第270話 私の計画!

「むふふっ!」


 もしも、もしも! この試みが成功すれば……確実に、私は一段上に上がることができるっ!!

 すなわちっ! 最強に近づくことができる!!


『以前から考えていたアレって……いつも私にも隠れてコソコソとしてたやつかしら?』


「ふふふ〜! そうです!!

 びっくりさせようと思ってたんですけど……やっぱりルミエ様にはバレちゃってましたか」


 実は結構前から研究を重ねて、理論的には既に完成していたのだ。

 あとはいつこの試みを実行するかのタイミングだけだったわけだけど……


 初めての試みだからどうなるのかわからないし、オルガマギア魔法学園の先生として授業があって今まで時間が取れなかった。

 しかしっ! 今は違うっ!!


「いつものごとく、数日はベッドから出してもらえないだろうから……この機会に挑戦するんです!!」


 ファナとミネルバの過保護が発動されてしまって以上、2人の許可が出るまではベッドの上で生活することになる。

 私は2人の主人なのにって思わなくもないけど、まぁいつものことだし……ゆっくりと時間をとれるから、これは私にとってもいい機会でもある!


「むふふ!」


 この数日で、フィルとの実力を引き離してやる!

 いつ謝ってくるのかは知らないけど……このお休みの間に強くなった私を見て、愕然とするフィルの顔が目に浮かぶわ!!


『けど……ファナ達には安静にって言われてるでしょう?』


「っ! そ、それは……」


『ファナ達にバレたらマズイんじゃないかしら?』


 そう、ルミエ様のいう通り、この計画はファナ達に露見しないことが大前提となっている。

 もし仮にファナ達にバレちゃったら……また怒られちゃう!


「あ、あの! ルミエ様!

 お願いですから、ファナ達には内緒にしててくださいね!?」


『ふふっ、わかったわ』


 と、とりあえずルミエ様が黙っていてくれれば……いくら感の鋭いファナでも、私の計画を看破することはできない! はず……


『それで、何をするつもりの?』


「こほん! ルミエ様やレヴィアさん、ベル様に鮮血姫と称されるルーナ様。

 大賢者であるマリア先生や現人神と呼ばれるショウ陛下、冒険王ガルスさん、雷帝アーク様」


 他にも冒険者ギルドの統括グランドマスターのガルドさんに、副統括サブマスターのクリスティアさん。

 帝国守護の五姫の方々などなど、私が出会ったことのある伝説に謳われるような実力者達。


「伝説に語られる英雄や、それに並ぶ強者達と私とで何が違うのか……もちろん、経験や技術などもあるでしょうけど。

 もっと直接的な要因として、客観的に比較した結果……それは圧倒的な魔力量という結論に至りました!!」


 私の魔力量は、オルガマギア魔法学園に入学した2年前の時点で1280万。

 確かに学生の中ではずば抜けてるし、世界的に見てもトップクラスだとは思う。


 けど……ルミエ様やレヴィアさん、ベル様やルーナ様から垣間見える圧倒的な。

 身体がすくんで、重圧で押し潰されそうになるなどの圧倒的な魔力に比べたらまだまだだといわざるを得ない。


「と、いうわけで……これから私は魔力を増やします!!」


『でも、授業でソフィーが生徒達に説明してたように、一般的には既に自身の素質の限界まで魔力量を上げている場合。

 もしくは成人してしまっている場合には、魔力量を増やすことは不可能とされているわよ?』


「確かに一般的にはそうされています」


 各々の素質によって上限は違うものの、一般的に魔力は回復する時に僅かに増幅するとされている。

 また、魔力量の向上率は幼少期が最も高く、成人すればほとんど成長が止まってしまう。


「けど、一概にそうとはいえないのです!」


 ちゃんと生徒達に説明した時にも、一概にそうとはいえないって伝えてるし。


「では、いったいどうして自分自身の素質限界まで上昇させて魔力を、今以上に高めるのか。

 答えは簡単! 体のどこかに魔力供給機関を、人為的に作り出す。

 これが私の計画ですっ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る