんなの隣に並んで……これでよし!!
「ねぇフィル、大丈夫だよね?」
「えっ? なにが?」
「いや! なんでもない!!」
うんうん! 超大国と称されるレフィア神聖王国の第一王子であるフィルがこの様子なんだし、別にこの戦艦がアクムスにあっても問題ないってことだよね!!
「しかし……」
────ッ!!!
歓声をあげる観客達。
1ヶ月前にギルド本部に招集されてその場で全員が依頼を受けると返事をした翌日。
とりあえず、どこから出発するかってことでアルバ様とお友達だった私が、アクムスから出航させてもらえないかアルバ様に相談したんだけども……
「まさかこんな国を挙げての一大イベントになるとは」
しかも!!
「じゃあ、ソフィーしっかりね」
「う、うん」
まさか新入りである私にこんな大役を任せられるとは、本当に思ってなかった。
「では……」
横一列に並んでいるみんなより前に出て、スッと手を上げると喧騒に満ちいていた観客達が静まり返る。
「これより! 我らSランク冒険者15名による、特別任務遂行を開始します!!」
事前にアルバ様から渡された装飾がされた剣を掲げて……
「出航っ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます