第281話 邂逅
「強大な……魔?」
ずっと楽しそうに笑みを浮かべてたフラン先輩が、殺気立ったような。
さっきまでの様子からは想像もできない鋭い視線に、暗く真剣な面持ち。
冒険者ギルド
Sランク冒険者達は良くも悪くもみんな我が強くて、個性の塊のような人物達。
そしてもう一つ、こうもいっていた。
冒険者の頂点にまで上り詰めるほどの人物である彼らはみんな、なにかしらの業を背負っている……と。
フラン先輩のいう強大な魔が、なんなのかは知らない。
いやまぁ、なんとな〜く予想はつくけども。
とにかくっ! これはフラン先輩と、そしておそらくフラン先輩と行動を共にしているオネットさんの背負っている業の一端。
「う〜ん」
これは詳しく聞いちゃってもいいんだろうか?
私的にはこういうプライベートな事情には、深入りしない方がいいと思うんだけど……学園襲撃についての事情は聞かないとだし。
「っと、ごめんごめん! 暗かったね。
私達は……まぁ昔色々あって
いわゆる
「当然、Sランク冒険者でもありますから依頼さえ受ければ
「専門は
「
ということはやっぱり……
「それって……」
「へぇ、悪魔狩りを」
「なるほどね」
フィルもルミエ様もマリア先生も、当然のように察したようだけど。
それってつまり……!!
「2年くらい前に、ソフィーちゃん達が解決した七大迷宮・大海のスタンピード事件。
あの時も強大な魔の……悪魔の気配を感知して、現地に向かったんだよ?」
「尤も、私達が着いた時にはもう悪魔の気配どころか、その痕跡すら一切残っていませんでした。
しかし今回、私達が感知した悪魔の気配は……」
「そう! 今回感知した悪魔の気配は、2年くらい前に感知したものと同等なの!!」
「貴女達の事情はわかったわ。
それでその悪魔を追って、我が学園に来たら……正門での手続きの途中でフランさんが、我が校の結界を破壊したと」
「その通りっ!
前みたいに手間取って、悪魔に逃げられわけにはいかないからね!!」
「ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありません……」
なるほど、なるほど。
これでことの顛末はだいたいわかった。
しかし、Sランク冒険者は個性の塊って聞いてたけど……オネットさんはいたって常識人で、むしろ苦労人に見える。
まぁ、フラン先輩は個性の塊! って感じだけど。
疲れ切った顔で頭を下げてるオネットさんを見ちゃうと、フラン先輩の突飛な行動に振り回される姿が想像できてなにもいえない。
「まぁ……学園の結界の件は別にいいわ。
問題は……」
そう、問題はフラン先輩とオネットさんがオルガマギア魔法学園に来た目的。
フラン先輩達が感知した強大な悪魔の気配って、まず間違いなく……
「ふふっ、面倒な事になってきたわね」
「はぁ……」
「まさか……」
「えっ?」
なになに! ルミエ様、面倒なことってなんですか!?
マリア先生もため息をついてるし、フィルもなんとなく察した感じだけど……
「ほぇっ!?」
な、なにっ!? いきなり視界が暗く……
「ソフィーちゃ〜ん、だぁ〜れだ〜?」
「まったく貴女は……」
こ、この声はまさか! まさかぁっ!!
「ベ、ベル様にレヴィア様……」
「はぁ〜い! ベルちゃんです〜!!」
「こんにちは、ソフィーちゃん。
今日もお菓子のお土産を持ってきましたよ」
な、なんてタイミングで来ちゃうんですかぁっ!!
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