第14章 白銀の教師編
第246話 お礼
「ソフィーちゃん……本当に? 本当にいいのね?」
「ふふふ……もちろんです」
真剣な面持ちで確認をとってくるミラさんに対して、不敵な笑みを浮かべて頷く。
「これは昨日、手伝ってもらったお礼ですから」
昨日……オルガマギア魔法学園の入学式でマリア先生から、学園史上初の特別名誉教授として挨拶を任されてしまったわけだけど。
ミラさんとフィルには本当なら休みだったところを、挨拶のときにしたデモンストレーションを手伝ってもらっちゃったし。
これは私からのささやかなお礼!!
「今日は思う存分! 煩わしいことは全部忘れて、好きなだけ満喫してください」
「ふふっ、わかったわ。
そういう事なら遠慮はしないけど……後で泣いても知らないわよ?」
確かに……普通の人なら後悔することになるかもしれない。
しかしっ!! こう見えて私は公爵令嬢だし、世界で10数かいないSランク冒険者の1人!
「ふっ、望むところです!!」
ドドンっ!
この程度で泣く私じゃないのだよ!!
「その覚悟、流石ね」
「ミラさんこそ」
この場で、この勝負で〝後で泣いても知らない〟って言葉が出てくる事実。
ミラさんの覚悟は賞賛に値する!!
「うふふ」
「ふふふ」
「……」
ミラさんと不敵な笑みを浮かべて笑い合う。
まぁなにはともあれ! ミラさんも喜んでくれてるみたいでなによりだわ!!
フィルは……なぜかさっきからずっと、死んだ魚みたいな目をして、私とミラさんのやり取りを見て黙り込んじゃってるけど。
どうかしたのかな?
「キミ達ね……」
「むっ」
フィルに呆れたような顔をされちゃった。
フィルは喜んでくれてないのかな?
ふ〜む、これならフィルもミラさんも、絶対に喜んでくれると思ったのに……解せないわ。
「はっ! ま、まさか……フィルって甘いものが苦手だったの?」
この光景を……眼前に広がる光り輝くような大量のスイーツを前にして、呆れたような顔をするなんてそれ以外に考えられないっ!!
「いや、別に苦手じゃないけど……どうしてカフェの一角で、決闘前の人達みたいなやり取りをしてるの……?」
「なにをいってるの! これから始まるのは決闘じゃんか!!」
そうっ! 私の用意したお礼。
それは……このカフェ、多種多様なスイーツを置いているこのお店を貸し切っって、好きなだけスイーツを奢ることっ!!
「それも! ここはただのカフェじゃない!!
ここは魔導学園都市王国が首都である第一都市、ここ中央都市アミュルーでも超有名な人気店!
本当なら何時間も並ばないと、スイーツを買うことすら困難なお店なんだよ!?」
そんなお店を貸し切ってスイーツの食べ放題なんて……
「そう! これは自分との! カロリーという名の強敵との決闘っ!!」
「その通りよ!
それにね、このお店はオルガマギア魔法学園の生徒達の憧れでもある超高級店なのよ?」
うんうん! だからこそミラさんは私に確認したのだ、後で泣いても知らないわよって。
このお店を貸し切った上に、スイーツの食べ放題……どれだけのお会計になるのかわからないから!!
「へ、へぇ、そうなんだ。
知らなかったよ」
なぬ!? まったく、フィルったらこのお店のことを知らなかったとは。
私なんて! もうしょっちゅうお世話になっているというのに!!
「こほん、とにかく!
お会計のことは気にしなくていいから、フィルもミラさんも! そして私も……好きなだけスイーツを満喫しましょう!!」
「えぇ!!」
「あ、あはは……わかったけど。
この後、マリア様に呼ばれてることも忘れずにね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます