第245話 己との戦い
「こほん! では改めまして、特別名誉教授のソフィアです」
教室で各々席に座る新入生達の顔を見渡し……
「皆さん、よろしくお願いします」
余裕たっぷりな笑みを浮かべてみせる!!
ふふふ……なんとか間に合ったわ! まだ体調は優れないけど、そんなことをいってる暇はない!
教師たる者! 生徒の前で弱音を吐いたり、弱った姿を見せるなんてもってのほか!!
生徒達の前では無理をしてでも、余裕のある悠然とした態度でいなければならないのであるっ!!
「それでは、既に入学前説明会で我が校の規則は知っていると思いますが、この場で改めて説明します」
私が任されたもう1つの仕事!
それは……教室まで新入生達を引率して、学園の規則とか注意事項を説明。
その後、担任の先生に引き継ぐこと!!
つまり私達のときのカミラさんと同じ役割で、本来なら生徒会の人達に任せられる仕事。
しかし! 今年は特別名誉教授たる私にも、白羽の矢が立ったのである!!
しかも……本来なら生徒会長が担当するSクラスっ!
つまり! 今この教室には今年の新入生総代、主席入学者であるリアットさんもいる。
ちょっとくらい体調が悪くても、しっかりとやり遂げなければ……!
「細かい校則は皆さん各自で確認してもらうとして、重要な点は主に5つ。
1つ! オルガマギア魔法学園は他2つの世界三大学園、オルガラミナ武術学園、王立神聖レフィア学園と同様に実力主義の学園であること。
入学に関して年齢制限は存在せず、極端な話ですが幼児でもご老人だろうと試験に合格できる実力があれば入学可能です」
まぁ、さすがに4、5歳とかでこの学園に入学できる人はいないと思うけど。
「2つ! オルガマギア魔法学園は5年生制で、1年の間に10単位を取得しなければ留年となります。
講義は自由に選択可能ですが、一度選択すれば担当の先生が課す最終試験に合格するまで次の講義は選択できません。
そしえ1年経っても合格できない場合は落第となり、合計で5つ落第すると強制退学になります」
この校則によって、毎年一定数の人がこの学園を去ることになる。
まっ! 私の学年では例年にないほどに少ないらしいし、Sクラスでは1人もいないんだけど!!
「3つ! 完全実力主義のため、講義を選択した初日に試験を受けて合格することも可能となっています。
よって、優秀な者ならば一年を待たずして次の学年に上がることができて飛び級することも可能です」
でも飛び級する人……というか、できる人はほとんどいない。
歴代一と称される私の同期ですら、飛び級してるのは私とフィル、ミラさんだけだし。
もっとも飛び級しても所属するクラス自体は変わらないし、ほとんど実感はないんだけども。
まぁ、飛び級したおかげで遊……げふん! げふん! 新しい魔法を開発したりする時間は確保できた!
「4つ! オルガマギア魔法学園の卒業者は魔法使い、魔法士よりも高位の存在であり、一般的な魔法使い関連の称号の中では最高位の称号である魔導士を名乗ることが許されます」
そして……
「5つ! 成績優秀者の中でも特に優秀な者。
あるいは第一魔塔の主人にして大賢者であるマリア先生に認められた者。
他14の魔塔の主人である賢者の推薦を受けて、マリア先生に許可された者はそれぞれの魔塔に所属して個人の研究室を持つことができます」
そうすれば……私と同じ大魔導士の称号を得ることができる!!
「とまぁ、主な校則、規則はこの5つですが……今説明したように基本的に我が校は実力主義です。
学内において生徒は平等というと、他国の学園などのように建前に過ぎないと考える人もいるかもしれません」
現に入学したすぐは私にも平民のくせに調子に乗るな! 的なことをいって、絡んできた人が数名いたし。
「しかし……この学園に、世界三大学園においては異なります。
外での身分や地位に関係なく……たとえ王族でも平民でも実力主義の元に平等です。
そこをはき違えないように」
まぁ身分を笠に着るような人は、すぐに淘汰されるだろうけど。
「では次に、我が校におけるクラス分けの説明をします」
さぁ! 頑張れ私!!
まだ頭は痛いし、ちょっと気分も悪くて調子は悪いけど……これは私自身との、己との戦い!
先生としてこの仕事を途中で投げ出すわけにはいかないのである!!
けど、これが終わったら……リアットさんに学園を案内してあげる時間まで、お昼寝しよう。
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