第269話 最強に至るために
教団、光の使徒の最高幹部である十使徒が第九席。
世界三大学園の一角であるオルガマギア魔法学園で発生した前代未聞の大事件、生徒失踪事件を引き起こした張本人。
ペルセ・ベランによってオルガマギア魔法学園……
というよりも、魔導学園都市王国の首都である第一都市の地下に広がる広大なダンジョン。
七大迷宮・大罪に生徒達と一緒に強制転移されて。
ベル様がペルセ・ベランを瞬殺して。
帰ってきたと思ったら、フィルが四大国が一角にして帝国……ショウ皇帝陛下が治めるネフェリル帝国と双璧を成して超大国と称されるレフィア神聖王国の第一王子っていう衝撃の実々が判明したりと。
「ふふっ」
『あら、どうしたの?』
「いえ、ちょっと我ながら濃い1日だったなぁ〜っと思って」
本当にもう苦笑いしちゃうほどに濃密な1日だった。
「特にフィル!
まさかフィルがレフィア神聖王国の第一王子だったなんて……」
『ふふふっ、かなり驚いていたものね』
「驚いたなんてものじゃありませんよ! 今でもまだちょっと混乱してるんですからね!!」
まったく! フィルもフィルだわ!!
私のことはイストワール王国のルスキューレ公爵家の令嬢で、第一王子セドリックの婚約者だって知ってるくせに!
自分のことはなんにも教えてくれないんだから!!
まぁフィルが私の正体を知ってるのは、私が自分の正体を隠すのが面倒……こほん、隠す必要がないと判断したから!
なにせ学園内で知り得た情報は、当人の許可なく吹聴できないって制約があるし。
とにかく! 私がイストワール王国のルスキューレ公爵令嬢だって事実は、この学園の生徒のその多くが知るところ!
フィルも早く自分が何者なのか、教えてくれてもよかったのに!!
「それに! 私は怒ってるんですっ!!」
『ふふっ、そうなの?
あれは怒ってるというよりも、拗ねてるって感じだったと思うけれど?』
「す、拗ねてなんかいません!!」
私はソフィア・ルスキューレ!!
誇り高き公爵令嬢にして、カッコいい孤高の悪役令嬢だし!
『あら、頬を膨らませてプイってフィルから顔を背けてたのに?』
「っ〜!! と、とにかくですっ!
フィルが自分がレフィア神聖王国の王子だってことを黙っていた理由が……」
僕が王族。
それも超大国レフィア神聖王国の第一王子だってバレてしまったら、ソフィー達に変に気を遣わせたくなかったんだって!!
「自分の身分を知られて、私達に態度を変えられたくなかったからですよ!?」
これはつまり! フィルは自分がレフィア神聖王国の第一王子だってことがバレたら、私達が態度を変えると思っていたということ!!
「たかが超大国の王子だからって、私達がフィルに接する態度を変えると思われていたなんて屈辱です!
これはフィルが私達を信頼していなかったということに他なりません!!」
『だから怒っているの?』
「そうです!
今回ばかりはフィルがごめんなさいって、ちゃんと謝るまで口を聞いてあげません!!」
ふふ〜ん! フィルめ、私達の友情を!
友達としての! 仲間としての深い絆と信頼を疑った罪を思い知るがいいっ!!
「って、フィルのことはどうでもいいんです!」
もう謝ってくるまで無視するって決めたし!
ついつい話がそれちゃったけど……今はそれよりも!!
「今日のことで改めて思い知りました」
悔しいけど!
認めたくないけど!!
「今の私じゃあ、最強には程遠い……と」
確かに私はかなり強くなったと思う。
けど……はっきりいって、今の私じゃあ七魔公であるレヴィアさんやベル様の足元にも及ばない。
『でも……諦めたって顔じゃないわね』
「ふふっ、当然です!!
私が最強に至るために、以前から考えていたアレを試してみようと思うんです」
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