第218話 手出しはさせない!!
「……え?」
まぁ、リアットさんが困惑するのもわかる。
だってさっきまでは襲撃者の1人にすぎなかった男が……黒い炎に包まれたと思ったら、いきなり妖艶な美女になったわけだし。
しかも、それがリアットさんを狙ってる敵の黒幕。
不可侵存在とされる八魔王が
そう簡単に受け入れられるわけが……
「ウフフ、いかにも。
私が灰燼の魔術師、魔王ルイーナ様よ」
「で、では本当に……」
あ、あれ? そんなあっさりと受け入れちゃうの?
いやでも、よくよく考えてみれば、リアットさんはオルガマギア魔法学園に主席入学するほどの実力者。
ならルイーナが発してる
魔王を前にして、そこまで取り乱してないのも納得できる。
ふ〜む、さすがは
「そうです。
だから私のそばを離れないでくださいね?」
「は、はい、わかりました!」
うんうん! 双子の兄のサイラスとは違って、素直で大変よろしい!!
「あら、その娘を守りつつ、この私の相手をするつもりなのかしら?」
まぁ、確かに不可侵存在とされる魔王の力は伊達じゃない。
ルイーナが八魔王の中で……ナルダバートやルーナ様と比べてどれくらいの実力なのかは知らなけど……
今の私には魔王が一柱を相手に、誰かを守りながら戦う余裕なんてない。
とはいえ……
「もちろん!
いくら貴女が魔王の
本体が出てきているのなら話は別だけど!
「今の全力を出せない状態の貴女であれば、なんの問題もありません!!
それに……」
どうやってかはわからないけど……ルイーナは今、私が捕縛した男の人の肉体に憑依しているような状態。
今は妖艶な美女の姿に変身しちゃってるけど、その本質はあの男の人の肉体には違いない。
あの男の人もおそらく、高位の魔人族ではあるだろうけど、それでも私にも簡単に捕縛されちゃう程度の存在。
そんな存在の肉体が、作り替えられちゃったとはいえ、果たしてルイーナの力に耐え切れるだろうか?
「その状態、そう長くは持たないでしょう?」
答えは、否!
高位の魔人族とはいえ、魔王たるルイーナの力に耐えられるはずがない!!
それも戦闘を行うとなれば……
ルイーナがその力を振るえば振るうほど、あの肉体が限界を迎えるのは早くなる。
「へぇ、それはつまり、全力でない私になら問題なく勝てると?」
「えぇ、その通りです」
事実、今のルイーナから感じる圧は、ルーナ様から感じた圧の足元にも及ばない。
それどころか、ナルダバートにも大きく劣る程度だし。
まぁ、それでも強敵であることには違いないけど……はっきりいって、今のルイーナは私の敵じゃないのだよ!!
もっとも……油断は一切しないけど!
「フフフ……私も随分と、嘗められたものね!!」
ルイーナから爆発するように立ち昇る、膨大な魔力。
さすがだけど……不可侵存在たる魔王のものだと考えれば、見劣りする!!
「来いっ! 誰が相手だろうと、私のお友達であるリアットさんに手出しはさせない!!」
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