第243話 もう1つ

「「「「「「「「……」」」」」」」」


 愕然と目を見開き!

 ポカンと口を開けて!

 押し黙る新入生達っ!!


「ふふふ……」


 私達の眼前に広がるは……何もない。

 文字通り地面も、空も、本当に何もない、どこまでも続いてるように見える白い空間!!


「これが私の実力です!!」


 まぁ、一面真っ白だからどこまでも続いてるように見えてるだけで、実際には私を中心に半径200メートルくらいしかないんだけど……細かいことは気にしない!!


 創世魔法。

 これは特殊属性魔法に分類される、空間魔法と時間魔法の複合魔法であり!

 私だけの私的空間を創り出すことができるのだ!!


 この空間の中では、全てが私の思うがまま!

 私が燃えろと思えば炎が燃え盛り、凍れと命じれば白銀に染まる!


 まぁさすがに、外部から入ってきた生命の死までは司らないけど……この空間内で私が生み出した生命ならば、その生死すら司れる。



 パチン!



「っと」


 指を打ち鳴らすと同時に、また視界が一瞬で入学式の会場である大講堂へと切り替わる。

 うんうん、切り替えも良好!


 こんな大人数を創世魔法で創った小世界に、連れて行くのは初めてだったし。

 万が一があったらダメだから、フィルとミラさんには新入生達に保護用の結界を張ってもらったけど……


「ふむ」


 別に問題なかったかな?

 まっ! なんにせよ、新入生諸君っ! これがSランク冒険者の一角に名前を連ねる、私の実力なのだよ!!


「魔導の真髄はどこまでも深く続いています。

 確かにオルガマギア魔法学園に入学できている時点で、皆さんの才能はトップクラスでしょう。

 しかし……それに慢心せずに、更なる高みを目指してくれることを願っています」


 決まったぁ〜!

 いってることは、私達の入学式のときにマリア先生がいってたのとほとんど同じような内容だけど……昨日の練習通りに締めくくれた!!


 ルミエ様がまだ朝のお散歩から戻ってきてなくて、私の勇姿を見せられなかったことは残念だけど。

 これで私の挨拶はつつがなく終了した! あぁ〜、肩の荷が降りた気分だわ〜!


「ソフィーちゃん! 成功ね!!」


「ミラさん! ふふふ、ありがとうございます。

 お手伝い、ありがとうございました」


「本当に驚かせてくれるわね……」


 ふふ〜ん! 宣言通り、カミラさんを驚かせることができたようで何より!!


「入学式であんな魔法を使うなんて、デタラメというか何というか……」


「むぅ」


 なんか呆れたように苦笑いしてるけど。

 フィルだって最終的には、協力してくれるって約束してくれたし。

 なんの問題もなく成功したんだから、もっとミラさんみたいに喜んで褒めてくれてもいいのに。


「ふぅ〜、やれやれ」


「えっ、なに?

 なんで僕はソフィーに、そんな微笑ましそうな目で見られるわけ?」


 まったく、これだから思春期の男の子は素直じゃないんだから。


「大丈夫! 私はわかってるから」


「なにがっ!?」


 さてと! あとは学園長にして、魔導学園都市王国の女王陛下たるマリア先生の挨拶で入学式は終わりだけど……


「むふっ!」


 私にはもう1つ、やらなければならないことがある!!

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