第219話 お見せしましょう!

「小娘が……まぁいいわ。

 ちょうどいいし、貴女達2人には一緒に来てもらうわ」


 ルイーナがニヤリと笑みを浮かべた瞬間──



 ゴォッ!!



 地面から漆黒の炎が立ち昇って、ルイーナの黒髪を怪しく照らす。


「ウフフ、抵抗できないように、死なない程度に焼いてからね」


 妖艶な笑みを浮かべ、ルイーナの意志に連動するように漆黒の炎が四方八方から迫り来る。

 ふむ……私1人なら多少の危険を背負って、この炎の包囲を突破してやるんだけど……


「断魔結界っ!」


 リアットさんがいるのに、そんな無茶はできない!

 リアットさんはお友達だし、そもそも護衛対象をそんな危険に晒すような真似はしない!


「ソ、ソフィー様……」


 まぁ、リアットさんが不安に思うのも仕方がない。

 だって結界の外は360度全て、漆黒の炎に包まれちゃってる状況だし。

 これぞまさしく四面楚歌っ! って感じだけど……


「大丈夫です。

 いくら魔王の一角といえど、全力を出せないルイーナにはそう簡単にこの結界は破壊できませんので」


 なんたって、元はといえばこの結界も魔王であるナルダバートが使っていたものなのだから!!

 とはいえ……いくら大丈夫っていっても、リアットさんからしてみれば怖いだろうし……


「っ!! さすがはソフィア様です……!」


 うん、大丈夫そうだわ。

 なんかキラキラした目を向けられちゃってるし……うん、さすがは攻略対象ヒーローたるサイラスの妹だ。


「あ、ありがとうございます」


 ま、まぁ、リアットさんが怖がってないのはいいとして。


「さて、どうしたものか……」


 う〜ん、ルイーナは力を振るえば振るうほど、タイムリミットが近づいてくるわけだし。

 このまま持久戦に持ち込んで、ルイーナが限界を迎えるまで待ってもいいんだけど……


「よし!」


 ここは短期決戦!

 下手に持久戦に持ち込んだら、他の襲撃者から横槍が入ったり、想定外の事態に陥ったりする可能性があるし……速攻で終わらせるっ!!


「ふぅ〜」


 魔力、解放っ!!


「っ〜!?」


 リアットさんをビックリさせちゃったけど……


「リアットさん。

 今から私が使える魔法の中でも、最強クラスの魔法をお見せしましょう!」


 だから驚かせちゃったことは許してほしい。


「ソフィア様の、最強の魔法……」


 おぉ〜、本当にリアットさんはいい反応をしてくれるわ!

 まさかゴクリって、固唾を飲んじゃって……むふふっ! そんなに期待されると、俄然やる気が出てきたっ!!


「ふふっ」


 右手を前に……この漆黒の炎の壁の向こうにいる、魔王ルイーナへと翳してっと!


「集え」


 キラキラと、白い光の粒が。

 私の膨大な魔力の粒子が、ルイーナへと翳している手の前へと収束し……


「全てを焼き払え……白炎」



 パチンッ!



息吹ノヴァ


 軽く指を打ち鳴らした瞬間! 全てを……



 ────ッ!!!



 漆黒の炎すら焼き切る、白き炎の熱線が解き放たれる。


「……」


「ふふっ! どうですか?

 これが私が誇る最強クラスの魔法の1つ」


 眼前に広がるは……遥か前方まで抉れて、真っ赤に融解した地面!

 灰すら残さず焼き切れて、消滅した鬱蒼としていた木々!!


 文字通り! 更地と化した魔の森!!

 これぞ! ルミエ様の咆哮ブレスを参考にして、完成させた火炎属性と神聖属性の複合魔法!!


「白炎・息吹ノヴァの威力です!!」

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