第263話 どういう状況ですか〜?
魔闘法・
背後にいる生徒達へと迫り来る無数の触手を斬り刻んで、雷で焼き焦がす! けど…。
「アヒャッヒャッヒャ! 無駄無駄無駄ぁ!!
何度やっても無駄なんですよぉ〜!!」
狂ったように狂気と嗜虐に歪んだ笑みを浮かべて、ペルセ・ベランが嗤うように……チリと化したエンジェル・スライムの触手が一瞬で再生して、再び凄まじい速度で無数の触手が迫り来る。
「くそっ!」
バチィィィッ!!
何度やっても。
何度斬り刻んで、雷で焼き焦がして、チリにしてやっても……次の瞬間にはなにもなかったかのように、再生して攻撃してくる。
「はぁ、はぁ……キリがない!」
これじゃあ一方的に私の体力と魔力だけが削られていく!!
しかも……
「クフフ! 最初の威勢はどうしたのですかぁ? 傷だらけでボロボロじゃないですか!!
もういい加減に諦めてはどうですかぁ?」
あのスライム。
どういうわけか、普通に攻撃を当ててくる。
「ふん! こんなの傷のうちに入らないわ!!」
魔闘法・
よって本来なら物理攻撃は完全に無効化できるはずなのに……
ピアと一緒で、なぜかあのスライムの攻撃が私に当たる!
いや、ピアの攻撃が私に当たった理由は既に判明してる、まぁ断定はできないんだけども。
魔闘法・雷で雷そのものと化しても、物理攻撃は無効化できるけど魔法は無効化できない。
当然、身体に魔力を纏わせれば私に触れられるわけで……
あのあとルミエ様やマリア先生と一緒に推察した結果。
ピアの攻撃が私に有効だったのは、私が感知できない時間が停止した世界で魔力を纏わせた攻撃を私にしていたからという結論に至った。
「クフフ! その強がりが、いつまで保つか見ものですねぇ〜!!」
「っ!」
バチィィィッ!!
再び凄まじい速度で。
本当にスライムなのかと疑いたくなるような速度で迫る触手を……その中でも生徒達を守るフィルの結界を狙ってるものを優先して斬り刻む!
「っ……!」
右側面から叩きつけられた触手をかわしきれずに吹き飛ばされる。
愛刀である白を地面に突き立てて勢いを殺し……頭上左右から迫る触手を斬り捨てる。
くそっ! いやらしいヤツらめ!!
もうさっきから同じことの繰り返し!
生徒達の方を狙う触手を優先すれば、その隙をつかれて攻撃を当てられる。
なんとか致命傷は避けてるけど……このままじゃあジリ貧だわ!
せめてあのスライムが、私に攻撃を当てられる理由がわかれば対処のしようもあるんだけど……
「さぁ! まだまだ行きますよぉ!!」
あのスライムは一切魔力を纏っていない!
しかも、息つく暇もないこの猛攻! この私が反撃する暇もなく防戦一方だなんて……!!
「アヒャッヒャッヒャッ!! どうしましたぁ!?
特異点たる愛子の実力はその程度ですかぁ!!」
いい気になりやがってぇ〜!!
ここがダンジョンの……七大迷宮が一角である大罪の中じゃなかったら。
そしてせめて背後に生徒達がいなかったら……
周囲への被害なんて一切気にすることなく!
私の魔法の中でも最強クラスの威力を誇る白炎・
「……ふぅ」
仕方ない。
本当なら生徒達の手前、先生としての威厳を見せつけるために敵を圧倒してやりたかったけど……
「おや? クフフ! ついに諦たのですかぁ?」
「認めましょう。
確かにこの状況下では、私にはお前を倒すことは難しい」
なにせ決定打を打てない上に、防戦一方な状況だし。
「でも……お前は1つ大きなミスを犯した」
「は? 負け惜しみですかぁ?」
残念ながら、これは負け惜しみでもなんでもない……ただの事実!!
「ふふっ、ここがどこだと思ってるの?」
「なにを……ッ!?」
「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」
突如のしかかって来た押し潰されそうな重圧に。
圧倒的なプレッシャーにペルセ・ベランが、フィルの結界に守られている生徒達が息を呑んで目を見開く!
「これは……」
フィルも察したみたいね。
「ここは七大迷宮が一角、大罪なのよ?」
「それがどうしたとっ──」
「ねぇ〜」
ペルセ・ベランの怒鳴り声を遮って、まったくこの場に似つかわしくないのんびりとした。
しかしながら、息すら苦しくなるような重圧を伴った声が鳴り響き……
「せっかく、ご主人様と気持ちよ〜く! 怠惰にお昼寝してたのに〜。
これはいったいどういう状況ですか〜?」
ここは七大迷宮が一角である大罪の中。
つまり! 場所で騒ぎを起こせば……虚空に浮かび、私達を見下ろす1人の少女の。
この迷宮の管理者の怒りを買うことになる!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます